資料Aー7「 治安管理強化攻撃に抗し、 文ホール解放と反百年・募金阻止闘争の前進に向けて 中間総括」 1977.4~79.5」/文学部学生・院生有志 79.6.18  

はじめに

我々は77年以来、東大の立川移転・再編―統合のための布石であると同時に、東大再編の重要な一環でもある百年祭-百億円募金の粉砕に向け、全学の先頭で闘って来た。
文当局の「募金非協力」確認の破棄に抗議する文学部長室坐り込み闘争は、東大当局の募金強行に対する最も突出した闘いであると同時に、我々の闘いは政府文部省の新大管法攻撃の一環たる東大への「正常化」攻撃に対する、最も強力な反撃でもあった。
それゆえ、9.22を突破口する一連の大弾圧は、追い詰められていた文教授会今道執行部の居直り-闘争圧殺の攻撃であっただけでなく、東大「正常化」―全国大学へのさらなる弾圧強化をなし切らんとする政府文部省の全面的治安管理強化攻撃そのものでもあったのであり、今道はまさにその尖兵であった。
警察権力・司法権力がらみの、そして権力の手先勝共―原理研が暗躍し、百年祭問題での失地回復を狙う日共=民青が後押しする集中的な弾圧包囲網の中で、我々はその中心軸たる処分復活策動を粉砕すべく、闘争キャンプをもって実力反撃を開始し、文学部学友会を始めとする全学の労働者・学生、さらには全国の学生、市民の闘いと連帯して運動を前進させてきた。
79年2月、全学的な孤立を深めながらも政府文部省の強力な後ろ盾に支えられ、今道=文教授会が処分上申を強行するや、あくまでもこれに抗すべく、我々はハンストに突入した。同時に学生大会決議を受けて文ホール解放闘争が開始された。
これに対して当局は機動隊を導入し、我々の仲間を逮捕し去るなど反百年・反処分闘争のたたきつぶしを図った。だが、我々はこれに屈することなく、弾圧に抗議し立ち上がった仲間とともに、春休み中を闘い抜き処分を断乎として、粉砕した。

3.27総長声明は一方で処分を断念しているが、他方で、あくまでも文闘争の分断・解体を狙ってキャンペーンと弾圧宣言を行っている。さらに「処分制度の確立・市民法の適用」など全面的な治安管理強化方針を打ち出している。総長は新大管法攻撃を推進する政府・文部省に迎合しつつ、東大の移転・再編推進に向けた、長期的な管理体制を構築しようとしているのである。その狙いはすでに五月祭に対する教室使用制限―「念書」攻撃や、処分制度の再整備への着手などの動きとなって表れている。
我々は全学の闘いと連帯して、処分を粉砕し、今道退陣を勝ち取った。また権力の手に奪われていた同志を奪還した。こうして、集中的弾圧を一定はね返した現在、これまでの闘いの経過を明らかにし、我々の闘いが切り拓いてきた地平を確認し、すべての人々に提起したい。
それを踏まえ、当面の課題として、残る文ホールロックアウト粉砕に全力を挙げて取り組むこと、今道=文教授会の弾圧責任を追及し抜き、裁判闘争に勝利すること、そして今道に始まる文教授会の団交破壊―拒否体制を打ち砕き、反百年・募金阻止闘争をあくまで貫徹すること、さらに全学の労働者・学生とともに、総長室による全面的な治安管理強化攻撃と闘ってゆくことを宣言したい。

1.反百年・募金阻止闘争の到達した地平

(1)山本団交と10・26確認
77年2月百年祭粉砕を掲げた全学集会がかちとられ、更に式典の学外放逐、団交での応微研・医学部における部局長の式典不参加、入学式介入闘争、学外逃亡式典の3百名デモによる追撃―式典粉砕がかちとられた。この春休み中の闘いに参加したわれわれ文学部の学生、院生有志は、山本文学部長(当時)に対し、式典への参加中止、募金協力の中止などを要求して公開の断交を開始した。
山本学部長は4月初めの団交で、式典参加を取りやめ、その後10回の団交・討論を通じ、企業募金の問題性をはっきりと認めた。また早島募金委員も、募金と、大石教授(経済学部教授、原理研顧問、世界平和教授アカデミー常任理事)を委員長とする募金推進体制に疑問を認めて辞任した。一連の公開団交を媒介にして募金の問題を捉えた文学部生の声が秋には「400署名」に結実し、山本学部長は10月26日の団交席上「募金非協力」の確認を行った。また我々は6月~9月にかけて大石募金委員長に公開討論を要求、これを全く拒否する大石に対する糾弾闘争を、原理研の介入をはねのけて貫徹した。
10・26確認の獲得により、医学部でかちとられていた募金非協力とともに、当局の言う「全学一致体制」なるものをはっきりと突き崩し、77年秋に予定されていた企業募金開始を延期せしめるほど、東大当局を追い込んだのである。

