秋芳洞

2015.05.24



       と言う訳で、福岡山口遠征二日目です。昨日は北九州にある戦争遺跡を見て回り、関門海峡を望む九州
      自動車道のめかりPAにて車中泊。今朝は早くに出発して、山口県美祢市の地下に広がる日本最大規模の
      鍾乳洞、秋芳洞を見に行きます。
       早朝の中国自動車道をひた走り、0830に秋芳洞駐車場に到着。GWもとうに過ぎたせいか、日曜早朝の
      駐車場は閑散としていて、思わずニヤリとさせられます。人がいる鍾乳洞とか、勘弁ですからね。連休を全
      部仕事で潰して、あえて時期外れの今日来た甲斐があるというものです。

       古臭いバスターミナルから、秋芳洞へと続く細い道。ああ、久しぶりだなあ。秋芳洞はかれこれ3回目です
      が、やはりワクワクというかゾクゾクが止まりません。それにしても、既に秋芳洞は開いている時間なのに、
      道の両側を埋めたお土産屋の殆どが閉めたまま・・・というやる気のなさが素晴らしい。これ位の方が、怪し
      い観光地らしくていい感じです。
       古い駅舎っぽい秋芳洞の玄関口に到着。既に何人かの見学者が入っている様ですが、広い洞内でこの程
      度ならどうって事はありません。案内所裏手にある倉庫は黒カビに浸食され、いかにもじめじめとした陽
      の当らない場所・・・といった味わい。雰囲気ありますね。
       キレイな渓流沿いの山道を、ホテホテと歩いて行きます。洞内から湧いて出た水がカルシウムで白濁して
      いるので、川面のところどころがエメラルドグリーンに輝いてキレイだなあ。こんなところでキャンプしてみたい
      ものです。

       しばらく歩いて行くと、どうどうという重い水音が聞こえてきました。そして視界に入るのは、見上げる様な
      大な岩盤の裂け目。秋芳洞の入り口です。今でこそコンクリート製の通路が作られていますが、最初に見つ
      けた時は凄かったんだろうなあ。初めて内部に足を踏み入れた人の驚きや感動、恐怖は、想像を絶するも
      のがありそうです。
       まずは入り口付近で、カメラの設定を変えつつ何枚か撮影。なるべく目に映った光景に近い明るさを探しま
      す。今日は洞内での撮影に十分時間を取れるので、何枚も撮影して納得のいくまで設定をやり直しましょう。
       正面入り口から入ってすぐの所は、天井が高くうねうねとねじ曲がったホール状の空間になっています。は
      はあ、この空間が昔は全部石灰岩で埋まっていて、地中にしみ込んだ雨水が数十万年かけてその石灰成分
      を溶かしていき、こんな途方もない地下空間を作ってしまったとは。ちょっとゾッとするスケールです。

       しばらく歩くと、百枚皿が見えてきました。棚田の様な形でヌルヌルテラテラと照明に照らされたそれは、
      るで地底に広がったなにものかの臓物
の様。グロテスク極まりない自然の造形というか、純粋度の高い趣味
      の悪さ
を感じます。

       周囲の空間はたっぷりとした広さがありますが、場所によっては地下水が流れている川面よりもかなり高い
      位置に高架式の通路が作られていて、丁度トンネルの真ん中を歩いている状態。見上げる様な天井の高さ
      と同じ位、足元にもスペースが広がっているのが驚き。ジャブロー基地で右往左往しているアッガイの気分を
      満喫
です。

       広庭と呼ばれる地下の空間を抜けると、傘尽くしが見えてきました。天井からはつららの如く、無数の鍾乳
      石
がぶら下がっています。今でこそ通路がきちんと整備され、ライトアップも行われていますが、そんなもの
      が何もなかった時代に、懐中電灯(松明?)一つでこの中を探検した人達にとっては、さぞかし震え上がる様
      な光景
だったんでしょう。ちょっと羨ましい気がしますが(笑)

       とは言え、観光設備が整った現代でも、まるでSF映画の中に放り込まれた様な非現実感。何度見ても、圧
      倒されてしまいます。
       ここから先は、道は登り坂にさしかかりますが、手すりと階段が完備されているので楽ちんですね。階段の
      途中には休憩コーナーがあり、脇道へ逸れて行くとカルスト展望台に出るエレベーターホールに出ます。が、
      あれ?なんか以前来た時と感じが違いますよ。

