モズライトギターの各部名称とよくある故障(2016.12.13)
@ペグ
ガタ付きやシャフトの曲がりがある場合は新品交換が望ましいですが多少緩くてもチューニング性能には問題ない場合も多いです。
Aメタルナット
ずれて取り付けられていることがあります。また、裏面のボンドを綺麗に取ってから付けないと不具合の原因になる場合があります。
黒雲製は基本的には09-42弦用ですので10-46弦を張る場合は少し溝を広げる必要がある場合もあります。(チューニング狂いの原因のひとつ)
取り付け時のボンドがはみ出して溝の中で固まって不具合を起こしていることもあります。
B0フレット
溝が深くなるとチョーキング時にピキピキと音が出る事があります。
0フレットが高すぎるとローコードが弾くにくくなります。
0フレットが低すぎると開放弦でびびります。
Cネック
調整の基本となる場所です。弦高が高いと感じたらブリッジを触る前にこちらを調整します。まっすぐよりもほんの少し順反りにしたほうがびびりにくいです。
オールドモズライトでは中に入っているトラスロッドが共振して変な音が混じることがあります。
D指板・フレット
弾きやすさに影響します。フレットを低くすることもできますが、チョーキングがしにくくなります。
エッジを適切に処理することでスライド時にフレットに指がひっかかりにくくが滑らかに演奏できるようになります。
フレットが錆びていると弦の滑りが悪くなりますのでフレットクリーニングをお勧めします。
フレットが減ってきて溝ができるとびびりの原因や演奏性が悪くなるのでフレットのすり合わせをしてフレットの頂点を一直線にします。
あまりに低くなりすぎたフレットは打ち直しするしかないですが、フレットを打ち直すと音が変わってしまうので注意が必要です。
Eネックジョイント
最終フレットにおける1弦6弦の左右の余白が大きくずれていると弦落ちの原因になります。
これを直そうと個人レベルでトレモロの位置を修正しないで下さい。不具合の原因になります。
弦落ち対策はネックジョイント部で調整をし、どうしても直せない場合だけトレモロをずらします。
Fトグルスイッチ
ピックアップが正常に切り替わらない、音が出ないという場合はここが原因の事が多いです。
ただし音が出ない場合はピックアップの断線の可能性もあります。
接触不良が多い部品ですので、しばらく使用しなかった場合は何回かカチカチと切り替えていると直る事もあります。
動きが渋くてレバーが動かない場合や動きが柔らかすぎて振動で動いてしまう場合は部品の寿命ととらえ新品に交換します。
Gアーム
取り付けが緩んでブラブラになってしまう事が多いです。一度アームが緩むと、ネジを締め直しただけではすぐ緩んできてしまいます。
特殊なボンドを使って取り付けますがその際はネジ山に残っている古いボンドを綺麗に取ってから組み付けます。
本来入っている薄いワッシャーがちぎれてブラブラになっている場合は新品のワッシャーを組み込みます。
Wナットに改造することでボンドで固定しない方式にすることもできます。
アームを使わない方はアームレスに改造することもできます。
Hボリューム
弦アース状態で回したときにノイズが出るものは要交換です。
ボリュームが壊れているとアンプから音が全く出ないこともあります。
Iトーン
トーンを回した時に音が丸くなりますが、トーンポットに取り付けられているコンデンサーを交換することで音が変わります。
Jジャック
アンプにつないだ時に大きなノイズが発生する場合はジャックが原因の事が多いです。
またジャックをとめているナットが緩んできた時に分解せず外から締めると中の配線が切れてしまいます。
ジャックにシールド線を差し込んでぐらぐらさせたときにノイズが出る場合は交換時期が近いです。
