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研究概要

本研究所では高分子の物性・反応に関する統計力学的理論研究,レオロジー理論研究,量子多体問題の理論研究などを行っている。具体的には感熱高分子ポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)水溶液の相分離,ゲル化,協同水和などの理論モデルの構築と実験結果の解析,両末端疎水化PEO,PNIPAM溶液の非線型レオロジーについて会合溶液理論,組替え網目理論による研究,樹脂のゲル化反応に対するカスケード理論の展開と応用,原子核の集団運動に関する理論研究を行っている。



感熱高分子水溶液,テレケリック会合高分子の相分離とレオロジー

(1)水溶性高分子ポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)の感熱性の物理的原因は永く謎であったが,我々は最近水和の協同性に由来する鎖のシャープなコイル・グロビュール転移によることを指摘し,高分子の協同水和の理論モデル化を行って特異な下限臨界相分離現象を説明するのに成功した。 PNIPAM水溶液は,31℃付近で20 wt%程度まで分子量に依存しない平坦なLCST型のスピノダル線や曇点曲線を有するが, PNIPAM水溶液にメタノールを混合すると,メタノールは良溶媒であるにも拘わらず鎖の収縮や相分離の誘起などの貧溶媒性を示す。良溶媒を2種混合すると貧溶媒になる現象は共貧溶媒性(cononsolvency)とよばれる。この奇妙な振る舞いは,水分子とメタノール分子の高分子鎖への競争的水素結合吸着(選択吸着)が原因であり,競合が最も激しくなる溶媒組成で吸着量(水素結合数)が最小になるために起こることが原因であることを示した(選択吸着理論)。 (2)部分的に疎水化された水溶性高分子ポリエチレンオキシド(PEO),ポリイソプロピルアクリルアミド(PNIPAM)等のゾル-ゲル転移やネットワークの粘弾性に関する統計力学的な理論研究(「会合溶液理論」),特に相分離とゲル化が競合する興味深い相図の導出,架橋点の組み替え,揺動・崩壊・再編成による粘性のシックニング現象などに関する研究を行っている。シックニング現象が鎖の非線型伸長に由来することを明らかにした。また剪断開始流において,歪硬化現象や応力極大現象も鎖の非線型伸長に由来することを示した。



カスケード理論の発展とゴム,樹脂開発への応用

天然ゴムのキネティクス。ゴムの素練りは分子量100〜200万のものをバンバリーミキサーなどで20万くらいに短くするメカノケミカルな分子鎖切断ですが,興味深いことに素練りを続けてもどんどん短分子になるのではなく,20万位のが増えるだけなのです。切断にはそれぞれ固有の「切断長さ」があるそうです。管モデルを利用して,高分子鎖が管内に滞留する確率密度分布を用いてすり抜け可能な特徴長さを決定し,これを切断についてのスモルコフスキータイプの常微分方程式に乗せて,分子長さ分布の時間変化を計算しています。



有限量子多体系の集団運動

(1)原子核の基底状態に近い状態は表面の形状振動や回転運動などの 集団運動で記述できるが,集団性が高くないため生成座標の方法が 適している。対相関が強いためBCS型の波動関数を変分関数にする。 その計算技法や理論形式を構築し,数値計算のコードを製作する。
(2)回転するボーズ・アインシュタイン凝縮した超低温中性原子ガスは グロス・ピタエフスキー近似などを使っているが,それでは叶わない 有限レンジの相互作用による相関を考慮するためCHFBA(クランクした ハートレー・フォック・ボゴリューボフ近似法)で攻める。




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