愛死−LOVE DEATH

第十五章 窮地


「どこにも奴はいません。逃げられたようです」

クリスターの放ったダブル・オー弾十二発に続いて、レイフたちの救援に駆けつけた他の傭兵たちのショットガンやサブ・マシンガンが、壁の方へよろめき下がるヴァンパイア目掛けて火を吹いた、その後―。

無数の鹿弾やライフルスラッグの集中砲火を浴びて、さすがにひとたまりもなかったのではないかと思われたターゲットは、しかし、またしても、逃げてしまった。立ち昇る硝煙がかき消えた後、そこに立っている、もしくは、倒れているはずの者の姿は忽然と消えうせていたのだ。

「おそらく、また壁を通りぬけていったのだろう」

別段驚きもせず、クリスターは、そう言って、構えていたショットガンを下ろすと、背後を振りかえった。

床にぺたんと坐ったままのレイフが、彼をじっと見上げていた。傷めた腕を押さえながら、さすがにちょっと疲れた顔で、荒い息をしている。所々引き裂かれた黒い戦闘服にはうっすらと血が滲み、その胸を庇う防護ベストも無残なくらいにぼろぼろになっていた。

「遅かったじゃないか、兄さん」

恨みがましそうに唇をとがらせて、レイフは、言った。それから、本当に疲れたというように、肩で大きく息をついた。それもそうだろう、ぎりぎりのところで、彼は命拾いをしたのだった。

そんな弟を、クリスターは、無言でしばし眺め、それから、手を差し伸べた。

レイフは、まだ動きたくないというように差し出された手を見ていたが、やがて、己の手を重ね、引かれるがまま、起き上がった。

立ち上がったレイフを、クリスターはそのまま引き寄せて、両腕で包みこむように抱きしめた。彼の弟の体は、いまだに冷めない戦いの熱気をはらんで、熱く燃えるようで、慣れ親しんだ、血と汗と硝煙の匂いがした。

「すまない」

レイフは、兄の腕の中で、ほっとしたような溜め息をついて、目を瞑った。

「うん」

何とか、ここにたどり着くことができた。もう、大丈夫だ。恐怖と無力感から解き放たれ、萎えかけた気力が再び充実してくるのを覚えた。クリスターと一緒にいると、一人でいる時よりも、ずっと自分が強く大きくなったような、この世に恐いものなど何もないような気分になれる。疲れ切った体にも、どこに残っていたのだろうというような力が、じわじわとみなぎってくる。

「まだ、やれるかい?」

クリスターの低い柔らかい声が耳元をくすぐるのに、レイフは、体を少しずらして、その目を間近で覗き込むようにしながら、にやりと笑ってみせた。

「ああ。大丈夫、オレぁ、ちゃんと動けるぜ?」

「そうか」

クリスターもつられたように薄く笑って、レイフの肩を励ますように軽く叩き、身を離した。

「ジェレミー」と、マイクロフォンに手をやって、指令室に残っているジェレミーに呼びかけた。

「監視カメラの具合は、どうなっている?ターゲットの位置を、そちらで確認できるか?」

少しの間の後、ジェレミーの緊張した声が、聞こえた。

(カメラは、まだ少し不安定ですが、さっきよりは随分ましです。ターゲットは、まだその倉庫内にいます。場所は…待ってください、確認します…。7番通路の中程を、南側に向かって、ゆっくり歩いています。傷ついているという感じはあまりしませんが、それでも、さっきよりは若干動きが鈍いような…それに、もうあの変な光を発していません)

