タイトル | : あかいいろ |
投稿日 | : 2009/08/29(Sat) 02:06 |
投稿者 | : ジュリア |
> 「ジュリア!」
一面トマト色に染まる世界。
聞き間違いようのない、声が聞こえた。
「リュシート!」
この惨状の中から、よくぞ見付けてくれたものだ。
> 「お互いひどい格好になったもんだ! ほら見てくれよ!」
「あはははは、ずいぶん派手にやられらな」
私は拭っても拭っても飛んで来るトマトに、
途中から確認するのを止めてしまった。
どれどれ。
リュシートに当てたのは、
リートフェルトとアルバート・アンドリュースとヨシュア
よし、覚えたぞ。
> 「この、当てた方の名前がくっつくのって、アレだと思わないか、ジュリア」
「うん?」
> 「なんかさ、持ち主が自分のものに名前書いてる、みたいな?」
> 「だから、おれからあんたにも、ひとつ」
そう言うとリュシートはにっこり笑って、
私のほっぺたに、トマトをぷちゃっと優しく当てた。
とっさに朱に染まった耳を隠したが、その必要はなかった。
全身トマト色で良かったと言うべきだろう。
私の頬が、耳が、紅く染まったのを見られなくて良かった。
頬が染まったのを感じて、ますます熱をおびる顔。
思わぬところで平静を装うのに苦労してしまった。