Kスプリング
各社モズライトでサイズが異なります。
当店で用意できるのは黒雲用のみですが、加工すれば他のモズライトにも付く場合があります。
一昔前は09-42弦用のスプリングのみでしたが、現在は10-46弦にも対応したスプリングがあります。
Lピックアップ(マイク)
種類や構造により音が異なります。ハイパワーなものでも巻き数が多すぎると1弦側の音がトーンダウンしたり、こもった感じになってしまいます。
オールドのピックアップによくある症状で、ピックアップを爪で叩いた時にアンプからゴンゴンと大きな音がする場合は本来固定されているはずの内部の部品が動いてしまっています。
黒雲製の場合は比較的直しやすいですが、オールドモズライトやフィルモアのモズライトは直しにくい、もしくは直せないことがあります。
黒雲製のピックアップポールピースのネジは内部のボビンを固定する役割もあるので、弦に近付けようと上にあげる(緩める)と不具合が出ることがあります。
モズライトはクリーントーンで弾く事が多いですが、歪ませるとハウリングを起こす場合があります。
その場合はピックアップコイルをパラフィン(蝋)処理をすることで、ハウリングが起こりにくくすることができます。
Mブリッジスタッド
マイナスネジの切ってあるこのネジで弦高を調整しますが、必ずネック調整後に行います。
ネックが反っている場合にここだけで弦高を調整しようとしてもうまくいかない事が多いです。
ネックがまっすぐでブリッジスタッドを一番下までさげてもまだ弦高が高い場合はネックの仕込み角度の調整をします。
Nローラーブリッジ
駒がぶれているとびびりや音に芯がなくなる原因になります。
駒のぶれにも原因が2種類あり、駒の底がぶれている場合と、ローラーがぶれている場合とがあります。
ハイフレットを押えたときに音程が高い、低いという事がありますが、駒の位置を前後して調整します。(オクターブ調整)
モズライトのオクターブ調整は毎回ブリッジを取り外して行います。取り付けたまま調整しようとすると故障の原因になります。
Oトレモロベアリング・シャフト
チューニングの狂いの原因はここの部品である事がほとんどです。
ベアリングは古くなると動きが渋くなり、シャフトは摩耗し綺麗に回転しなくなります。
黒雲モズライト用に作った当店オリジナルスペシャルシャフトへの交換がおすすめです。
オールドモズライトやフィルモアに適合するUSA製ベアリングも在庫しています。
Pエンドピン
エンドピンを指で握ってくるくる回ってしまうものは取り付けネジがゆるんできているので増し締めします。
増し締めした際、最後ネジが空回りしてしまうものはネジ山が馬鹿になってしまっているので、一旦穴を埋めて補修します。
緩んだままの状態で使うと、演奏中にギターを落としてしまう可能性もあり大変危険です。
ジャパン用ローラーブリッジ補修ネジの取り扱いを始めました(2014.12.11)
詳細はこちらをクリックしてください
当店オリジナルモズライト用ピックアップVer.2が完成しました!!(2013.12.19)
詳細はこちらをクリックしてください
モズライト用オリジナルグレードアップパーツが完成しました!!(2012.9.25)
VIBRAMUTE インチベアリング用ステンレスシャフト
オールドモズライト、フィルモア製モズライト用のテールピース貫通シャフトです。(当店オリジナル)
サイズは直径4.5mm、長さは80mm、1/1000mmの精度で加工してあります。
高精度の芯出し磨き加工済です。ステンレス製なので錆びません。
曲がってしまったシャフト、摩耗してしまったシャフト、錆びてしまったシャフトの交換用にお勧めです!!