(2)学部長室坐り込み闘争
同年12月企業募金強行に向け「全学一致体制」を取り繕わんとする総長室に追随した今道(当時評議員)を先頭とする文教授会により、10・26確認が一方的に破棄された。
我々はこれに抗議し、強行開始が策動されていた企業募金に歯止めをかけるべく78年1月27日、文学部長室坐り込み闘争に決起した。「引責辞任」した山本に代わって執行部に就いた今道は一切の話し合いを拒否したまま、3月、入学試験を口実に機動隊を導入、坐り込み闘争に弾圧を加えたが、我々はこれに屈せず、再度、坐り込み闘争に突入した。

(3)政府・文部省の新大管法・東大「正常化」攻撃と文学部闘争の高揚
東大病院では70年以降、精神科の医師・看護婦等によって赤レンガ病棟の自主管理がなされている。全国大学に対する治安管理強化攻撃を進めつつあった政府は、78年初頭から、赤レンガ問題をテコに攻撃の矛先を東大に向けてきた。1月下旬より開始された自民党の御用新聞「サンケイ」による赤レンガ「正常化」連続キャンペーンを皮切りに、国会で自民党・民社党(当時)などが、次々に「赤レンガ問題」を取り上げた。また勝共系市民団体が政府に対して赤レンガ弾圧を「陳情」した。こうして政府・文部省は東大への集中的弾圧を開始した。
坐り込み闘争に対する78年3月の機動隊導入も、こうした政府の圧力を背景に行われた。4月には自民党代議士津島某による文学部周辺のスパイ行為、5月の文部省による「立ち入り調査」、自民党をはじめとする国会調査団(日共議員も含まれている)による「調査」など介入・弾圧が相次いだ。だが我々は、赤レンガ自主管理闘争、演習林臨職闘争とともに三拠点実力防衛を掲げ、全学の学生・労働者と連帯して、介入弾圧を実力ではね返し、坐り込み闘争を貫徹した。
他方、新学期を迎えた文学部では、坐り込み闘争と連動して、反百年・募金阻止闘争が大衆的に高揚した。10年ぶりに学生大会が成立し、ストライキを背景に、募金非協力を要求する対教授会団交が連続してかち取られた。また反百年を掲げた学友会執行部が樹立され、学友会によって、募金後援会の総本山である経団連に対し抗議デモが貫徹され、館内坐り込みと抗議文突き付けが行われた。

(4)坐り込み闘争の到達した地平
我々の坐り込み闘争は、まず、文当局による「募金非協力確認」の一方的破棄に抗議するものとしてあった。この闘いの突き付けは文教授会の逃亡を許さず、のちの大衆団交へと結びついて行った。またそれは総長室の企業募金強行開始策動に対する最も突出した闘いであり、実際総長室は企業募金を公然とは開始することができなかった。こうして文教授会・学友会をはじめとする大衆的な闘いともあいまって、坐り込み闘争は募金に大打撃を与えてきた。それゆえ、昨年暮れの時点で、個人募金は予定の3分の1を下回り、企業募金は1割にも満たないでいる。
一方、大衆闘争の力で団交の場に引き出された今道執行部は、団交冒頭から辻村を募金委員に選任したことを発表するなど文学部生の要求に真っ向から対決する姿勢をあらわにしてきた。その姿勢は7.7団交を破壊し、逃亡、さらに、その後の一貫した団交拒否へとつながるものだった。
学友会・団交実はこうして団交拒否・逃亡を続ける今道執行部を、学外追及も含め、徹底的に追撃していった。9月に入るや、学友会・団交実は18日、150名の結集をもって集会を勝ち取り、19日には、銀杏並木での今道の大衆的追及を貫徹し、さらに10月臨時学生大会―長期スト方針を打ち出し、今道執行部を最後的に追い詰める体制を構築しつつあった。
こうした中で今道は8月23日学部長室に突然現れ「傷つかないうちに出ていけ」と恫喝を行い、8月31日をタイム・リミットとするという弾圧宣言を残して立ち去った。我々はこれに対して直ちに、8.31弾圧粉砕緊急集会を全学100名の結集で打ちぬき、坐り込み防衛体制を強化していった。