「分かった。そのまま、カメラで奴の動きを追ってくれ。我々は、今から7番通路に向かう」

通信を切ると、クリスターは、彼の指示を待ちうける、仲間達を振りかえった。

「これよりターゲットを追う」

それから、何事か考えを巡らせているレイフの方に顔を向けた。

「レイフ、MK89を準備しておけ」

レイフは、意味ありげな眼差しを兄に向けた。

「ああ、今、そのことを考えてたんだよ」

それから、ルフラーに合図をして、彼が背負っていた非常に重いその武器を受け取った。

「考えていたって、何を?」

特殊な薬品の入ったカプセルを充填した40ミリ弾をMK89グラネードにセットしながら、レイフは、答えた。 

「あいつの足を止める方法さ」

クリスターの瞳が、微かに瞬いた。

「あいつの早さなら、MK89の弾なんぞ、難なくかわしちまうだろう。だから、こいつをうまく当てるには、あの化け物じみた動きをどうにかして止めなきゃならない。それも、チャンスは一回だけ。何せ、この武器は一発ごとに弾を込めなきゃならない面倒な代物だし、それに、一度これがどんなものなのか奴に知られたら、向こうだって、警戒するだろう。そうなったら、ますますこいつを当てることなんか不可能になっちまう」

「それで、何か手だてはあるのかい?」

「ううん、手だてっていうほどのもんじゃないけどなぁ。うまくいくかどうか、わかんないけど、取り敢えず思いついたことはあるよ」

「だから、何?」

レイフは、クリスターの首に腕を巻きつけて引き寄せ、その耳もとで、こそっと言った。

「そんなものを、わざわざここまで運んできたのかい?」

目を丸くするクリスターに、レイフは、駄目かなと問いかけるような顔をして、顎の辺りを指でかいた。

「発想はおもしろいけれどね…そんな単純な仕掛けに向こうがうまくかかってくれるか…」

クリスターは、うつむいてしばし考えを巡らせた。

「それで、どこに置いてきたんだい?」

「倉庫の南側の入り口の近くだよ。結構雑然とした感じの細い通路があって、すぐ先が行き止まりになっている。そこに隠してきたんだけれど」

「ターゲットが今いるのが7番通路…追いこめない場所ではないね」

倉庫の見取り図を頭の中に正確に描きながらそう言って、クリスターは、レイフに頷きかけた。

「よし、7番通路の北側から、奴を追跡し、追いつめるような形でアタックをかける。南側の倉庫入り口の方向目指して、火力で圧倒し、追いこむぞ」 




カーイは、無我夢中で逃げて、飛び出した、どこだか分からない通路の壁に手をつき、しばし、全身を震わせるようにして、息をついていた。

恐る恐る、己の胸に手を当ててみる。これまでにない程の出血をしていた。傷はどうなったのだろう。それは、残っていない。ここに移動するまでの数秒間で、傷ついた組織は見事に修復し、食いこんだ弾も全て異物として体外に押し出してしまったらしい。しかし、こんなに血を流したことは生まれて初めてだった。肉体的なダメージより、精神的なそれの方が大きかった。

(落ちつけ…彼らには私を傷つけることはできない…大丈夫、ちょっと驚かされただけだ…)

しかし、今度の新手の敵は、今までよりずっと厄介な相手かも知れなかった。カーイの能力を見せつけられた彼らは、より効果的な武器で武装してきたようだ。まともに食らったあの初めの攻撃は、かなりこたえたし、できれば、二度と被弾などしたくない。

(どうする…だからと言って、逃げまわるわけにもいかない…)

人間を襲う時は大抵一方的な殺戮となるばかりで、決して武装した相手に対して戦いなれている訳ではない、攻撃されることには案外弱いカーイは、せっかく奮い立たせた戦意を喪失するのも早かった。

しかし、彼が逡巡するうちにも、早くも敵の追跡してくる気配が近づいてきた。

カーイは、迷いつつも、そこからじりじりと後じさり、ついには、ハンター達の追跡から逃げるために、背中を向けて走り出した。少し前までは、カーイの方が追いつめ、攻撃する側だったのに、今では、形勢逆転していた。

(実に、嫌な気分だ。この私が、人間に獲物として狩られるなんて)