       前に来た時は、もっと素っ気なく白っぽい感じの内装で、まるで古い病院の地下にある謎の焼却施設みた
      いな、非常に不気味な雰囲気
が漂っていたのですが・・・。
       今は新しいベンチや照明設備が施され、ちょっと暗めのマンションのエレベーターホールみたい。すっかり
      普通になってしまって、個人的にはちょっと残念かも。もっとも、一年を通して湿気の多い場所ですから、あま
      り古いままだと色々危険
だったんでしょうけど、ここはそのままにして欲しかったなあ。

       黄金柱を見た後は、素っ気ない造りの暗いトンネルを通って黒谷支洞へ。そうそう、こういう殺風景なトンネ
      ルでいいんですよ。

       黒谷支洞に入ると、岩窟王マリア観音といった小ネタ的なものが続きますが、圧巻だったのがくらげの滝
      のぼり
。本当にクラゲが滝を登っているみたいで、いちクラゲ好きとしては感動してしまいました。こんなにア
      グレッシブなクラゲって、初めて見たなあ(笑)。
ただ流されるままに生きているクラゲにこんな一面があったと
      は、正直驚きです。

       最後は三億年のタイムトンネルを通ります。あれ?以前来た時は、こんなのあったっけ?長い長い地下通
      路の両側に、地球誕生から現代までの様子が描かれた長大なアートトンネルですが、青緑赤黄と、刻一刻と
      サイケデリックに変化する照明の迫力
が強烈です。
       それにしてもこれ、秋芳洞の暗く怪しい雰囲気とはまるで合わない気がしますが、ここまで真逆の方向性の
      ものを堂々と持って来られると、これはこれである意味アリというか、問答無用で納得させられた様な強引さ
      がありました。

       っていうか地球誕生って、確か43億年ぐらい前じゃなかったっけ?あくまで推測なので、誤差は当然あるで
      しょうけど、15倍近い開きがあるのはどうなんだろう。
       なんだかんだであっという間に終点である黒谷入口に到着。とはいえ、僅か1kmの道のりを2時間もかけ
      て歩いてしまいました。ここから正面入り口まで戻るには、便数の少ないバスを待つか、高いタクシーに乗る
      か、もしくは山道を20分かけて歩いて下るか、先程の鍾乳洞を引き返すか。私的には、やはりもう一度洞内
      を歩いて帰りたいですね。

       怪しさ満点の秋芳洞を満喫しながら、再び地底を歩きます。そもそも、どうして私は暗くてじめじめした気持
      ちの悪い地下空間にこんなに魅かれてしまうのか
。それはやはり、まだ小さい頃に田舎のバアサマに見せら
      れた、映画『八ツ墓村』の影響に他ならないでしょう。あんな陰惨で淫美な映画を、何故バアサマは幼少期の
      私
に見せたのか。何かの英才教育のつもりだったのかなあ。全くもって理解に苦しむところではありますが。

       それにしても、あの中途半端にハッピーエンドな妙な原作から、あんな大傑作を作ってしまった野村芳太郎
      監督
って、凄い人だったんだろうなあ・・・。そう言えば、芳太郎の芳って、秋芳洞の芳なのか・・・等と考えてい
      るうちに、正面入り口に到着です。

       ほんの3時間足らずの地底行でしたが、外界に出たとたんにわっと襲い掛かってきた植物や鳥、虫達の生
      命感
に圧倒されてしまいます。さっき秋芳洞に入る前に通った時は、そんな事は全然感じなかったのに・・・。
      実際秋芳洞の内部にも、僅かながらコウモリや虫、小エビの類がいるそうですが、感覚的には生命感絶無の
      地獄巡り
をして来たような気分なんですよね。

