高校の時の生物の先生が、この本を、さし絵つきでコピーして授業の時に配られたのですが、思ったほどかた苦しくないし、表現もやさしいです。ユーモアと、動物たちへの愛情にあふれていて。思わず笑ってしまうところがいっぱいです。
鳥のひなは、かえって初めて見た物を母親だと思うそうです。著者のローレンツさん(動物の研究をしている)は、かえったばかりの小ガモたちは、母親の姿にではなく、呼び声に生まれつき反応するようになっている、という仮説をたてて、実験をやってみます。
ローレンツさんは、自分が、マガモの母親の鳴き声をまねして、小ガモたちに母親と思わせ、しゃがんだ姿勢で、ゲッゲッ言いながら、庭中小ガモたちをしたがえて散歩させたらしいです。楽しそうだけど、生物学者もラクじゃないんですね。
ローレンツさんが立ち上がると、小ガモたちは見捨てられたときの泣き声を出すし、半分間でもゲッゲッの声を中断したらやっぱり泣き出すし・・・。そうやって頑張っているのを、垣根越しに観光客たちがのぞいてたまげていた、というオチもついています。
犬好きのかたには、『人 イヌに会う』(題名が正確じゃないかも、ごめんなさい)という同じ著者の本もありました。
動物がまったく警戒しない、動物とひとつの世界を共有できるひとのことを、アニマルパースンというのだそうで。黒柳さんは間違いなくそんな稀な人のひとり。
シャッター音で子供を隠してしまうカバは、黒柳さんが「お嬢さんいまが一番可愛い時期ですよ!この時期に撮っておくのがいいと思うの」と呼びかけると子供を前に押し出しポーズをとってくれる!ほんとかしら、とおもうけど、そんなエピソードがひとつやふたつではない。
そのほかにも、
・ えさをもらわなくても舞台裏で芸の練習をするアシカ、
・ 食べものを洗わないアライグマ、
・ 年寄りロバが金の総入れ歯にした事の顛末、
・ らくだは鼻の穴をきっちり閉じられる、
・ ミニ・パンダ兎の考えたこと、
・ もてない孔雀、
・ レッサーパンダの妻の告白、
・ ペリカンの三角関係
等など、観察力と表現力が最高の黒柳さんと、動物園をくまなくじっくり楽しみながらまわれます。ほんとよ。
ハラスが庭や雪山を元気に駆けずり回るところ、酒の肴をよだれをたらして狙っている様子、牛乳をくわえて誇らしげに歩くところ、目をらんらんと輝かせて散歩を催促するところ、玄関で郵便ポストに乗ったまま中野さんをじっと待ち続ける様子、などなどを読んでいると、ハラスの愛らしさ凛々しさ、それを見守る中野さんの幸せな気持ちがひしひしと伝わってきて、ほんとーにあったかい気持ちになれた。
もうひとつ重要な部分は「飼う側の責任」を激しく問うていることで、植木さえすぐ枯らしてしまう私は動物を飼っても世話をしきれる自信がないので飼わないが、中野さんも言うとおり仔犬のころだけかわいがって大きくなると繋ぎっ放しでエサだけやってればいいんでしょうという飼い方をされていた犬をよく見かけたことがあるので、それを思い出してせつない気持ちになったりもした。
そういう風に自分勝手な人は動物や自然との心からの交流は出来ようがないと言っている。
一方『犬のいる暮らし』のほうはすっかり老境に至った著者が「現代人にとって、特に老人にとって犬とは」の様な内容で心境を綴っていて、飼い犬の描写の部分は少ない。題名を「現代老人の伴侶-犬-」とでもすべきだったのではと思うくらい高齢化社会の現状を考えさせられずにはいられない。ただ、中野さんがハラスの死後5年も犬を飼わなかったのに犬を再度飼い始めたらもうずっと飼い続けずにはいられなくなった事は、なんだか安心もした。
「朝、わたしが起きて階段を下りてゆくと、客間の長椅子の上で母親と寝ていた仔犬が、その音を聞いてトンととびおりる音がして、階段を下りきったときにはもう、とび上がり跳ね上がり、全身でわたしを熱烈歓迎する。朝起きていけばこんなふうにこちらの出現をよろこんでくれる者がいるということは、わたしにとってそれだけですでに何事かである。仔犬がいなければ朝からこんな喜悦の感情で一日が彩られることはないのだから。」
こんなふうに、老いてますますのガンコおやじが犬にホロリとさせられる様子が、一番好きな部分だった。
*この文章は掲示板にいただき、Doiさんの了承を得て掲載しています。
”人間の家をのっとるには・・・「もし貧乏な家を乗っ取りたいというのならそれは自由だけれどわたしならやめておくわ」”
”人間は習慣の生き物ですから・・・「いつも家族のだれかが、『猫ちゃんのぶんは?』というように、人間をよくしつけておかなくてはいけません」”、
”おいしいものを食べるには・・・「それなりの戦略と、強い意志が必要です。−最後に勝つのはあなたよ。」”
”人間をイチコロにする魅惑の「声なしニャーオ」を徹底的に練習しましょう”
等など、ギャリコという人のユーモアセンスと猫好きワールドにどっぷり浸れるおいしい本。灰島かりさんの”すました雌猫口調”の翻訳も面白さに輪をかけていると思う。
猫の本音が分かってみると、うちも乗っ取りや別宅として狙われていたのかもしれない・・・。
*この本はきなさんにお借りしました。ありがとうございましたー
●Doi (2002/10/25) 〜Doiさんのサイト「花日和」掲示板より
買いました!「猫語の教科書」
写真がかわいくて、もう、メロメロです。
これは、よい本ですね〜。
にゃんこへの愛が、またいっそう深まりました。
ま、既にわが家は花子に乗っ取られているわけで、私にも充分自覚があったのですが、この本を読むと「そうであったか。」と、いちいち納得がいきましたわ。
うって変わって、花子サンはべたべた甘えてくれちゃってます。
この緩急が、ニンゲンを躾けるコツなんですねェ。ナットク。
←Doiさんちの花ちゃんです! ※Doiさんの了承を得て掲載しています。Doiさんのサイトへはリンクページからとべます。 |
猫の写真集です。いわゆる「モデルネコ」じゃなくて、町のなかに自然にとけこんでいるニャンコたち。 瞳の美しさにすいこまれそう。 消えゆく下町の赴きも味わえます。 撮った時の猫状況コメントがまたユカイ。 |
おきてやぶりの中見せ。宣伝だからゆるして。 18×17cmのかわいい本です。1333円は高くない。 |
*ハ二一(はに はじめ)さんのサイトへはリンクページからジャンプ出来ます