やにわに、カーイは、歯を食い縛って、足を止め、振りかえった。

半分、自棄になっていた。無駄に気位が高いというのが、多くのヴァンパイアに共通する気質的な特徴であるらしかったが、こんな時にしみじみとそのことを実感する。

それでも、人間相手に逃げるのは、我慢ならない。

カーイは、視線を上げて、自分を監視しているらしい天井のカメラを凝然と眺めた。それから、ふいに宙に舞い上がり、瞬く間に天井にたどり着くと、きらりと光るカメラを素手で叩き潰した。そのまま天井を抜け、その内部に伸びるユーティリティトンネルの中に身を潜めた。人間より遥かに優れた聴覚を持つ耳をじっとすませると、近づいてくる男達の足音が分かった。男達は、カーイが隠れていることに気づかず、彼の下を走りすぎていく。カーイは、真闇の中でも見通せる目を妖しく光らせて、トンネルの中を、男達を追うように滑らかに移動し始めた、 




カーイの姿が通路から消失したことに先に気がついたのは、クリスターだった。彼は、仲間達に向かって手振りでとまるように示し、司令室のジェレミーに問いかけた。

「ジェレミー、ターゲットを見失った。カメラでは、捕捉できるか?」

当惑したようなジェレミーの声が、それに答えた。

(7番通路のカメラが一つ壊されました。今クリスターさん達が通りすぎた所です。それから、ターゲットの姿を必死で探しているんですが、見つかりません。7番通路ばかりか、倉庫内のどのカメラにも映っていません)

「熱及び運動センサーはどうなっている?」

(クリスターさん達以外に、今現在倉庫内に動くものがいる様子は…そこから逃げてしまったんでしょうか)

クリスターは首を傾げた。こちら側に増援が加わったことで、警戒して様子をうかがうつもりなら分かるが、全く逃げ去ってしまうというのは、どうだろうか。逃げたところで、人質を取り戻したいターゲットにとっては、何の解決にもならないのだ。それに、先ほどの攻撃にしろ、本当の意味では、大したダメージにはなっていないはずだ。

だが、カメラからもセンサーからも、ターゲットの存在する証は消えてしまった。やはり、ここには、もういないのか。何となく釈然としない思いが、クリスターの胸の奥に引っかかっている。

それから、ターゲットの気持ちを理解しようと、洞察力を働かせながら、周囲をじっくりと観察した。カーイの能力をもし自分が持っていたら、武装した8人の男達を攻撃するためにどうするか。火器を持たないカーイには、そのスピードと超人的な力で戦う接近戦しかないが、強力な破壊力を持つ火器の前に身をさらしたいともあまり思わないだろう。ならば、獲物が気づかない形ですぐ近くにまで接近し、攻撃する暇も与えずに襲いかかれる方法を考えるのが、自然だ。さて、では、どこに隠れ潜むことにしよう。倉庫内の空間には彼がいないことは機器が示している。では、残った隠れ場所は天井か床だ。そして、この倉庫のすぐの上にも、ユーティリティートンネルが巡らされていた。

そう、答えは、天井。

クリスターは、己をじっとうかがうレイフの方に顔を向けて目配せし、ショットガンの銃口で天井を指し示すようにして合図を送った。レイフは、すぐにクリスターの考えを理解したらしく、顔を引き締め、頷き返した。

「ジェレミー」と、クリスターはマイクロフォン越しに、静かに命じた。

「私の言うとおりにするんだ。トラップの一つを爆破する」

その間にも、レイフは、言葉を使わず、手の信号だけで傭兵たちに状況を知らせ、二手に分けて、通路の両側の壁際ぎりぎりまで下がらせた。

「トラップJ7だ。私の合図で作動させろ」

(は、はい)

低い声でそう言いながら、クリスターも壁際のレイフの傍にまで下がった。傭兵達の構える銃は、通路の天井辺りに狙いを定めている。クリスターもまた、サブマシンガンをセミオートにして構えた。

