-花とコトバ-
草の上
野原に出て座っていると、
私はあなたを待っている。
それはさうではないのだが、
たしかな約束でもしたやうに、
私はあなたを待つている。
それはさうではないのだが、
野原に出て座っていると、
私はあなたを待っている。
さうして日陰は移るのだが――
この後「かなかなはどこで泣いている?林のなかで、霧の中で-」 と長めに続きます。 彼女を待っている、約束はないけれど、こうして座っている−その情景が美しく、後半はいっきに加速して終わります。 意味をふかく考えるというより、うたうような言葉の流れが好きです。 |
かよわい花
かよわい花です
もろげな花です
はかない花の命です
朝さく花の朝がほは
昼にはしぼんでしまひます
昼さく花の昼がほは
夕方しぼんでしまひます
みんな短い命です
けれども時間を守ります
さうしてさつさと帰ります
どこかへ帰つてしまひます
花は”時間を守ります” といわれると、変わってゆくことが怖くてあがいてしまう自分が、イサギ悪いと指摘されているような。 それでもやっぱり、ぐずぐすと中途半端にあがいてしまう。 |