ある双子兄弟の異常な日常

第三部 第5章 深淵に潜むもの

SCENE11

 フットボールをやめたって、僕達が兄弟であることは変らない。今までと同じように、僕はおまえを愛し続けるよ―そうとでも言って、レイフをなだめるべきだったろうか。

 だが、レイフは、そんな形ばかりの慰めなど受け付けはしなかっただろう。

 僕達は、ただの兄弟ではないから。

 フットボールという、2人の間に唯一残されていた共通の言語を失って、ただの肉親としての距離を保ちながら付き合うなんて、僕にもレイフにもきっと無理だ。

 フットボールをやめるという僕の宣言は、僕がレイフと決別するという意思表示なのだとあいつもちゃんと分かっている。

 兄弟という枠にはどうしてもはまりきらず、かといって、恋人や伴侶になることもできない、こんな行き詰まりの僕達の関係は、ここで終わらせなければならないんだ。




 家のドアを開いたセオドア・フランクスは、そこに固く張り詰めた面持ちで立ち尽くしているクリスターを見つけて、少し驚いたようだ。

「すみません、コーチ、突然押しかけてきたりして―」

「いや、別に構わんよ。まあ、とにかく中に入れ、クリスター…ちょっと散らかっているがな」

 レイフとの口論の末、家を飛び出したクリスターは、どうしても気持ちが静まらず、フランクス・コーチを訪ねたのだった。

 彼の家族はテキサスに留まっているため、この2年間彼は1人でここに暮らしている。

 今シーズンがうまくいって契約更新になったら、家族を呼び寄せて本格的にこちらに住むつもりらしい。

 フランクス・コーチは、リビングのテーブルやソファの上に散らかしていたビデオ・テープやフットボール関係の資料を簡単に片付けて、クリスターに坐るよう促した。

「男の1人暮らしは、何かと不便でな…ううん、オレンジ・ジュースがきれているな」

 冷蔵庫の中を覗きこんで嘆息するフランクスに、クリスターは慌てて声をかけた。

「コーチ、どうかお気遣いなく。別に喉は渇いてません」

 キッチンから戻ってきたフランクスは、クリスターの向かい側に腰を下ろすと改めて自分の教え子をまじまじと見つめた。

「何かあったのか、クリスター?」

「実は、今日家に戻ったら、テキサス大学のスカウトが待っていたんです。マイケル・シュミットと名乗っていました。父の大学時代のチームメイトだったそうで―」

「ああ、マイクか。おまえに興味を示していたが、また随分行動が早かったんだな」

「僕を彼に推薦したのはコーチだと聞きました」

「ああ、マイクは今回は優秀なクォーター・バックを特に欲しがっていたんでな…どうしたんだ、クリスター、さっきから妙にうかない顔をしているが」

 クリスターは恩師を落胆させるのが忍びなくてしばらく黙っていたが、やがて思い切って、自分が今季限りにフットボールをやめるつもりであること、進学もそれを前提に既に志望校を決めていることを打ち明けた。

「本気なのか?」

 フランクス・コーチはラースのようにあからさまに動揺することはなく最後まで冷静にクリスターの話を聞いていたが、どうしても確認せずにはいられないかのごとく、そう問いかけた。

「はい」

「そうか…惜しいな。確かに以前、進路について迷っているとおまえから聞かされたことはあったが、それでも、昨年の優勝経験で気持ちは固まったものだと思っていたよ。おまえならきっとやれると俺も確信していた。だが、おまえは、もう自分は限界だと言うんだな…?」

 クリスターはゆっくりと頷いた。

「そのことは、おまえの親父さんや…レイフにもちゃんと話したんだな?」

 クリスターは思わずコーチから目を逸らしたくなった。

「僕は一応伝えたつもりだったんですが、2人ともちゃんと納得していなかったんです―そこに、今日いきなりスカウトが訪ねてきたものですから、僕は色々困ってしまって―シュミットさんが帰った後にレイフと話し合ったんですが、僕も弟もつい感情的になってしまいました。それで、居たたまれなくなった僕は家を飛び出して、ここに―」

