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これはみんなの食いつきが良かった(笑)テーマ。挙げれば星の数ほどでしょうね。
自分ならコレ、というお気に入り、名前だけでも教えてください。

  1. 『天のテラス』小椋冬美
  2. 『冷静と情熱のあいだ』江國香織 ・ 辻仁成
  3. 『タマリンドの木』池澤夏樹
  4. 『チョコレート革命』 俵 万智 他
  5. 『シンプルな情熱』アニー・エルノー
  6. 『アドルフ』バンジャマン・コンスタン

『タマリンドの木』 池澤夏樹/文春文庫

まる(花日和vol.11より)
これはたぶん私にとって、池澤夏樹を読んだ1冊目だったと思う。
あれこれ読んでみれば、いろいろな国がこの人の物語の舞台になっていること、いわゆる発展途上国がよく出てきて、そこに生きる人々やそこに関わる日本人の力強さ、エネルギーみたいなものを共通してこの人の小説に感じ取ることができるのだけど、初めてだったものだから。
ある種カルチャーショックだったと言えるかもしれない。風車による風力発電。タイのカンボジア難民キャンプ。
 そしてその力強さをもって自分の人生を選んでいく女性を愛して、男性がひかれて自分の人生の方を変えてしまった。その過程で男性が色々思い悩む。ずっとその考えが書き連ねてある。多分男の人はこういう風に考えて恋愛をするんだろう。筋を通そうとするのだろう。たとえ結果としては、理屈より感情にひきずられてしまうにしても。
二人が愛し合って、かつ自分らしく生きようとして、模索する、大好きな恋愛小説。


『冷静と情熱のあいだ』Rosso〜江國香織 ・ Blu〜辻仁成 /角川書店

ますぽん(2002/3/12)
いまさらって感じですが、やっと読み終わりました〜。
簡単に説明すると、同じタイトルで二人の作家による(江國香織と辻仁成)二冊のコラボレーション物です。

内容は、別れた男女のその後10年間の生活、昔のおぼろげな約束を信じて再会するまでの話なのですが、それぞれの作家があおい(女)、順正(男)の立場となり、江國さんの方ではあおいが主人公のあおいの物語、辻さんの方では順正が主人公の順正の物語となって展開するのです。
率直な感想は「面白い」!!
こんな表現方法もあったのかーといった感じです。
作家にとっては、なんとも大変な手法だと思うのですが(お互い、かなり打ち合わせを重ねないと、このような作品は出来ないのではないでしょうか?)見事な、これぞコラボレート作品!!と思いました。
まるで自分自身が恋愛しているかのようなハラハラドキドキの気分で読みました。

通常の恋愛小説って一冊の中に男女の気持ちがそれぞれ描かれていて、読者は双方の気持ちが手に取るようにわかる・・・といった感じだと思うのですが、この本は違うのです。

江國さんのあとがきに、
「どんな恋も、一人の持ち分は1/2であるということを・・・これはあおいの物語です。あおいとあおいの人生の。そして恋に関する限り、すべての半分の物語です。あとの半分、あおいの知らない順正と、あおいの知らないあおい自身とが、別な小説に閉じこめられています・・・」
とありました。
妙にあとがきに感動してしまった私(笑)

そうなんですよねー、自分が知っている自分と相手にしか知り得ない自分・・・
そういった部分が二冊の本を読み比べることによってわかるので、そうった面でも秘密を知ってしまうような感覚で面白いなーと思ったのかもしれません。

あと、この本を読むと、いかに人生は、気持ちのスレ違いや誤解の多いことか!
実生活でもきっと、自分が気が付かないだけで、実は気持ちのスレ違いなどで、しなくてもいい別れをしているのかも知れないですよねー(笑)。

スウ(2002/3/16)
はじめてこのタイトルを見たとき、むちゃくちゃ上手い!って思いました。
恋愛は「冷静と情熱」のあいだを行きつもどりつしながら紡がれる、そんな男女間の妙を期待させる題名だと思います。

わたしはまだ読んだ事無いですけど、この本は江國さんの「Rosso」から読んだほうがよいらしいですよー。

私もやっと読みました (スウ/2002/9月)
二冊とも、前半は割と淡々としていて少々まだるっこしささえ感じてしまいましたが、終盤にがーっと盛り上がるのがたまらなく良かったです。特に江國さんのRossoは、本当にうっとりするような粋な恋愛小説だわと思ってしまいました。舞台がイタリアというのもこれ以上ないお膳立てのような気がします。
でも、Rossoのほうは終り方がとても納得行きませんで、恋愛小説としては完璧な終わり方だわ、と思いましたがこんなに愛し合っていて結ばれない、というのが一種のあほらしささえ感じるほどでした。
で、Bluを読んでやっと自分としては収まりがよく納得することができました。そういうもんじゃないのかもしれませんが。

でもBluのなかで一番面よかったのは阿形順正が絵画の修復をしていくところ。後から考えるとあおいとの関係を暗示しているのかもしれませんが、修復作業の丁寧な描写、仕事に熱意を傾ける姿というのは気持ち良かったです。だってそれ以外はほとんどずっと、あおいの事を忘れられずに悶々としている彼でしたから。

やはりこの本は対(つい)で読むと一味違いますね。別々の生活をしている二人がほんの一瞬接する、または最後に合流していくところなんてドキドキします。辻仁成さんが「冷静と情熱」というフレーズがいたくお気に入りだったようで、連発するのが気になりましたが…。

『天のテラス』小椋冬美/講談社漫画文庫

Aki (花日和vol.3より)

いろんな出版社から出ているのですが、どれも嫌味がなく、ひとつひとつの作品が短いのが多くて、読後感は「ホッとほのぼの」のひとことです。 みんな、温かくて、ハッピーです。第1話〜第18話まであります。 例えば…

第2話 【 2階のぞうさん】
*若い夫婦の奥さんが、2階のすごい物音をきいて、「ぞうさんでもいるのかしら?」と、だんなさんと想像をふくらませる。

第3話【パン屋の娘】
*小さな町の若くカワイイパン屋の娘と、旅と放浪の若者が恋をする。
…などなど、短い恋物語です。
他の作品もぜひよんで下さい。いろんなタイプの女性、男性が出てきて、いろんな気分が味わえます。


スウ (花日和vol.3より)
この「天のテラス」は、途中から成年誌に連載されていただけあって、単なる恋物語ではなく非常に内容が濃いです。主人公も若い娘だけでなく10歳くらいの少年・少女から中年男性・浮浪者・老婦人と実に様々。

フランス映画のひとコマを観るような、美しい絵と言葉たちに心を奪われます。

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