VIBRAMUTE ジャパンモズライト(黒雲製作所)用ステンレススペシャルシャフト
通常よりもベアリングに当たる部分の長さを約1.5m/m長くした、当店オリジナルのスペシャルシャフトです。
ベアリング部分に均一に力が掛かるので偏摩耗しにくく、ステンレス製なので錆びません。
ベアリング脇の隙間も少なくなるのでベアリング内部に埃がはいりにくくなります。
もちろんアーミング後のチューニングの狂いはほとんどありません。
これまでチューニング修理はトレモロ分解微加工調整のみの対応でしたが、現在はこの部品を組み込む修理に移行しつつあります。
こちらの商品は取り付け時に個体にあわせてさらに微調整をして組み込みますので部品単体での販売はいたしません。
修理対応にて取り付けを承ります。EXCELLENTトレモロにも取り付け可能です。
古いギターや長期間使用されたギターは同時にベアリングを新品交換することをお勧めいたします。
それほど使用していないギターであればスペシャルシャフト組み込みのみで大丈夫かと思います。
スペシャルシャフト組み込み調整 \9,900(部品代込)
新品ベアリング交換+スペシャルシャフト組み込み調整 \16,500(部品代込)
フィルモア製モズライトのグレードアップチューニング調整はじめました!!(2012.5.19)
テイルピースシャフト可動部分にUSA製精密ベアリングを取り付けることにより、より安定したアーム後のチューニングの精度が得られます。工賃16,500円(部品代込,税込)
これまで100本以上修理してきましたが大変ご好評いただいております。ベアリングがついていてもチューニングが狂う場合は打ち込み不具合や錆等による劣化、シャフトの曲がり等も考えられます。一度ご相談下さい。
詳細はこちらをクリックしてください。(記事その1)
詳細はこちらをクリックしてください。(記事その2)
過去に製造されたジャパンモズライトのアーム後のチューニングをより安定させます
★現在黒雲製作所にて製造されているモズライトはVIBRAMUTEの改善がされており狂いはほとんどありませんので安心してお使いになれます。★
2008年以前に製造されたジャパンモズライト(黒雲製作所製のモズライト、JAPAN MOSRITE)はプレイヤー視点でのチューニングの狂いが気になる個体もありましたが、当店の調整にてほとんど狂わないようにできます。
当店の調整を施せば軽いアームアップをしてもチューニングの狂いは出ませんので、アームを握ったまま演奏したりアームビブラートを掛けたときに無意識的にしてしまうアームアップ後の狂いがほとんどでません。
これまで300本以上この修理をしましたが、お客様には大変喜ばれております。「なんとなく直ったような気がする」や「今はたまたま狂わない」というものではなく、間違いなく狂わなくなったとわかるくらいに良くなります。私も過去にブリッジスタッドの上部を6角ナットで固定してアーミング時に前傾しないようにしたり、 ロックタイプのペグに交換したりした事がありますが、完全な改善には至らず気付いた時にはまた狂うようになっていました。
トレモロの分解微加工調整は私がモズライトギターを専門に修理・研究をしてきた結果直せるようになったものです。メーカーや他の楽器店では修理できないと思います。 上記調整と合わせてナット溝を広げる加工もお勧めしております。この2箇所の修理でほとんどのギターでチューニングの狂いが改善されます。現在は上記当店特注スペシャルシャフト組み込みとベアリング新品交換修理にて対応しております。16,500円(送料は別途)
さらに、アーム根元の留め金部分をダブルナットに改造すればアームの緩みがなく且つ好み状態を長期間維持できます。あくまで主観ですが、ここまでやるとオールドモズライトのトレモロよりもジャパンのトレモロ(VIBRAMUTE)のほうが良くできていると実感できます。
ただし1990年以前に製造されたものはこちらの調整で対応できません。
1990年位から2008年位までに製造販売されていた製品が対象です。2008年以降のものは部品の改善がされておりほとんど狂わなくなりましたが、個体差によっては多少の改善が見込めるものもございますので御相談下さい。
台座の両側からテールピースを留めている黒い部品に穴のようなものがあいているタイプは分解して微加工・調整すれば改善できます。(VIBRAMUTE,MOSELEY,EXCELLENTユニットで台座の中央にmosrite of californiaの刻印があるものが目安になります)
下記に参考画像を載せましたのでお手持ちのギターの部品と比べてみてください。
↑VIBRAMUTE(mosrite of californiaの文字がはっきりしているタイプ) 修理可能です