「なるほどな」

「コーチ、あの…」

「何だ?」

 珍しくも口ごもるクリスターを見て、フランクスは訝しげに眉を寄せた。

「コーチは、スカウトが接触してきたら、今回の僕のケースのように、将来性を見込んだ選手を推薦したり宣伝したりなさるんですよね。僕以外にも何人か、資料を送ることも含めて、そんな対応を既になされているんですか?」

「シーズンが始まらない今は、問い合わせの数自体それほどでもないがな―ただ、去年の成績がよかっただけに、これまでになく各大学チームの関心がうちに集まっているのは確かだ。既に進学を決めている生徒は別にして、俺も、可愛い教え子達になるべくチャンスは与えてやりたいからな。これはという活躍をしてくれた子には、可能な限り、多くのスカウトの目にとまるようにしてやるつもりだよ」

「それで、レイフは―これまで、弟に関心を示してくれたスカウトはいないんですか? その…コーチは僕のことはとても大きく評価してくれましたが、弟は―コーチの目から見て、レイフはまだ推薦できるレベルではないんでしょうか?」

「ああ…なるほど、おまえは自分のことよりも、弟の将来の方が気になるのか。やれやれ―」

 フランクスがどことなく哀れむような眼差しを投げかけるのに、クリスターはついむきになった。

「あいつは僕と違って、将来にわたってフットボールを続けることを前提に進学を考えています。僕も、レイフの実力なら、立派にカレッジ・チームでやっていけると信じています。本当なら、僕よりもレイフの方にもっとスカウトの関心が集まってもいいはずなのに、弟が正当に評価されていないのが僕は悔しいんです」

「クリスター、その点については、残念だが、俺の意見はおまえとは違う。確かにレイフは素質のある選手だと思うが、その力を実戦で未だ充分に発揮できていない。おまえのようにもっと目に見える形で能力をアピールしてくれないことには、スカウトの食指も動かないし、俺も推薦するのをためらう」

「でも、レイフを傍で見てきたコーチなら、あいつが本気で力を出せば、州ランキングの三位程度で終わるはずがないと分かるでしょう? あいつは、あれでもまだ余力があるんです…いつだって、僕が必死になって努力した末にやっとできたことを、あいつは遊び半分に楽々こなしてしまうんです」

「クリスター…おまえは明らかに、弟可愛さに目が眩んでいるぞ」

「そんなことはありません」

「それなら言うがな。俺にとって、レイフの何が一番歯がゆいのか、腹立たしいのか―それは今おまえが言ったことそのものなんだ。人がうらやむほどの才能に恵まれていながら、それを活かすことを知らない。楽しいことは喜んでするが、辛いことはやりたくない―精神的にいつまでも子供のままだ。その性格が成績にもはっきり出ている。調子のいい時には、俺でさえ思わず目を奪われるような才能のきらめきを確かに見せるくせに、そのすぐ後にどうしようもなく平凡なプレイをする。それでも俺は、ずっとあいつに期待をかけていた。いつかすごい選手に成長してくれるんじゃないかとな…だが、今のところ裏切られっぱなしだ。たとえ天才でも、気ままな子供は当てにならん。当てにできないものを、おいそれと推薦などできんということだ」

 ぴしゃんと言い切った後、フランクスは、クリスターがまるで自分が侮辱されたかのように悔しげに唇を噛み締め、膝の上の手をぐっと握り締めて押し黙っているのに気が付いた。