2.9.22不審火を突破口とする弾圧との闘い

(1)9・22不審火
政府・文部省の「東大正常化」攻撃を背景にして文教授会今道執行部は団交破壊―拒否を路線化し、弾圧の姿勢を強めていた。更には8・23退去命令恫喝、9・22今道弾圧文書の準備など、文学部長室坐り込み闘争をめぐる情勢は煮詰まりつつあった。一方、政府レベルにおいても、文学部問題をめぐり、即座に閣議決定が発せられるまでに弾圧体制は整えられていた。こうした中で9・22火災が発生した。
9・22以降文学部長室火災についてありとあらゆることが言われてきた。日共=民青系諸君による悪辣な失火キャンペーンや、今道をはじめとする当局によってなされた失火の雰囲気づくりを基本的に粉砕してきた現在、我々は火災についての見解を明らかにする地点に来ただろうと思う。
9・22火災はそれ自体弾圧ともいうべき攻撃であった。前述のような政府文部省レベルの「東大正常化」攻撃がなされる中で、今道の、8・23の「傷つかないうちに出ていけ」という恫喝、「10月学大までには正常な状態に」という言葉は、坐り込みをめぐっての対決へと情況が煮詰まっていたことを示している。9・22不審火がなければ次なる対決が必ずあったであろう。先にも述べた通り、8・23以降よりいっそう強化されていた防衛体制の下で失火は断じて起こりえなかった。だが放火と断定することのできる決定的な証拠を持ち得なかったがゆえに我々はこれを「不審火」と呼ばざるを得なかったのである。9.22不審火はそれ以前とそれ以降の諸弾圧と一連のものとしてある。
だがそうであるからこそ我々は自ら厳しく問わなければならない。この弾圧過程の自覚の不充分さのゆえに未曽有の弾圧の一階梯としてある不審火を阻止し坐り込み防衛することができなかったこと―これはむろん坐り込み闘争の正当性とその意義を毫も失わせるものではないが―を自己批判しなければならない。それゆえその不十分性を実践的に克服していくことがその後の闘争の中で問われたのであり、我々は9・22以降の一連の大弾圧との戦いをかかるものとして闘い抜いてきた。

(2)闘争キャンプ―反撃の闘い
9月22日学部長室で火災が発生するや今道はこれを「失火」と決めつける9.23及び9.29の文書を、団交逃亡―居直り文書とともに大量にばらまき、反百年・募金阻止闘争と自治会活動の全体に対して、ありとあらゆる弾圧を開始した。一週間にわたる文学部全面ロックアウトを背景にしてなされた、文学部周辺の立て看板の全面破壊・撤去、学友会との一切の交渉の打ち切り、10月以降の文学部学生ホールの5時ロックアウト、文学部祭の禁止命令、さらに教官によって研究室で直接行われた団交実メンバー、学友会委員等に対する転向要求、恫喝、等々。
さらに9月26日砂田文相による学生処分指令という形で露骨な直接介入を始めた政府・文部省の意を受けて、今道は評議員辻村らとともに公然と「処分」を語り始めた。今道らによる一連の弾圧と処分策動の開始は、彼らがまさに4.20文部次官通達=新大管法攻撃の尖兵であることを明らかにした。
そしてまた、百年記念事業=百億円募金総体の推進役である募金委員長大石が、学内勝共=原理研の顧問であり、文学部における大衆的に高揚した反百年闘争を圧殺するために登場してきたのが、〔のちに明らかになったのだが〕世界平和教授アカデミー会員で、そのの母体で文鮮明が創設した「科学の統一に関する国際会議(ICUS)」に 出席し、また勝共の主催する市民大学講座で講演を行うなどしていた、今道であり、また〔当時、韓国の軍事独裁政権の〕朴政権を賞賛する、サンケイのイデオローグ辻村であるという事実は、まさに、これら新大管法攻撃の尖兵が、学内勝共陣営に他ならないことを明らかにしている。
10月16日、我々は文学部における厳戒態勢を突破し、開始されはじめた処分策動をうち砕くべく、闘争キャンプに突入した。資料A-6「百年祭―新大管法攻撃の尖兵=勝共今道一派打倒! 闘争キャンプ宣言」参照。

