2012.11.24
週末の3連休を利用して、呉と江田島の海自関連の施設を1車中泊2日で見てまいりました。呉と江
田島はもうこれで何度目になるのか分かりませんが、定番である海軍兵学校やてつのくじら館、桟橋
での艦艇一般公開の他、江田島各地に今も残る戦争遺跡やネットで見つけた呉のステキな銭湯にも
立ち寄ろうという、今年最後のイベントに相応しい魅力的なプランとなりました。
生憎3日間フルに休みは取れませんでしたが、土曜日の深夜0300に大阪を出発、山陽自動車道を
ひた走って広島東ICから広島高速に乗り継ぎ、0730に早朝の呉に到着です。
おお、Sバースには潜水艦が沢山いますね。天気はあまりよろしくないですが、まあ降らなかっただ
けでも満足かな。少し離れた所にあるアレイからすこじまの駐車場に車を乗り入れ、坂道を下って潜
水艦桟橋まで移動です。
空は少し青みがかってきましたが、海の色は随分冷たい感じだなあ。目の前にはおやしお型が4隻
とはるしお型が2隻・・・いや、そうりゅう型も1隻混じっていますね。海自が現在運用している3種類の
潜水艦を一通り見る事が出来るのですから、これはお得です。
ちなみにその後方には潜水艦救難艦がいますが、ちはやかちよだのどっちだろう。
右手の桟橋には、何隻もの護衛艦がひしめき合っています。明日はあぶくまの一般公開があるので
これも楽しみ。よく見ると奥の方にはひゅうが型護衛艦まで停泊していますね。ひゅうがかな?いせか
な?左手の方には音響観測艦ひびきもいて、いかにも呉らしい実に豊富なラインナップです。
お、一隻の艦が入港準備を始めています。あれは・・・訓練支援艦てんりゅうです。この前地元の堺
泉北港で見た艦ですね。それにしてもまもなく0800の自衛艦旗掲揚ですが、どうするんでしょう。入港
準備を取りやめて、甲板に整列するのかな?
よく見ると既に艦尾に自衛艦旗が掲げられています。いささかフライング気味ではありますが、危険
の伴う入出港時に重なった場合は、先に掲揚を済ませてしまう様ですね。
そうりゅう型潜水艦の後甲板では、ラッパを持った隊員さんがプパプパと試し吹き。今日一日の艦内
生活のスタートですから、他の潜水艦に負けない君が代を吹こうと気合を入れているのでしょうか。
0755、自衛艦旗掲揚5分前です。各潜水艦の甲板には隊員さん達が整列していますが、入港中とあ
ってか殆どの乗組員は上陸している様で、どの艦も10人位しかいません。
そして0800、静かな潜水艦桟橋にラッパの音が響き渡り、艦尾の自衛艦旗がゆっくりと掲げられてい
きます。うん、もう何度も見た光景ですが、やっぱりこの時間に間に合うように出発してよかった。
それにしても、通常は艦尾の旗竿で行う自衛艦旗掲揚ですが、はるしお型の一隻では艦橋真後ろで
行っていました。どういう使い分けなんだろう。艦尾で出来ない訳でもあったのかな?