       朝来た時は閉まっていたお土産屋通りですが、さすがに昼前の時間になればやる気程々ながらも開いてい
      ます。さて、時刻は1130。お腹も減りましたし、ちょっと早いですが昼食にしましょう。
       ふと見ると、一軒だけやたらと新しい大きなお土産屋があり、中のレストランで食事も出している様です。じ
      ゃあここにするか。さて何を食べようかな・・・あ、このゴボウを練り込んだざるうどんの上に、ゴボウの素揚げ
      が沢山乗っているの
が美味しそう。ゴボウの名産地である山口県ならではの地方色もありますし、折角だか
      ら天ぷらもつけちゃいましょう。
       テーブルについて撮影した画像を見直していると、ざるゴボウ天ぷら付きがやってきました。さっそく頂いて
      みましょう。

       まずは上に乗っているゴボウの素揚げをよけて、ゴボウの粉末を練り込んだ太うどんを食べてみます。うー
      ん、ゴボウらしい風味は、ある様なない様な・・・。意外と普通ですね。しかし素揚げしたゴボウと一緒に食べる
      と、これが美味い!揚げ油のコクとゴボウの香りが出汁に溶け込み、実にいい塩梅です。
       天ぷらはエビ、れんこん、ピーマン、さつまいも・・・といった、ごく普通のラインナップ。しかしこの天ぷらは、
      別添えの出汁につけて食べるんですね。てっきりうどんの出汁に入れるのかと思っていたのですが。ゴボウ
      の素揚げもあるので、出汁を一緒にすると油っ気が強すぎるのかな?

       その後は駐車場に戻り、山道を駆け上がって秋吉台科学博物館へ向かいます。ここも以前一度来た事が
      あるのですが、その時は風の中に雪が舞い散る曇り空だったので、気持ちいい位に晴れた今日とは随分違
      った印象だなあ。
       村の分教場の様な趣のある入口から、館内へ。初夏の陽射しとは対照的なひんやりとした空気が、古い博
      物館らしくてうっとりしますね。今時の予算をかけまくったテーマパークまがいの博物館とは一線を画した、
      き良きアカデミックな雰囲気
に満ちた秋吉台科学博物館。うーん、実に素晴らしい。

       秋吉洞内には実は様々な生物がいる事は先に述べましたが、このアキヨシメクラチビゴミムシってのは、い
      くらなんでも酷過ぎる気がします。本名がこれでは、学校でいじめられそう。自分の子供がこんな名前で呼ば
      れていじめられている事を、アキヨシメクラチビゴミムシのお父さんお母さんは知っているのだろうか・・・と思
      いましたが、よく考えたら両親もアキヨシメクラチビゴミムシなんですね・・・じゃあいいか(いいのかよ)。とりあ
      えず、一家揃って強く生きてほしいものです。

       秋吉台に関するあらゆる事象を分かりやすく説明していますが、中でも特に興味深かったのが、秋吉台に
      おける気象や地下水の、複雑怪奇な動き
。科学が発達していなかった昔の人にとっては、まさしく神秘としか
      言いようのない数々の不思議な現象も、科学的に全部説明がつくものだったんですねえ。
       地球創世記から人類の誕生までのジオラマ展示も、作りはチープながらも結構手が込んでいて面白いし、
      まさしく博物館の理想の姿と言える秋吉台科学博物館でありました。

       その後はすぐ傍にある展望台へ向かいます。高台から眺めた秋吉台は、実に感動的な光景。うーん、これ
      は日本にいる気がしないなあ。ものすごい開放感です。山肌に無数に点在する白い石灰岩が、牧草地に散
      らばった羊の群れみたい。ここにいるだけで視力は上がり、肺活量が増えそうな気分です。

       最後は、来る途中に見つけて、ちょっと気にかかっていた建物へ。今はもう使われなくなって、放置されてい
      るバスターミナルの様ですが、隣にある閉鎖された食堂も相まって、なんとも見事な佇まい。廃墟と言える程
      古びてはいませんが、これから長い年月をかけて立派な廃墟に成長しそうな、輝かしくも輝かしくない可能性
      のきらめき
を感じますね。

       と言う訳で、1300に秋吉台を出発です。いやー、何度来ても実に面白かったです。秋吉洞。この後は同山口
      県周南市
に移動して、山中深くにひっそりと存在するという『宇宙の駅』を見に行きます。いやー、強烈でした。
      宇宙の駅・・・。




『宇宙の駅』に続く
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