*****山崎正樹の手紙3枚目*****



翌日、彼女は手術を受ける決意を固めた。
俺はどうしようもない不安を抑え彼女の意思に従った。不安、という言葉は決して自分に向けられた物じゃない。ただ・・・彼女を失ってしまう事が一番恐かった。自分の命はどうでもいい・・・彼女さえ生きていてくれれば、どうでもよかったんだ。
「また会おう」
俺は自分の気持ちを強く奥の方へと押し込み、それだけ言った

そしてゆっくりと眠りについていく彼女を見つめながら、俺はその時、彼女の言葉を聞いたような気がした。

「大丈夫、また会えるよ」
と・・・・・・。
だから俺は答えた。
「そうだな・・・。きっと、会えるよな」

眠ってしまった彼女をしばらく見つめ、俺は黙って見ていた黒い手紙を見上げた。
黒い手紙はこう言った。
『心の準備は出来たか? 次はおまえの番だ』と・・・。
俺は深く頷いた。「もう、迷いなんてない」
俺のその言葉に、黒い手紙はしばらく無言だった。
『・・・馬鹿げた奴らだ。他人のために犠牲になるなんて』
黒い手紙は小さな声でそれだけ言った。


その後の事はよく覚えていない。
俺も眠りについてしまったから。
だが・・・、深い深い眠りにつくその一瞬、黒い手紙が何か話したような気がした。
なんて言ったんだろう?

こう・・・言ったのか?



『確かに受け取った、二つの魂・・・未来で・・・・必ず・・約束だ・・・・』


前のページ/TOPへ戻る/次のページ