「ジェレミー」と、冷静沈着な声が言った。

「トラップJ7、点火」

数秒後、天井のユーティリティートンネル内にしかけられていた爆薬が爆発し、腹に響くようなずしんという音ともに、天井の一部が崩れ、スチール製の梁やコンクリートの塊と共に火が降ってきた。傭兵達は、吹き寄せてくる爆風から顔を庇うようにして腕を上げ、じりっと後退した。爆炎は、天井裏に一気に広がっていったらしい、傭兵達のいる場所にまで、みしみしというような音が頭上を渡っていった。

クリスターは、微動だにせず、その場に立ちつづけ、目を細めるようにして、彼らの立つ場所から10メートルほど離れた、崩れ落ちていく天井を見つめた。

その横に、ショットガンを構えて立つレイフが、次の瞬間、息を飲んだ。

「出やがったぞ」

炎を噴き出して崩壊した場所より、クリスター達にとっては手前の部分の天井から、淡く輝く光体めいたものがコンクリートを通りぬけ、滑り落ちてきた。突如とした襲ってきた火から逃れるように、天井から飛び出してきた、カーイだった。

「撃てっ!」

その足が床につくより早く、レイフの厳しい声が命令を下した。たちまち、傭兵達の構えるショットガンやサブマシンガンが火を噴いた。

カーイは、弾のはね返る床を蹴って、高く高く飛んだ。飛ぶ鳥と化して、彼の動きを必死で追う傭兵達の頭上を軽々と飛びこえ、そのついでに、一人の腕からマシンガンを蹴り落として、通路の反対側に見事に着地した。

クリスターは、素早くサブマシンガンを構え直した。と、一瞬振り返ったカーイと目があった。トリガーにかかった彼の指が、とまった。

クリスターは、己が息を飲む音を微かに聞いた。 

カーイの体を、一瞬、燃え立つかのような輝きが取り巻いたかと思うと、またしても、その姿は、潮が引くように、彼の目の前から消えていた。人間の目では捕らえきれない動きで、移動したのだ。目を上げると、通路の奥に、先ほど司令室でモニターの中で見たのと同じ光体がきらきらと輝きながら、揺れている。

ぞくりと、背中の辺りの皮膚がそそけだつような、不思議と心地よくもある戦慄を、クリスターは覚えた。

カメラの故障などではなく、肉眼でも捉えられるのだ、この光は。それにしても、何という不思議な光だろう。人工的なライトの光とは似ても似つかない、かといって炎のような熱は感じられないし、太陽や月の光とも違う。初めて見る光だが、何かしら、ひどく心を引きつけられた。遠くで揺れているのを眺めていると、まるで、ここにおいでと抗し難い声で囁かれているかのような、セイレーンの誘惑にも似た、強い引力を感じる。

クリスターは、目を細め、魅せられたかのように、通路の奥でじっと留まっている淡い光を眺めながら、無意識のうちに、そちらに一歩踏み出していた。あの光を追いかけたい。追いつめ、圧倒し、この手でねじふせるようにして、捕まえたい。そんな欲求が、身の内から突き上げてきて、彼を動かしたのだ。いつもは冷静に、理論的に戦いを進める彼にとっては、極めて珍しい衝動だった。 

「クリスター!」

弟が背後から呼びかける声に、クリスターは、我に返った。

「どうした?」

振りかえると、レイフは、先ほどカーイの一撃を食らって銃を弾き落とされたバースの傍らについていて、クリスターを訴えかけるような目で見ている。

「負傷したのか、バース?」

バースは、右手首を押さえて、苦痛に耐える表情で、クリスターに向かって、すまなそうに言った。

「骨が折れたらしい。利き手をやられちまった…すまない…」

クリスターは、僅かに眉を寄せて、バースに近づくと、その右手の状態を素早く確かめた。

「これでは、戦闘を続けることは不可能だ。バース、離脱して、カイルのところまで戻れるか?負傷したという彼の具合も気になることだし、後で我々が迎えに行くまで、そこで待機していろ」