↑VIBRAMUTE(mosrite of californiaの文字がぼやけているいるタイプ) 修理可能です
↑EXCELLENT(新MOSELEYはof californiaの刻印があるもの) 修理可能です
↑旧MOSELEY(中央部にof californiaの刻印がなくシャフトにも穴がないもの) 修理できません
youtubeに動画をアップしました。
↓修理前
ギターは2000年頃に製造されたSUPER CUSTOM '65(SC-'65)です。アームアップ後、チューニングの狂いが出ます(0:28〜)ロック式トレモロ以外はアームアップ後の狂いはどうしても出てしまうものですが、当店の調整を施す事により多少のアームアップでも狂いがほとんど出なくなり、無意識的にしてしまうアームアップ後の狂いを抑えられます。
↓修理後
モズライト リペア・セッティング・カスタムオーダーについて
モズライト(mosrite)ギターはエレキギターの中でも特に調整が難しいギターのうちのひとつですが、モズライト修理を専門にやってきた経験と技術でお客様のお好みの状態に仕上げます。
モズライトプレーヤーが特に気にする調整として弦高調整があげられます。ブリッジの左右のねじをいっぱいに下げてもまだ全体的に弦高が高いという場合や、12フレット以降のハイフレットでの弦高が高くて弾きにくいという場合でもこちらの調整でどのフレットでもまんべんなく弾きやすい弦高に調整できます。
そのほかにモズライトPUの交換、VIBRAMUTEユニットの交換、ローラーブリッジのビビり取り、ナット溝加工、トグルSW交換、フレットの端を滑らかにするファイリング加工、フレットのすり合わせ、0フレットの高さ調整、ネックの仕込み角度調整、ペグ交換などなどモズライトならではの調整も万全です。パーツに関しましても基本的なものはストックがございますのですぐに取り付けができます。(一応電話で在庫を確認して下さい) ご予約いただければ上記の修理や調整であれば目の前で修理し、もし必要があればお客様のお好みに微調整し、ギターを預ける事無く当日中に仕上げます。ご来店のお時間によってはお預かりになる事もありますのでご了承下さい。フレットの打ち直しはお預かりになります。
モズライトの修理、調整は当店にお任せ下さい。
日本全国からのご依頼、お待ちしております。
過去に修理したモズライトの記事はこちら
※モズライトギターとは※
ベンチャーズ(THE VENTURES)が使用したことによって一躍有名になったエレキギターです。独特なフォルムとその独特なサウンドはいまだに根強い人気があります。 主にインストゥルメンタルの楽曲に使用されることが多いギターですが、近年ではロックなどで使用されることもあるようです。 創始者はセミ・モズレー氏で、主に1963年〜1965年に製造されたものがオールドモズライトと呼ばれ人気があります。
構造的な面ではボディートップに独特な削りこみ(ジャーマンカーブ)が施されており、ネックは年代によって変化があるものの基本的に横幅は狭く、薄い仕上げになっています。 フレットは元から低めのものを打ち込み、さらに削りこんであります。ピックアップはハイパワーシングルコイルが2基搭載されており、コントロール類はトグルスイッチ(3way PUセレクター)、 マスターボリューム、マスタートーンとシンプルにまとめてあります。
そしてモズライトといえばアームとローラーブリッジです。モズライトのアームは軽い力でも作動しますので右手に余計な力を必要としません。アームダウン状態でピッキングして戻りの音を楽しむといった 奏法もそれほど難しくありません。ビブラートもビヨーンビヨーンと面白い位にかかります。ローラーブリッジに関してはセミ・モズレー氏も苦労していたようで、特別精度の良いものではありませんが、金属の台座の上に乗せてあるだけという構造がモズライトサウンドに影響しているのだと考えております。 モズライトのローラーブリッジは駒自体に高さがあるので、ストラトキャスター、テレキャスター、ジャズマスター、レスポール等のギターに比べてボディーと弦の距離が離れています。この距離に関しては慣れてしまえば弾きやすいと感じるでしょう。
ベンチャーズ(THE VENTURES)以外にも寺内タケシ氏、加山雄三氏、ラモーンズのジョニー・ラモーン氏なども使用していたことで有名です。近年ではバンド・アパート(the band apart)の川崎亘一氏が使用しているギターということで興味を持ったという若者も多数います。
ギターショップ カエデ
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