我々は一連の弾圧が78年度初頭からの東大に対する集中弾圧=4.20通達、新大管法攻撃に他ならないことを踏まえ、これを粉砕するには、学内において政府・文部省に呼応しこれを押し進めている勢力を打倒しなければならないことを明らかにした。それは大石や今道を先頭にした学内勝共陣営であり、今道=文教授会執行部に他ならない。

(3)処分粉砕へ
また、我々は、文学部への集中弾圧を、全国大学に対する4.20通達実質化攻撃の最先端として捉え、単に学内にとどまることなく、文部省を射程に入れつつ、全国500名の学友との共同闘争として「1・18全国学生集会」を闘った。
12月末、消防署が9・22火災に関して「原因不明」の結論を下したことが一部マスコミにより報道されたが、このころになると、勝共原理研が表に登場してきて、出所不明の火災現場写真と、今道の作成した『資料』(広報440号)と同様の現場の図の入った文書をばらまき、再度「失火」キャンペーンペーンを行った。(これは大衆的に糾弾された。)
一方、権力は、この「1・18全国学生集会」を前に、司法を巻き込んでの「失火」デッチ上げの悪あがきを試みる。即ち、それは戦前のファッショ的刑事訴訟法の名残と言われる刑訴法226条に基づく「証人召喚」の名の下に、裁判所が、警察・検察と一体となって、「失火」をデッチ上げようとする策動であった。我々はこの不当な「召喚」を断乎として拒否し、司法の反動化に反対する広範な市民、弁護士、学者などとともに、権力のこの策動を打ち砕いた。
この間に文学部では、1.26学生大会が4たび圧倒的に成立し、長期ストライキをも含めた反処分闘争方針が打ち立てられ、同時に文教授会・学生ホール夜間ロックアウトを粉砕することが決議された。このような、全学、全国に及ぶ、反百年祭処分の闘いの高揚を前に、処分策動は窮地に陥った。
ところが、1月31日、内藤文相による再度の処分要請に力を得た今道は、春休みの学生拡散時期を見計らって、2月10日、霞が関逃亡教授会で処分上申案を強引に通過させ、13日に、これを総長に上申した。
我々をとりまく状況は、まず、春休みに入っており、しかも司法がらみの弾圧攻勢にさらされる中で、いつなんどき、強制勾引を受けるかわからないという極めて困難なものであった。しかし、なおかつ、この処分攻撃とあくまでも対決し抜き、当局に肉薄し、全学的な反撃の闘いの結集軸となる、断乎とした闘いが要請されていた。こうした状況の中で処分対象として名指されていた学生のうちの3名が、2月13日より、ハンガーストライキ闘争に突入した。
この闘いと同時に、学友会が、ハンストを防衛しつつ、学生大会決議に基づき、文ホール解放を掲げた戦いを開始した。これらの闘いは、処分強行を狙う当局への決定的反撃であった。
処分案上申強行により、逆にこうした強い反撃に出くわした今道は、2月14日、総長に対し、警察力=機動隊導入を強く要請し、闘争の圧殺を図った。12月26日の今道に対する学友会の「団交要求」という全く正当な行動を「集団暴行」に捻じ曲げ、告訴した学生3名を、2月14日のこの警察力=機動隊により逮捕し去り、長期勾留を行い、さらにあと10数名の逮捕状発行という恫喝を行って、闘争を圧し潰そうとしたのである。
しかし、13日のハンスト決行によって打ち出された闘いの強い決意と方向性は、2.15緊急集会の即反撃から、2.23文・学生大会、3.2抗議大集会へとひきつがれ、2.14弾圧に対する反撃と処分完全粉砕に向けての体制を確固たるものとした。
こうして我々は司法―警察権力からの攻撃をはねのけつつ、文学部をはじめとする全学の学友・労働者と連帯し、評議会、学部長会議への連続実力闘争を貫徹し抜くことによって、ついに処分を完全に粉砕したのである。