以上で朝の儀式は終了。甲板にいた隊員さん達は、やれやれといった感じで艦内に戻って行きます。
この後は寝棚に入って一休みする人や、戻ってきた隊員さんと交代で上陸する人、当直で仕事に取り
掛かる人と様々なのでしょう。
さてこの後は、呉港に移動して江田島に向かいます。と、今になって桟橋に明るい日差しが差し込み
始めました。うーん、あと10分、いや5分早ければなあ・・・(泣)。
という訳で、呉ポートターミナルへ移動。コインパーキングに車を預け、さっと荷物をまとめます。券売
機で小用港行きのフェリー券を購入し、冷たい風の吹く桟橋へ。
目の前のIHIマリンユナイテッドのドックには巨大なタンカーが横付けされ、よく見ると護衛艦も入って
いました。ハルナンバーが106ですからむらさめ型ですが、流石にタンカーが隣だと小さく見えるなあ。
もうちょっと呉の港の風景を眺めていたかったのですが、フェリーがさっさとやって来てさっさと出港。
あまりのあっけなさに拍子抜けですが、まあこの辺りの人にとってはバスみたいな感覚なんでしょうね。
出港時に盛りあがれと言う方が無理か(笑)。
初冬のおだやかな呉の海を、フェリーは江田島目指してとろとろと進みます。ドックの周囲にはいくつ
も船台が浮いていて、ブロック工法で組み上げられるフネの切り身(磯野じゃない方の)がどんどんどん
と並んでいます。おお、先程見えたひゅうが型はDDH182いせでした。その前にいるのは、輸送艦くに
さきですね。
その他フェリーの上から確認できた艦艇は、さざなみ、いなづま、うみぎり、せとゆき、しらゆき。
お、一隻の潜水艦が盛大に蒸気を噴き上げています。うわあ、目の前でみたかったなあ。
フェリーは沖止めされていた輸送艦おおすみと補給艦とわだの近くを通り過ぎます。こちらはタンカー
に劣らない堂々たるサイズであります。
それにしても、先ほどからデッキに出ているのは私だけで、他の乗客の人達はみんな暖かい船室内
にいるんですね。観光客丸出しの自分のおっちょこちょい加減に、ちょっと赤面。
なんだかんだであっという間に20分が過ぎ、江田島の小用港に到着。そこからバスに乗って10分
程で、海軍兵学校に到着です。見学開始は1000からなので、まだ随分時間があるなあ。警衛所前の
受付にて名前と住所を記入して、見学者用のバッジを貰います。
見学者の集合場所である厚生センターですが、売店はまだ閉まっています。という訳で、別の場所に
あるポプラへ行ってみましょう。それにしても、やっぱりここは舞鶴とも横須賀とも雰囲気が違いますね。
空気というか、時間がずっと止まったままみたいな感じです。
この術科学校の中で、唯一外の世界との共通点が感じられるポプラですが、それでも余所では売っ
ていない自衛隊グッズ等が多く並べられ、雑誌コーナーには軍事研究や丸が置いてあるのもここなら
では。
ポプラの隣には学生さん用の売店があり、ジョギングシューズやトレーニングウェア、単語帳やチェッ
クペン等の学用品が充実しています。小学校の前に一軒はあった、学校指定の文房具屋みたいな雰
囲気が懐かしいなあ。
その隣はソファが並んだ休憩スペースになっていて、小さな棚にはまんがの単行本が並んでいます。
校内にいるのは殆ど男ばかりなのに、7割がた少女漫画なのが意外ですね。とは言え、不思議と似合
う様な気がするなあ、海自と少女漫画って。
駐車場には大きな観光バスが続々と入って来て、さながら海岸線に乗り上げた強襲揚陸艦から飛び
出してくる完全武装の一個中隊のように、高齢者の人達がだばぁと出て来ました。
厚生センターの集合場所には既に沢山の見学者が集まっていますが、もう少し時間があるので2階
にある展示コーナーを見学しに行きます。階段を上がった所にはデカイLCACの模型が展示してあり、
これはまたよく出来てるなあ。1/10という縮尺なので全長が1m位あり、迫力満点です。しかもこれ、
全部段ボールで出来ていて、第2代LCAC艇隊長の町田三等海佐が教育用に手作りしたものだそう
です。えええええ、これを隊員さんが作ったの!?
