2007年仏像シリーズ第35作



文殊院(奈良)<文殊菩薩> 重文

     このお寺は大化改新の時に、安倍一族の氏寺として建立されたものであり、陰陽師、安倍晴明が修行した寺でもある。この仏像は鎌倉時代の仏師快慶の作で、3人寄れば文殊の知恵でも知られた「知恵の文殊」として親しまれている。巨大な獅子にまたがる総高約7mもある。世の中全てを見通すかのりりしく堂々としたお顔立ちを見ていると、その智恵の一端を分けて欲しいような思いとなる。人間の悪知恵・浅知恵や智恵の無さが横行する昨今の世の中にあって、もう一度この仏様に深い真の智恵を授かりたいものである。
昨年は時間的都合により比較的彫りの易しい仏像を選んだため、今年は少しこったものをと考えこの仏像を取り上げてみた。
 今回の作品は大変彫りの細かさが要求され、各版を彫るのに通常の倍以上の時間を要した。しかし、時間をかけて彫った割りに刷りが非常に悪くなってしまった。通常全てを水性絵具を使うと最後になり色の付きが悪いため、3色目まで中性インクを使い4色目から水性絵具を使っていた。
 今回はうっかり4色目まで中性インクを使ったところ、インクジェット用ハガキでは5色目以降、絵の具をはじいてしまい、色の乗りが極めて悪くなってしまった。かろうじて普通紙で摺った25枚のみがまずまずの出来で、他の多くは苦労が水の泡となってしまった。

番外仏像作品(中宮寺・菩薩半跏思惟像)