「すまない、クリスター」

「気にするな」

クリスターがバースから身を引くと、その腕を即座にレイフが捕らえた。

「レイフ?どうしたんだい?」

レイフは、何となく不安げな、探るような目でクリスターを見ていた。彼は、他の仲間達からは少し離れた場所にクリスターをひっぱっていくと、怪訝そうな表情を浮かべている兄に向かって、真剣な顔つきで言った。

「なあ、クリスター…さっきも言ったけれど、あのターゲットをあんまり特別なものに見たりするなよ。いつも兄さんは言ってるじゃないか、正確な判断を鈍らせるような感情は、戦場には持ち込むな、でないと命取りになるって」

クリスターは、虚を突かれたように、瞬きをした。

「考え過ぎだよ、レイフ」と、苦笑を浮かべて、言った。

「惹かれるものがないとは言わないけれどね。だが、それは、敵として、今まで戦ったことのないような相手だから、どんなふうに攻略しようとか、そういうことに、いつにない好奇心と興奮を覚えるからにすぎない。ミッションを行なう上での判断をそれで誤るような、私情を覚えはしないよ」

それから、まだ疑わしげな弟の胸を軽く拳で押すようにしながら、軽い調子で付け加えた。

「感情的になるななんて、まさかおまえに言われるとは思わなかったな、レイフ」

「何だよ、オレは冗談で言ってるんじゃないんだぜ?」 

レイフは、ちょっと不満気な顔で、クリスターをにらみつけたが、いつもと変わりない自信に溢れ、泰然自若とした、その様子を見ていると、それ以上追求する気がなくなってきた。大丈夫だろう、クリスターなら、あの化け物の訳の分からない力に引き込まれて、どうかなってしまうなんてことはないだろう。けれど、先程の一瞬レイフがひやっとしたのも事実だった。何事にも執着しない、めったに感情を揺さぶられることも、何かに強く惹きつけられることもないクリスターが、本気の顔になりかけていた。レイフや他の仲間達を置いて、一人、あのターゲットを追いかけて行ってしまいそうな予感がして、ぞっとした。

「さあ、こんなところで時間をロスするわけにはいかない。奴を追うぞ」

何事か考えこんでいるレイフの肩をぽんと叩いて、彼らの様子をうかがっていた仲間達に呼びかけると、クリスターはくるりと背を向け、ターゲットが消えた方向目指して、足早に歩き出した。

レイフは、そこに数瞬の間立ち止まったまま、その後ろ姿を、何かしら気がかりそうに見守ったが、やがて、顔を引き締めると、ショットガンを構え直して、兄の後を追った。

(そんなにクリスターのことが心配なら、あの怪物を、さっさとぶち殺しちまえばいい。コックス会長との契約なんか、もう、この際、どうだってかまやしないさ。いくら吸血鬼だからって、死んじまえば、人に危害を及ぼすこともできねぇだろうからな)

ベンやムスタファを殺した仇でもある敵のことを思い巡らせるレイフの瞳の奥に、暗い殺意が灯った。防護ベストに結わえ付けた手榴弾を、確かめるかのように、触れた。

(こいつで吹き飛ばしても、まだ生きていられるものか、試してやらァ)

レイフは、足を速めて、クリスターに追いつき、その横に並んだ。問いかけるかのごとくクリスターがこちらを見るのが分かったが、レイフは、意地になったように、前を睨みつけていた。

傭兵にとって、仲間が死ぬのは当たり前だ。長いつきあいだったベンも、ついに死んでしまった。

(けれど、クリスターだけは絶対になくせない。オレの片割れ、一生の相棒…なくしてしまったら、たぶん、オレも生きていられない。そう、誰にも殺させるものか)

そんな密かな誓いを胸に刻みつけながら、レイフは、ひたすら、これまで何度か戦いながら、倒すことの叶わなかった敵を求めて、駆け出していた。


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