よく見ると確かに一つ一つのパーツが全部段ボールで出来ていますが、もの凄いクオリティです。し
かしまあ、色んな特技を持った隊員さんがいるんだなあ。ちょっと感動してしまいました。これを作るの
に、一体どれぐらいの時間と労力がかかったんだろう。
おそらく実物のLCACを隅から隅まで採寸して図面も書き起こしたんだと思いますが、いやあびっく
りしました。
とは言え、教育用とかいいながらもめちゃくちゃ楽しんで作っていたであろう町田三等海佐の様子が
目に浮かびましたね(お会いした事はありませんが)。
資料室には海上自衛隊の成り立ちや組織図、各地方総監部の説明や在籍艦艇等の説明パネルの
他、初期の艦艇の模型やペルシャ湾で掃海部隊が爆破処理した機雷の実物、各種装備品類が大量
に展示してあり、予想以上の充実ぶりです。
軟式潜水器具なるものも展示してあり、レトロかつおどろおどろしい格好よさが堪りません。赤銅色
のヘルメットだけで21sもあるそうで、これは大変だなあ。
他にもソノブイやMK44魚雷、シースパロー、無人標的機チャカV、艦橋を模した一角には操舵磁気
羅針儀、電気式操舵装置、速力兼回転発信機が置いてありました。
一番面白かったのが測距儀の実物展示で、実際に操作して窓の外の建物までの距離を測定する事
が出来ました。へー、なるほど、こうやって使うのか。
おっと、そろそろ集合時間です。階段を下りてホールに向かうと、おおお、凄い人数ですね。ざっと見
て150〜60人はいるのでは。既に案内係の方が説明を始めていますが、確か私が初めて江田島に
来た時は、平日だったとはいえ12〜3人位しかいなかった様な。いつの間にやら凄い事になってるな
あ、江田島。
明治初期につくられた海軍兵学校は当初は東京都築地にありましたが、帝都が開発されてどんどん
周囲が華やかになり、海軍士官の勉学の場としては相応しくないとの観点から移転の話が持ち上がり、
候補としてあげられた高知、呉、江田島の三か所のうち、一番何も無いという理由で江田島が選ばれ
たとの事。
「皆さん、この江田島には本当に何もありません。ですので、お帰りの際にはそこの売店で少しでもお
土産を買って頂ければ、その分江田島市がちょびっとだけ助かります(笑)」
と、案内係の人。なるほど、それでは私も些少ではありますが、江田島市の財政に貢献して帰る事に
しましょう。
という訳で、見学ツアーは出発。案内係の人は途中で職員の人とすれ違う時に、
「じゃ、行ってきます」
と言いながら、自然な所作でぴしっと敬礼。もう結構なお歳に見えますが、在職中に染みついた潮気
が全然抜けてない様です。もっとも退職後の第二の職場として江田島を選んだのですから、潮気が抜
けるどころか年々磨きがかかっているのかも。
まずは厚生センターを出てすぐの所にある大講堂へ。それほど大きな建物ではありませんが、なぜ
か異様に重く大きく感じられるのは、この土地が積み重ねてきた歴史や時間を纏っているからなのか
なあ。しんと静まり返った講堂内も時間が止まっているようで、やっぱり雰囲気があります。
天井部分には和紙が貼り付けられているらしく、そのため非常に音の反響がいいそうです。このあ
たりは、西洋の方法論をもって大和魂を涵養する、海軍らしいリベラルな精神であります。
幹部候補生学校の卒業式はここで行われ、その際には学生さんの親御さんの他、国内外からの沢
山の来賓が招待されるのですが、過去に一人だけ2階席角の特別席に座った親御さんがいるとの事。
「皆さん、誰だかご存知ですか?当時の自民党幹事長を務めていた、小沢一郎さんですよ」
へー、小沢議員の息子って幹部候補生学校出身だったのか。知りませんでした。
ちなみに小沢ジュニアの卒業席次については、あまり芳しくは無かったそうです。まあオヤジさんが
オヤジさんですから、色々と注目されてしまうのは致し方ないところではありますが、在学中の成績ま
でネタにされるというのはちょっと気の毒な様な(笑)。とは言え、海自では後々ついて回る大事な要素
ですからね、卒業席次って。
また幹部候補生学校には年々女学生も増えていて、男子学生の20〜30倍どころではない実に80
倍を超える狭き門をくぐり抜けて来ただけに、男子学生をしのぐ極めて優秀な人材揃いだそうです。ち
なみに今年の4月1日をもって女性初の護衛艦艦長が誕生したらしく、