 さすがに少し言い過ぎたと思ったのか、幾分口調を和らげて、多少は理解も見せながら付け加えた。

「レイフが高校1年目に出した記録のすごさは俺も分かっている。あれだけ見れば、確かに俺だって、あいつの潜在能力を信じたくなる。しかし、あの時がレイフのピークでもあったんだろう。成長期の一時信じられないくらいの身体能力が発揮されることがあるものだ。単なるスランプなら、いい加減それを脱してもいいはずだ。3年前と同等の能力を今のレイフが出せるのか、実際なかなか難しいんじゃないか…?」

「僕は、あいつが本気にさえなれば、かつての自分を乗り越えることも不可能だとは思いません」

「では、いかにして、その本気にレイフがなるかだろうな」

 何を言われても頑として認めないクリスターを前に、さすがに呆れたのだろう、フランクスの声の温度は僅かに下がった。

 どこかピリピリした静けさが、向き合って坐っている師弟の間にしばし下りた。そして―。

「コーチ、レイフには確かに面倒なことを避けたがる子供じみた性向がありますが、フィールドの上に立ってしまえば、いつだってあいつは真剣にプレイをしていますよ。なのに肝心な所で力を出し切れないのは、たぶん他の理由からです」

 クリスターが喉の奥から搾り出すようにそう言うのに、フランクスは怪訝そうな目を向ける。

「他の理由?」

「あいつは、いい所まで行っても、何故か途中で怯んでしまう。これ以上は駄目だと自分にブロックをかけて、力をセーブしてしまう…それは、単なるあいつの甘ったれた性格からくる気の弱さや怠慢のせいだとコーチや他の人達もずっと思ってきたことでしょう。僕も少し前までは、そう思っていました。でも、違ったんです」

「クリスター?」

「あんまり早い時期にピークに達してしまったレイフだから、その後にきた長いスランプからなかなか脱せないでいるせいで、あれがあいつの限界なんだと言われるのも仕方ないことかもしれない。でも、本当は、あいつはまだ自分の限界を試してすらいないんです。無意識の抑制が働いてしまうために、完全燃焼する前でいつも火がおさまってしまう」

 うつむいたクリスターの目は、落ちつかなげにテーブルや床の上をさ迷っていたが、フランクスの顔には決して向けられなかった。

 フランクスに語りかける口ぶりでありながら、実際には彼の存在など忘れ果て、自分の内面に対してのみ語りかけているかのようだった。

「子供の頃、僕達は一緒に柔道を習っていたんです。僕とレイフは同程度に強くて、昇級のスピードもほとんど同じでした。ただ僕は中学卒業を一区切りと思って柔道をやめ、レイフはその後も続けました。何が起こったと思います? そこからのレイフは師匠さえ目を見張るくらいの成長を見せ、今では四段、国際試合に出たって通用するくらいの力をつけるまでになっています」

「おい、クリスター、おまえは一体何を言っているんだ?」

 フランクスの声には今や明らかに不安がこもっていたが、クリスターは全く気にも留めなかった。

「だから、僕は思うんです。身動きを封じる枷がなくなって自由になれば、あいつは本来の実力を思う存分発揮できるに違いない…柔道だけでなく、たぶんフットボールでも同じことだろうと―」

 クリスターは唇を震わせ黙り込んだ。

(要するに、僕さえいなくなれば、あいつは本気にならざるを得なくなる訳だ)

 そのこと自体は、クリスターは少し前からある程度認識していたが、だからどうするとまでは突き詰めていなかった。

 それゆえ、今ここに至って頭の中に天啓のように突如閃いた考えに、クリスターは愕然となるしかなかった。

 たぶん、クリスターが傍にいる限り、レイフはその存在を意識して、己に抑制をかけてしまう。フットボールは今季限りと宣言することでクリスターはレイフを突き放したが、それでも一緒にフィールドに立ち続ける限り、彼はクリスターの背中を追うことをやめはすまい。

 今季は、レイフにとって、自らの将来につなげられる、最後のチャンスだというのに―。

(何てことだ…レイフに限界まで力を出させ、本当の実力をコーチや大学リーグの関係者に見せ付けるには、そこまでやらなければならないのか…!)

