―花とコトバ― 
F・サガン インタビュー集より

桜  ―解毒剤としていちばんいいのはユーモアだけだと思います。

  矢車菊 ―ユーモアがないというのは精神的な欠陥です。わたしは嫌いです。

それにわたしは自分を真面目に考えすぎる人が嫌いです。

――人は冗談がわからないようになってきました。つまり陽気さを失ってきているのです。

オオイヌフグリ タンポポ 矢車菊




  ――想像力は理解の出発点ですからね。

  エンドウ豆 想像力が少しあれば、どうしてその辺のあんちゃんが火掻き棒でももって自分の娘を殺したのか理解できるのです。

承知できなくても理解できるのです。


想像力があれば誰かの身になって
《そうだわ、きのう変な様子だったから電話でもしてみようかしら?》と思ったりするのです。




幸せとは、自分のしていることを決して恥に思わない状態です

誇りを持つのでもありませんが恥にも思わないのです
心地いいと感じるのです。

キンセンカ
オオイヌフグリ エンドウ豆




  花 誰かと人間的な関係にいるということは、
その人と対等の立場にいて、恋愛とは関係なく信頼を寄せ合って話せることです。

友情とも呼ばれているものです。
  オオイヌフグリ 友情のない恋愛なんて恐ろしいものです。

相手が与えてくれる自分のイメージに惚れているのなら、すべてがゆがんでしまいます。
  人を愛することは、その人の幸せを愛することでもあるのです。

――愛してくれる人が自分と同様に、幸せになるようにしなければならないのです。




ハナミズキ



ハナミズキ

『愛と同じくらい孤独』
フランソワーズ・サガン/朝吹由紀子 訳
新潮文庫

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最初に読んだのは、たぶんハタチ前後。いっぱい線が引いてあって、私の考え方や行動ににいろいろ影響を及ぼした、と思う。
この本は、処女作「悲しみをこんにちは」で19歳で世界の脚光を浴びたF・サガンの、40代くらいまでのインタビューをまとめたもの。
いまでも読み返すと響いてくる言葉がたくさんあるし、今だからもっと理解できる部分や、反対にこういう考え方でいたらダメだったなぁということもある。

こういう抽象的な話だけではなくて、ユーモアいっぱいの家族のことや、小学校を退学になったこと、戦争の思い出、警官とケンカして裁判になったことなんかのエピーソードも面白い。
けして尊大ではなく誠実に、的確な答えや言い回しをする。
だからといってまじめすぎて変に偏るようなこともない、という所が好き。


2003.4

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