最終更新2002.05.06
また、古代史への諸星さんなりのアプローチで面白いのが、「暗黒神話」「孔子暗黒伝」、
日本の縄文人(日本文化の源流)とのつながりを見せ、
文明へのアンチテーゼ的な展開を見せる「マッドメン」。などなど
2001.9.16
「暗黒神話」との出会い。
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暗黒神話との出会いは、高校時代の立ち読みでした。不思議なペンタッチの作品が雑誌の中から目に飛び込んできたのです。どこか不安を感じさせる主人公の少年。揺れるような線、読んでいると自分の後ろに誰かがたっているような、夜暗い部屋で一人寝ていると隅のほうに魔物がいそうに感じてしまう黒く暗い世界観。神話上の人物が、くらい石室につながれ、縄文土偶のような姿をしている表現には、グロテスクだがそうだったらどうしようとおもったりした。 私自身、九州の装飾古墳や国東の遺跡、神話、どれもが興味がわく話として歴史好きの父から話を聞いていたが、このことがこの物語の中では、巧妙にリンクし話が進んでしく。ヤマトタケル、アートマンとブラフマン、弥勒、竹内宿禰、三種の神器、古事記とキーワードとなる言葉をこうもうまく関連づけていくとは。まるで、本当のことのように。 後にアニメ化されましたが、あんな綺麗すぎる絵ではあの世界は表現できないと思った。(べつに諸星さんが下手だといっているのではありません。)独特の雰囲気をだす「あの」線の集合が必要なのです。もしかすると、色さえもいらなのかもしれない。モノトーンの世界にこそ「諸星ワールド」の良さがあるのかもと…。
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「孔子暗黒伝」1〜2完結
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孔子、老子、仏陀。なぞの少年「赤」「アスラ」は陽と陰、光と影か。「赤」と「アスラ」が一人となり、「ハリ・ハラ」となる。大中国から縄文の日本そして時を越え、なんと「暗黒神話」つづいていくとは…。孔子の思う平和は世界が来るための出会いではなかった。時の流に翻弄されていく孔子とハリ・ハラ。人はなんの為に生きているのか。と考えてしまいます。この世のすべてのものは生かされているだけの存在なのか。 |
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諸星さんが新人時代に、このタイトル名で週刊少年ジャンプに5回連載したものです。以後、稗田礼二郎のフィールドノートよりと副題がつくシリーズとなっています。「妖怪ハンター」というタイトルは当時の編集者がつけたそうで、諸星さん自身はあまり気に入っていないそうです。 主人公の稗田礼二郎の名は、「古事記」の暗誦者、稗田阿礼からつけています。だから作中での事件に深く関わるのではなく語り部としての役割で描いたそうです。そういえはそうだな。 古くから日本の各地に伝承されている故事と現代の世相を折り合わせながら、どこか現実にありそうな面もにおわせつつ展開する話に妙に引きつられてしまうのは私だけではないとおもいます。 封印されているものは現実にあるんだ、祀られている者は実は○○○のようなものであるなど、想像を膨らませてしまいます。現実にある史跡に立つことがありますが、ここには○○が眠っているのかなとつい思ってしまう私です。 まだまだ、このシリーズが続いていくとおもいます。 余談ですが、稗田礼二郎は、星野 之宣さんが描く宗像教授とよく比較されます。稗田礼二郎と宗像教授が同じ画面で登場するとどうなるか見てみたいです。 2002.11.23 |
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