 クリスターは両手で顔を覆い、こみ上げてくる感情を静めようと何度も息をついた。

(でも、いくらなんでも、そんなこと―この僕にだって、できるものか! 僕だってまだフットボールを愛している…今季限りと決心したからこそ、思い残すことがないよう全力を尽くして打ち込みたい。この気持ちに偽りはない。それに、僕にはチーム・リーダーとしての責任だってある。これまで一緒にやってきた大切な仲間達…僕に期待をかけてくれているコーチやスタッフ、僕とレイフにフットボールの楽しさを教えてくれた父さんを裏切ることなどできない、でも―)

 伏せた掌に隠されたクリスターの顔は苦しげに歪んでいた。さながら生きながら心臓を切り裂かれようとしているかのごとく。

「おい、クリスター、しっかりしろ…!」

 動転したフランクスの声を耳元で聞いたと思った途端、肩を揺さぶられ、クリスターははっと我に返った。

「どうした、顔色が真っ青だぞ」

 まっすぐにクリスターの目を覗き込むフランクスの顔には教え子に対する真摯な気遣いが溢れていた。

 クリスターはとっさにそこから顔を背け、弱々しく掠れた声で囁いた。

「すみません、コーチ、何だか急に気分が悪くなって―」

 フランクスは額に冷たい汗を浮かべているクリスターをソファの上に横にならせようとするが、クリスターはその手をそっと押さえた。

「大丈夫です、コーチ」

「大丈夫という顔色じゃないぞ。今、冷たい水を持ってきてやる」

 なだめるようにクリスターの頭に手を置くと、フランクスは素早くキッチンの方へ飛んでいった。

 それをすまなげな眼差しで見送って、クリスターはおもむろにソファから立ち上がった。

 その唇が動き、フランクスに向けた謝罪の言葉を形作る。

 クリスターは音もなく動いて、玄関の方へ向かった。

「…なあ、クリスター、レイフのことだがな、俺はさっき随分厳しい評価を下したが、別にあいつを見放したわけじゃないんだぞ。むしろ、高校最後の今シーズンこそ、あいつは化けてくれるんじゃないかと今ちょっと期待しているんだ。あいつのな、陸上部のコーチ連中とこの間会って話す機会があったんだが、前学期の後半、あいつのタイムが急に伸びてきたんだと。何があったか知らないが、あのさぼり魔が真面目に練習に打ちこむようになったらしい。それを聞いて、ようやっと、あいつにもエースの自覚が出てきたのかなと少し思ったんだが―おまえはその辺りレイフから聞いていないのか?」

 冷たい水と氷を入れたグラスを手にリビングに戻ったフランクスは、入り口で立ち尽くした。

 つい先程までそこにいたはずのクリスターは、いつの間にか、忽然と姿を消していたのだ。

 そして、フランクスの最後の言葉を聞かぬまま、彼の家を飛び出したクリスターは、深い物思いに捕らわれたまま、家路に着いていた。

(シーズンが始まる前にジェームズとの決着をつけようと思うなら、時間はもうそれほど残っていない…僕の手でできることにも限りがある。僕が最も望むこと、僕が一番にすべきこと―もしも、どうしても1つだけしか選べないのなら、僕は迷わない。たとえ、それ以外のものは全て切り捨てるしかなくとも、他の何を犠牲にしても、僕は―)