「そのうち護衛艦隊の艦長は、ぜ〜んぶ女性が務める時代がくるかもしれませんなあ」
と、案内係の人が笑いながら仰っていました。
続いては、隣にある幹部候補生学校前へ。この頃には幾分晴れ間が見えて来て、まさに白砂青松と
いうべき広場に、赤レンガが実に映えて見えます。太平洋戦争当時までは帝国海軍士官候補生が、そ
して現在は幹部自衛官の卵である学生たちが、ここで日夜厳しい教育を受けています。
ちなみに明治期にこの庁舎を建てるにあたって、赤レンガを一つずつ油紙で包んでイギリスから輸入
した事は広く知られていますが、そのレンガ一つが当時の大工さんの日当よりも高く、現在の貨幣価値
にして約2万円ぐらいとの事。案内係の人いわく、
「この建物にレンガが全部で幾つぐらいあるのか、想像もできませんなあ」
また、通常のレンガは300℃程度の熱で作られるそうですが、ここで使っているレンガは1200℃以
上という超高温で焼成された特別製で、レンガとは思えない滑らかな手触りだそうです。
建築後120年近く経ったこの庁舎ですが、その間一度も洗いをかけられていないのにこの美しさを保
っているのは納得だなあ。
広いグラウンドの向こうには、戦艦陸奥の主砲が展示してあります。以前は表桟橋やあの砲塔の真
下まで見学出来たのですが、最近は見学者の数が多くなっているのでそこまでは行かないみたいです。
幹部候補生学校の西端には、建物の半分を貫く全長144mの廊下があります。NHKスペシャルドラ
マ『坂の上の雲』で秋山真之役を務めた俳優の本木雅弘が走り抜けた事から、女性幹部候補生の間
でモックン廊下と呼ばれているとの事。うーん、超難関をくぐり抜けて来た上に修行僧の如き厳しい日々
を送っている人達ですが、こういう微妙に柔らかいところがあるのはいい事です。
その後は教育参考館へ。入館時には、脱帽して礼。神殿を思わせる荘厳な雰囲気のホール正面に
は赤絨毯の階段があり、上がっていった所には東郷平八郎元帥の遺髪が納められたまさに東郷廟と
でもいうべき立ち入る事の出来ない扉があります。
なんというか、ここはいつ来ても日本人なら何かを感じずにはいられない空気に満ちていますね。館
内には、戦後進駐軍による処分を免逃れた歴史的な資料が数多く展示してあり、多くの人達が静かに
じっと見入っています。
その後は、教育参考館の外に展示してある特殊潜航艇を見て、見学は終了。朝集合した厚生センタ
ーまで、全員で戻ります。
その途中の道路にて不思議な白線を発見。どうやらこれは、学生が行進の練習をする際の歩幅に合
わせたラインらしく、
「この歩幅を体に叩き込んで、イチ、ニ、イチ、ニと行進するんですよ。ちなみに一歩あたりの歩幅は、
75サンチです」
ああ、サンチって発音を聞くのは新鮮です。案内係の方は海自を定年退職して19年になるそうですが、
やっぱり体に叩き込んで覚えた色々は簡単に抜けないんですね。72歳とは思えない芯の通った姿勢と
歩き方ですが、在職中はそうとうビシビシやっておられたんだろうなあ。
最後は全員でお礼の拍手を送り、90分の見学はあっという間に終了。さてお腹も減りましたし、厚生
センター内のレストラン江田島にて昼食です。2年前に感動したここのカレーをもう一度食べるのも、今
回の遠征の楽しみの一つだったんですよね。
メニューには『手作り海軍カレー』『カツカレー』『海老カレー』の3種があり、少し迷いましたが『手作り
海軍カレー』550円を注文。空いていたのですぐに出て来た海軍カレーですが、確かに美味しい事は美
味しいんですけど、なんか2年前とはちょっと違う様な・・・。もしかしたら、入っていた業者さんが変わっ
たのかな?うーん、ちょっと残念・・・。それでも具だくさんのトラディショナルなビーフカレー、この江田島
に相応しい伝統の味わいでありました。
その後は売店にてお買い物です。普段から使用しているMOCSキャップの予備を2つと蒔絵シール
を4枚。みかん餅と兵学校のカレーもありました。これ、美味しかったんですよね。試食レポートの画像
の差し替えとお土産用に、2箱買って帰ります。
という訳で警衛の隊員さんに見学バッジを返却し、海軍兵学校を後にします。この時間はちょうどよい
バス便がありませんが、小用港まで歩いて15分程なので、食後の運動ついでに徒歩で峠越え。
時折通る車と野鳥の鳴き声以外は何も聞こえない、静かな静かな江田島のお昼時。いい感じですね。