(4)3・27総長声明
学内最高権力の発動たる処分による闘争圧殺、警察力を用いての闘争潰しに失敗した向坊‐総長室は、3月27日「総長声明」を発し(学内広報440号)、管理体制の構築を含め、闘争圧殺と学内治安管理強化に乗り出した。 声明の第一の意味は文闘争の分断・解体を狙った、事実歪曲をもっての暴力キャンペーンである。
77年、我々が山本学部長と行った公開の団交を「面会強要」、「拘束状態での追及」と言いなし、文学部生400という圧倒的な署名の力でかちとられた10・26確認の一方的破棄に居直って、今後も「強圧的状況」等当局の恣意的判断で確認破棄をいつでも行うと宣言しているのである。
さらに、坐り込み闘争、討論要求を「暴力」、「業務妨害」と一方的に決めつけ、2・14機動隊導入に関しても、全く無根拠に「緊急事態」とこれを正当化せんとしている。その上、今後、「国有財産の正常な管理が不可避となった場合」と4.20通達を直接受けて「法的措置の適用」即ち、警察力による弾圧を行うことを宣言している。

第二に声明が狙うものは、闘争圧殺に向け、処分制度の整備など、全面的な学内治安管理強化の攻撃である。総長は声明の中で、文教授会からの処分案を妥当とし、「大学施設の占拠・破壊」等、処分発動の「基準」まで打ち出している。更に彼は「長期的な視野」に立って闘争を圧殺するため、来春までにその案を確定し、来年暮れまでには実施すると(6.4東大新聞)、処分制度整備宣言を行っている。
3.27声明の背景には、昨年4.20の文部次官通達による全国学園への管理強化攻撃があるのは言うまでもない。そして、3.27声明の管理強化方針を受け、すでに全学的な管理強化が日常的に推し進められている。文・学生ホールの4か月にもわたる全面的ロックアウトはその最先端に位置する。学生大会の会場すら満足に貸さず、学友会の選挙も正常にできないという弾圧状況が続いている。
他部局を見回してみても、教養では4月から第一本館の教室使用の禁止、休祭日は第七本館のみという大幅な教室使用制限、「念書」を借用条件とする等のしめつけがなされ、工学部においても、公認団体以外教室使用をみとめないという動き、また、試験での「不正」に対する処分恫喝の掲示がなされており、農学部においては、全館の夜間ロックアウトの準備が進められている、等々、管理強化が推し進められている。五月祭に対する法文Ⅰ、Ⅱ号館の教室使用制限と「念書」提出攻撃は3.27声明の実質化の大きな一歩であった。
すでに文学部では、学友会により文ホール・ロックアウト粉砕?3.27総長声明弾劾を掲げ、4月の20日間のストが打ちぬかれた。3.27路線の一環としての、五月祭へのこうした攻撃に対しても、文学部の多くの学科や当該企画から次々と糾弾のアピールや決議が挙げられた。また、全学的にも、医学部をはじめ、多くの抗議署名、さらには教養学部をはじめとする企画アピールが結集されるなど、大衆的な運動が展開された。これに対して、あろうことか、日共=民青は屈服、密約の念書を提出し当局に加担した。だが、全学の教室使用制限の撤回を求める声の前に、「念書」型攻撃は後退を余儀なくされたのである。こうした原則的な大衆運動を更に推し進め、学内治安管理強化攻撃に抗する全学的戦線を構築していく必要があり、我々も断乎としてその一翼を担って行きたい。

3.学内治安管理強化の背景

(1)前社会的治安管理強化の動向
オイルショック以来の不況をなんとか打開せんとする日本帝国主義は、国内的には、省資源・知識集約型産業構造への転換を掲げ、大量首切りなどの合理化攻撃・倒産攻撃及びそれに伴う、そしてまた自民党単独支配政権の崩壊による、政治的不安定状況を治安管理強化によってのりきることを不可欠の課題としている。同時に東南アジア等の利益防衛のための自衛隊の強化(それは治安部隊である)が進行している。
成田新治安立法、大地震対策特措法など法制度を通じた警察・自衛隊・司法機構の強化、天皇在位50年式典、元号法制化〔79年6月〕などによる国民統合に向けたイデオロギー攻撃はまさにそのことのあらわれである。また狭山差別裁判での上告棄却〔77年8月〕、三里塚でのブルジョア法体系をも無視した鉄塔破壊攻撃〔77年5月〕が行われ、戦闘的闘いに対する直接的弾圧も全逓大量処分〔1979.4.28〕に見られるように広がっている。そしてそれらの集大成として、有事立法攻撃がかけられてきたのである。
最近キャンペーンされている景気回復は、数年来の倒産合理化攻撃、大衆収奪(赤字国債)といった労働者人民の犠牲の上になされたものにほかならず、またその展望も帝国主義間の軋轢、物価上昇必至の情勢の中で、全くない。だからこそ、日本帝国主義は労働者人民のさらなる犠牲と治安管理強化攻撃のより一層の推進を死活の問題としている。これら治安管理強化の動きに呼応して、政府・文部省による大学管理強化攻撃がかけられている。昨年4月20日の文部次官通達はとりもなおさず、そのような新大管法攻撃の一環である。おりしも東京サミットをめぐる空前の大警備網がしかれている。この首都戒厳令態勢は、明白に一連の治安強化の集約点として構えられている。これらの攻撃は、今や、全社会的な規模で深くかつ広くかけられてきているのである。