 クリスターが家に着いた頃には、もう日は暮れかかっていた。

 ここに戻るまでの間に、クリスターは大分落ち着きを取り戻していた。いや、むしろ激しい感情の昂ぶりの後にくる一種の麻痺状態に陥っていた。

 家の中があんまり静かなので、もしかしたら両親だけでなく弟もどこかに出かけたのかと思いながら、クリスターは2階に上がってみる。

 レイフの部屋の扉を軽くノックしたが返事がないので、少し開いていたそれを押して、中を覗き込んだ。

 すると、ベッドの上でぐっすりと眠り込んでいるレイフを見つけた。

 ベッドの脇にはクリスターが買ってきてやった雑誌が落ちている。

 クリスターは足音を殺して部屋の中に入ると規則正しい寝息をたてている弟に近づき、ベッドの下に落ちている雑誌を拾い上げた。

「人がせっかく買ってやったものを落とすなよ」

 ごく低い声で囁き、レイフの頭の横にそっとその雑誌を置いた。

 レイフはよほど深く眠り込んでいるのか、微動だにしない。

 クリスターは弟の顔の上に屈みこんだまま、しばらく、その寝顔をじっと見ていた。

 いつもなら、そのまま身を引くところだが、この時のクリスターはレイフから離れがたかった。その無心な寝顔をいつまでも見ていたかった。

 子供時代のように。何の迷いも疑いもなく、この子は自分のものだと信じていられた、あの遠い日のように―

 クリスターの手が上がり、レイフの頬に優しく触れた。

 レイフの肌の温もりが触れた部分からクリスターに伝わる。

 その瞬間、張り詰めた氷が一気に溶け崩れ、クリスターの中に熱く狂おしい感情が弾けた。

「レイ…フ…」

 クリスターの顔が切なげに歪んだ。目尻に薄っすらと涙が滲む。

(レイフ、レイフ、おまえだけが僕に―我を忘れさせる…!)

 クリスターはレイフの唇に己の震える唇を触れさせた。深く重ね、飢えたように貪った。

 たちまち電流に似た衝撃が体の隅々にまで走る。

 甘美で苦しく、そして痛い―。

 クリスターは打たれたかのようによろめき、立ち上がり、まさか目を覚ましはすまいかと恐れながら弟を見下ろした。

 レイフは身動き1つしない。

 それでも、二度と触れないと自らに課した誓いを破ってしまったことで、クリスターはひどく打ちのめされていた。しばしその場に呆然と立ち尽くした後、無力感にひしがれたまま、静かに弟の部屋を後にした。

 そして、クリスターが去った後の薄闇の降りた部屋の中―。

 眠っていたはずのレイフの胸が大きく上下した。

 固く閉ざされていた瞼が上がり、動揺のあまり揺れ動いている琥珀色の瞳が、つい今しがたクリスターが出て行った扉の方へ向けられる。

 レイフは力の入らない体を起こし、こみ上げてくる震えを抑えようとするかのごとく両肩を抱いた。

「あ…っ…」

 微かな嗚咽が漏れかける口をとっさに手で塞ぐ。

 その唇に触れたクリスター唇の感触。触れた先から伝わった電流のような衝撃が、痛くて、苦しくて―。

(クリスター、クリスター…!)

 狂ったような飢渇感が爆発した。

 もう一度クリスターをここに引き戻したい、離れぬようぎゅっと抱きしめ、あの唇を思い切り吸いたい。

 ドアを食い入るように見据えていたレイフの両目から涙が迸った。

 一線を越えてしまった13才のあの時からずっと、レイフとクリスターはあそこにだけは戻らないよう、必死になって取り繕い、忘れようと努力してこれまでやってきた。

 しかし実際には、離れるどころか、あの場所から一歩も動くことなどできなかったのだ。

(ああ、オレ達は今まで、何て空しい、無駄な努力を重ねてきたんだろうな、クリスター)

 何年経とうが消えない胸の中の炎。

 何年経とうが、2人がどんな風に変わろうが、決して許されることのない恋。

(オレ達は、兄弟なんかじゃない、愛し合う恋人同士だ。昔も、今も、たぶんこれからもずっと―)

 レイフは膝を抱え込み、声が漏れぬよう手で押さえたまま、密かにむせび泣いた。

 クリスターを想いながら、そして、自分達を愛してくれている他の大切な人達に溢れる涙と共に謝りながら、レイフは哀しみの淵に深く静かに沈んでいった。


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