すぐに小用港到着。呉行きのフェリー出港まで間もなくでしたが、ターミナルの小さな売店で『海軍シー
フードカレーソース』なるレトルトを発見!へー、こんなのも出してたんですね調味商事梶Bあまり売れな
かったのか棚の片隅で埃を被っていましたが、試食レポート用に買って帰りましょう。
フェリーはすぐに小用港を出港。昼前から気温が急に上がったお陰で、海風も快適です。沖合に浮か
ぶ輸送艦おおすみや補給艦とわだは、キラキラ光る海面と背後からの逆光で黒潰れですが、これはこ
れでカッコイイなあ。
さて、この後はてつのくじら館へ移動です。しかしこの、潜水艦あきしおの腹の真下を通って館内へ入
るというのは凄いインパクトですね。エントランスはシンプル&お洒落な雰囲気で、頭上に展示されてい
る掃海作業用のフロートも何だか可愛らしい。
潜水艦内を思わせる狭苦しいエスカレーターにはぽつんと赤色灯が灯っていて、これも雰囲気があり
ます。
まずは2階の掃海コーナーから。真っ暗な室内には巨大な水中機雷が吊るされていて、なんというか
グロテスクだなあ。まるで宇宙空間を漂っている人工衛星みたいです。
たくさんの展示物と一緒に分かりやすい解説パネルが用意されているのですが、どれも「〜した」とか
「〜する」とか「〜された」という硬質な語り口なんですね。報告書や隊員さん向けの教本ではなく、広く国
民に知って貰う為の解説なんですから、もうちょっと柔らかい表現を使ってはどうでしょう。まあ、こういう
文体の方が逆に自衛隊らしくて、見る人にとっては新鮮なのかも。
3階は潜水艦関連の展示をまとめたフロアです。面白かったのが『ソナーマンに挑戦!』という展示物
で、水測員よろしくヘッドホンを被り、普段ソナーマンが耳を研ぎ澄ませて聴いているいろんな海中の音
を、クイズ形式で聞く事ができます。大型タンカーとイージス艦のスクリュー音の聞き分けは、何が何だ
かさっぱりでした。それ以上に訳が分からないのはテッポウエビとシャチの鳴き声です。ってか、テッポ
ウエビって鳴くのか・・・。
巨大な潜水艦の立体模型や科員食堂のイスの中の収納スペース、士官室の三段ベッドなどをじっく
りと見て回ります。異様によく出来た食品サンプルの前には人だかりが出来ていて、確かにこれは美味
しそう。さっき昼食を摂ったばかりなのに、お陰でもうお腹が減って来ました(笑)。
床からにょっきり生えている潜望鏡や、天井からぶら下がっている実物の魚雷を見た後は、地上展
示してある潜水艦あきしおへ。あきしおはこれで2回目ですが、やっぱり潜水艦の横っ腹から入るとい
うのは変な感じですね。小松島で潜水艦ふゆしおに乗せて貰ったのは、もう何年前になるのかなあ。
入ってすぐの所にはトイレと洗身(シャワー)室があり、成程トイレの流し方はかなり特殊です。慣れる
までは恐々だろうなあ。
その隣には2畳ほどの庶務室。艦内の文書や書類を整理する区画ですが、場合によっては写真の現
像も行ったとの事。あきしおが就役したのは80年代半ばですから、当時はまだフィルムカメラが主流で
現像には暗室が必要だったんですね。それにしても、潜水艦から何を撮影してたんだろう。
士官室は3段ベッドです。おやしお型からは幹部は2段ベッドなので、そのうち3段ベッドを知らない若
手潜水艦幹部も出てくるんでしょうねえ。
その前には士官食器室。隣にある士官室での食事の際の準備や後片付けを行う区画です。食器棚
と小さなシンクがありますが、退役した艦のものとは思えない位にピカピカですね。あきしおの隊員さん
達が、大事に大事に手入れを続けたんだろうなあ。
士官室は見学し易い様に、長テーブルの向きが90°変更されていますが、明るくこざっぱりした作り
です。斜めに圧し掛かって来る内殻が、潜水艦の中にいる事を実感させます。
発令所の手前にあるのは、艦長室。映画『レッドオクトーバーを追え!』でラミウス艦長がいた艦長室
と比べると、悲しくなる程の狭さではありますが、あれはもとになった潜水艦の規模が違いますし・・・。
それでも、潜水艦で唯一個室を持てるのが艦長です。狭いのどうのは問題ではないのでしょう。
ベッドサイドには深度計、艦内交話装置、無電池電話、ジャイロレピーターが設置され、ベッドに横た
わって体を休める僅かの間ですら、艦の状態を常に把握せざるを得ない仕組み。航海中にまとまった