(2)政府・文部省の4.20次官通達=新大管法攻撃
昨年の3.26三里塚闘争の爆発を直接の契機として政府・文部省は4.20通達を発し、全国学園に対する徹底的管理強化攻撃をかけてきている。
この4.20通達=新大管法攻撃は、まず、(1)で見たように、全社会的な治安管理強化攻撃の一環であり、政治闘争の拠点としてもある学園の全面制圧に向けたものに他ならない。
さらにそれは、ブルジョアジーの一切の矛盾を隠蔽し、学園「正常化」をなし切らんがためのものである。4.20通達は国有財産の管理強化を名目とし、教室や学生会館の使用制限、そして立て看の規制、撤去という物理的な管理強化による闘争圧殺、学生自主活動の規制を目論む一方、「学生の修学実態や職員の服務規律の把握・保持」、警察への捜査協力を義務づけ、活動家個々人の動勢をチェックしようとするものである。
この4.20通達に象徴される露骨な治安管理強化攻撃が、東大を含め全国の大学で推進されている。77年九大学館に対する機動隊導入を皮切りに、九州地区の大学は軒並み、自主管理権を奪われたり、強権的な使用制限を受けている。また、阪大、千葉大、北大等では昨年から今年にかけて次々と不審火が発生、それを契機に学館の使用制限やサークル名簿提出強制などの管理強化や攻撃がかけられており、文ホールロックアウトの場合と酷似している。さらに東大五月祭同様、横国大、筑波大をはじめとして各地の大学で、学園祭に教室使用の不許可や企画内容への干渉という攻撃が加えられている。
そしてこうした攻撃・規制を突破する実力闘争に対しては、学園の内外を問わず、権力の直接弾圧、あるいは起訴学生の奨学金廃止や退学処分(5.31通達)が用意されているのである。
こうした4.20通達=新大管法攻撃は国家権力による直接介入、勝共=原理研の尖兵としての役割、大学当局の反動化、弾圧強化、ゲバルト職員の組織化、日共=民青の加担、等の性格を有しながら、国有財産管理強化に見られる物理的管理強化と、処分、逮捕・起訴等による活動家学生の強権的弾圧、パージをその二つの柱として推し進められている。
(3)東大の移転再編の動向 こうした政府・文部省の4.20通達=新大管法攻撃と並んで、学内治安管理強化攻撃の背景をなす東大の移転再編の動向を見ておく必要がある。
一昨年夏、国土庁の立川米軍基地跡の四分割案(自衛隊基地化等。東大の移転予定地なし。)が示され、東大当局は昨秋の評議会で正式に立川移転を「断念」した。
当局は昨年2月、従来の総合大学院計画委と並んで、大学院総合計画委員会を、今年1月には「キャンパス問題委員会」更に3月にはその中に「緊急キャンパス分科会」を設置した。「緊急キャンパス分科会」は、理、工学部、社研、宇宙線研、核研、物性研で構成されている(広報442)。また3月には、宇航研の改組(中枢研として東大から切り離し)、5月には 核研キャンパスの概算要求の意向が明らかにされている。大学院総合計画委の中間報告では、従来の総合大学院構想で計画されてきた「学際領域」(情報システム、物質科学、生命科学、地域環境科学の4系)に加え、新たにエネルギー、核融合、海洋、等のビッグサイエンスの必要が打ち出されている。
従来の再編計画は「学問研究の論理」(学際領域、基礎領域の発展etc.)を表に出しながら、研究者利害を貫徹戦とするものであった。新たに打ち出されている、原発や海洋開発等は、「新たな学問」というようなものではなく、実証的技術開発が要請されている分野である。これら資源・エネルギー関係分野及び宇宙開発等は、むしろ政府・ブルジョアジーからの直接的要請に基づいてだされているのだ。
宇航研教授会のあわただしい「改組決定」に至る過程には総長の(したがって文部省からの)強い働きかけがあったと言われている。宇航研、核研等の再編は、個別東大の枠、当該研究者の利害の枠を越えた観点から勧められている。
他方で、公務員に対する定員削減、合理化攻撃が強まっている。一昨年夏には、臨職に対し、差別を拡大・固定化し、選別体制を強める学内試験が導入された。また同年暮れ、総長が打ち出した臨職の定員化のためと称する「長期計画」(1年が目途とされていた)は沙汰止みになっており、昨年度の臨職定員化はゼロであった。また昨年以来、病院をはじめ臨職問題での団交を逃亡する部局が続出している。演習林では、臨職に対し、すでに来年度の解雇通告がなされており、急ピッチで進んでいる移転・再編の中で労働者、とりわけ臨職への首切り等の攻撃が強まっている。