睡眠はまず取れない艦長職、殆どが2年に満たない在職期間とは言え、体力的にも精神的にも大変な
んだろうなあ。
ふと見ると、壁面には潜水艦あきしお歴代艦長名簿が掲げられていて、4代目艦長となった人は3年
以上もあきしおの指揮をとったとの事。さぞかし現場から離す事の出来ない人材だったんでしょうけど、
これは本人もご家族も大変だっただろうなあ。
その後は発令所へ。潜水艦の頭脳に相当する、魚雷発射管室と並ぶ花形部署ですね。今日は土曜
日の午後という事もあって見学者が多く、撮影に気をつかいます。
水上艦では考えられない天井の低さと圧迫感、周囲を埋めた計器類とトグルスイッチ、毛細血管の様
なパイプや無数にあるバルブ類。紛れもなく潜水艦の中です。
コックピットとでも言うべき操舵席ですが、当然ながら前が見える訳ではないので、ハンドルを操作し
ていていも実感が薄いだろうなあ。
潜望鏡を覗いてみると、目の前の呉の海に浮かぶ沢山の小舟が見えます。映画の潜水艦艦長よろ
しく、体全体を使ってぐるりんと周囲を一周してみたかったのですが、動かすのは厳禁なうえにそもそも
私一人の力では到底無理でしょう。
以上で、潜水艦あきしおの見学は終了。いやあ2度目とは言え、やっぱり潜水艦の中は非日常の世
界でした。
その後は少し売店を冷やかして、1400てつのくじら館を後にします。さて、この後は特に予定はない
のですが、目をつけている呉市内の銭湯が開く1600まで随分時間があるので、潜水艦桟橋裏手の串
山公園へ行ってみましょう。
アレイからすこじまの駐車場に戻り、風呂とカメラの用意をして出発。おっと、駐車場裏手の防空監視
所を忘れていました。頑丈そうなコンクリで固められた異様な建物ですが、流石に中には入れないんだ
ろうなあ。見てみたいなあ。
駐車場から潜水艦桟橋へ降りて行く坂道の途中に、山手の方へ向かう階段があります。その階段を
上って左に折れて行くと、木々の間から潜水艦桟橋を一望できるスポットに到着。『いのししに注意!』
という看板が恐ろしげではありますが、上にある展望台よりも視界が効いていいですねえ、ここは。
曇天であまり光線状態はよくありませんが、次に来る時には晴れていたらいいなあ。桟橋でははるし
お型潜水艦が、朝からごうごうと蒸気を上げています。
その後は山を降りて潜水艦桟橋前へ。あ、くそぅ、今になって晴れ間が見えて来ました。あと10分早
ければ・・・って、朝もそんな事を言っていた気が(笑)。
朝方入港していた訓練支援艦てんりゅうの隣には、姉妹艦のくろべが停泊しています。この2隻が並
んでいるのは結構珍しい様な。潜水艦救難艦も来ていますし、大掛かりな訓練でもあったのかな?
次第に冷え込んでくる海風に当たりながら潜水艦桟橋の風景を眺めた後、いよいよ本日の裏イベント
とでも言うべき神原湯へ移動です。えーと、ここに関してはもう書く事が多すぎて大変でしたので、後日
改めておまけという形でリンクページを設定したいと思います。もう大感動の素晴らしい銭湯だったので
すが、いい歳こいたオッサン(私の事です)が全裸で湯船につかって「アー」とか「ヴー」とか言っていると
いう、ある意味見るに堪えない内容ですので、ヒマだからそれでもいいやという方だけご覧ください。海
自とは全く関係ありま・・・いや、ちょっとだけ出て来ます。
太平洋戦争当時にタイムスリップした角松2佐の様な気分で神原湯を堪能した後は、夜の潜水艦桟
橋で夜間撮影に挑戦。うーん、やっぱり難しいなあ。次までにはもうちょっと練習します・・・。
その後は本日の錨泊地である道の駅たけはらに移動。小雨がパラついてくる中準備を整え、途中で
購入した地元スーパーのおかずで戦闘麦酒を堪能しました。今夜のメニューは『広島風お好み焼きソ
バ入りハーフ』と『イカとオクラと茄子の豆板醤ソース』、『広島産ネギとアサリのぬた』。お飲み物は戦
闘麦酒のレギュラー缶×2、右上にあるのはバーボン(ペットボトルに入れるな!)であります。
外気温はかなり冷え込んで来ましたが、撮影した画像を眺めつつ車内で寝転がって飲むお酒は事の
ほか美味く、冬山用シュラフにもぐりこむとあっという間に寝入ってしまいました。
呉・江田島ツアー2012(二日目)に続く
おまけ:神原湯アーヴー編
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