4.闘いの方向性

文闘争への全面歪曲キャンペーンであるとともに、新大管法=4.20通達を背景としつつ学内管理強化を宣言したものが、3.27総長声明であった。その突出的あらわれが学生ホール・学友会室ロックアウトという自治会活動圧殺攻撃である。
この動きは五月祭教室使用制限・念書攻撃へと進展し、日共=民青はこれに屈服・迎合した。また総長は、処分制度の再整備に乗り出したことを明らかにするなど、その推進をあらわにしてきている。
われわれは坐り込み闘争、9.22以降の闘いによって獲得したすべてをかけて文学生ホール解放を闘い抜き、学生自主管理の思想と実践とを打ち鍛えつつ、反百年の拠点を奪還・創造してゆくことを決意表明する。
同時に、治安管理強化攻撃と闘う全学の諸戦線と連帯しつつ、新大管法がらみのこうした攻撃と全面的に闘ってゆきたい。またわれわれは、反百年・募金阻止闘争の深化・発展に向け全力で闘い抜く。
10・26山本学部長確認「文学部募金非協力声明」を空洞化・破棄した今道=文教授会に対する一年半に及ぶ反撃によって、百億円募金を大頓挫させ、当局は、この4月には募金計画を60億円へと縮小変更せざるを得なくなっている。
昨春以降、全学的に、当局の団交拒否体制が進んでおり、全学の戦線との強固な連帯をかち取りつつ、この団交拒否体制を突破し、文教授会との反百年団交を実現してゆく必要がある。その中で百年祭の欺瞞性と「募金非協力」確認空洞化の不当性を暴き出しつつ、2.14弾圧の自己批判を迫り、今道時代に就任した辻村募金委員の辞任=文学部募金非協力をかちとり、最終的に、募金を粉砕してゆくことを表明したい。更に、反百年で問われた研究至上主義体制の矛盾構造と対決する運動を全学的に提起し、またこれとの対決を回避し総長室の補完物となっている日共=民青系諸君の路線を批判し、その党派的利害に基づく大衆支配の構造を打ち破ってゆかねばならない。
また五月祭を契機に反百年運動の内実深化が開始された。東大百年を糾弾するとき、われわれは、いかなる人々の闘いに連帯しようとするのかを模索し、具体的実践に結び付けて行かねばならない。
一方、産業構造の転換に沿った高等教育・研究の一大要(かなめ)であった東大再編―合理化は、「立川移転」が闘いの力と権力の治安優先という二要素から頓挫したのち、新たな形で進行し始めている。
総資本―政府の政策と研究者の特権的利害とが合致する地点で進行する再編合理化・分散移転の動向を捉え切り、臨職闘争をはじめとする労働者・職員との連帯を大きくかちとりつつこの動きと対決する闘いを築いてゆかねばならない。
また、反百年闘争を軸とした闘いの連帯をさらに全人民への闘いへと広げ、狭山・三里塚をはじめとする人民の闘いとの結合を展望してゆかねばならない。
われわれは、前述の情勢と総括に踏まえ、闘いの方向性を大略以上のものと定め、闘争の地平のさらなる前進に向け全力で闘い抜くことを決意表明する。
        (了)

第二ステージ第四部 東大百年祭闘争を闘う  目次
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