マレー鉄道とは きっぷの買い方 時刻表 編成表 等級と設備 食堂車のメニュー 出入国手続き ガイドブック

マレー鉄道とは

マレー鉄道とは、タイのバンコクから、マレーシアを経由してシンガポールに至る、全長2000km弱の鉄道だ。しかし実際には、バンコクにあるホアランポーン駅からタイ/マレーシア国境にあるパダンブサール駅までをタイ国鉄が運営し、パダンブサール駅からシンガポール駅までを、マレーシア国鉄(KTM)が運営している。したがって、この路線にはタイ国鉄とマレーシア国鉄の共同運行による国際急行列車が毎日片道2本づつ運行されているが、最低でも2回は乗り換えをしないと、バンコク〜シンガポールまで行くことはできない。また臨時列車ながら、バンコク〜シンガポール間を乗り換えなしで結ぶ豪華なイースタン・アンド・オリエントエクスプレス(E&O)も運行されている。

きっぷの買い方

マレー鉄道の切符は、出発の90日前から発売される。国際急行の寝台車(特にバンコク〜ハジャイ間)は大変混み合うので、かなり早くから予約しないと席の確保はむずかしいようだ(当日行って乗れたらかなりの幸運かもしれない)。それ以外の列車・区間ならば、前日でも大丈夫らしい。

きっぷは、乗車する駅の窓口のほか、タイ・マレーシア国内の旅行代理店やホテル、そしてKTMのホームページでもバンコク〜シンガポールのすべての区間を予約することができるようだ。ただし、代理店でもタイ・マレーシア両国鉄の正規代理店でない会社に依頼すると、メッセンジャーを使って切符を駅で購入する形になるので、1枚につき数百バーツの手数料が必要になる場合もある。正規代理店ならば、その会社のオフィスですぐに発券可能だ。

また日本の旅行代理店でも、手配を行ってくれるところが数軒ある。日本の旅行代理店で予約すると、ほとんどの場合、その代理店が提携している現地の代理店が切符を手配し、現地提携代理店の窓口でチケットを受け取ることになる。運賃に比べて手数料がかなり高いのが欠点だが、なによりも安心できるので、僕の場合はAB-ROADなどの旅行雑誌で「マレー鉄道の手配できます」という広告を出している会社を探し、手配を依頼した。

しかし広告で「マレー鉄道の手配できます」と言っている会社でも、いざ訪ねてみると「かなり手数料が高いから現地で取ったほうがいいですよ」とか、「チケットの具体的な金額は、今すぐには提示できません」とか、「オリエント急行ならば・・・」などと言って、面倒がってどこもなかなか引き受けてくれない(特にH??とかM??TOURとかいう大手の場合)。

僕の場合は、大学近くにある旅行代理店でチケットの手配を依頼したが、担当の方がマレー鉄道に全線乗車した経験のある方だったし、お店にはマレー鉄道のパンフレット類も完備していたので、安心して申し込むことができた。

また99年8月にチェンマイへ行った際は、バンコクの旅行会社(勝美旅行社)に直接E-Mailで問いあわせをして、切符の手配を依頼した。正規代理店ではないので、切符1枚につき300バーツの手数料が必要だが、日本で依頼するよりも格安だ。日本語のメールで応対してくれ、送金も日本国内の銀行口座に振り込めばOK。送料1500円で切符を日本に送ってもらえるほか、バンコクのホテルや支店で受け取ることも可能だった。

駅で切符を購入するのに使えるおかね

現金 VISA/MASTER AMEX/DINNERS
SRT:バンコク(ホアランポーン) ○THB ×
SRT:その他の駅 ○THB × ×
KTM:マレーシア国内の主な駅 ○MYR ×
KTM:シンガポール駅 ○SGD ×

時刻表

時刻表は、どの国でも駅の窓口で英語版の時刻表を無料でもらうことがでる。また、マレーシア国内については、KTMのホームページアセアン財団のホームページでも最新の情報を見ることができる。参考に、1999年7月版のタイ国鉄時刻表を用意しておいた。しかし旅行前には必ず最新のもので確認してほしい。なおマレーシア国内は、列車によっては毎日運行でないものもあるので注意が必要だ。

編成表

マレーシアの編成表は、クアラルンプール駅のインフォメーション前の案内板に記されている。参考として、1998年2月現在の編成表(自分が乗った列車のみ)を作ってみた。

  • バンコク発15:15国際急行バタワース行き(IE/49)
  • バタワース発14:00クアラルンプール行き(XSP/3)
  • クアラルンプール14:10発シンガポール行き(ER/1)

等級と設備

  • 1等個室(タイ)
    1等車は2人用?の個室(コンパートメント)になっている。こちらはもちろんエアコン&寝台つき。掃除が行き届いており、日本の寝台特急の個室寝台とほぼ同レベルと考えて良いかもしれない。しかし、国際急行の1等車両はハジャイ止まりでバタワースまでは行かない。食事は食堂車のウェイトレスさんが、自分の席まで注文を取りに来てくれ、また、料理も席まで運んでくれる(このサービスはどの等級でも一緒)。
車内には寝台組立係の人がいる。眠くなったら寝台の組立をお願いすると、左のような座席が右のような寝台車にあっという間に変化する。(タイ国鉄の場合)
  • 2等AC寝台(タイ)
    2等エアコンつき寝台車は、9両のうち3両のみが終点のバタワースまで行く。右の写真は、この2等エアコンつき寝台車のものだ。写真のように向かい合った席で2人掛けとなるので、座席はかなり広々と使える。夕方になると寝台を組み立ててくれ、右の座席は2段ベッドへと変化する。デッキには、洗面台、トイレ、荷物置き場、自動ドアなどが備わっている。他の列車よりも、比較的掃除がきれいに行われている。快適に旅したいのならばおすすめの車両だ。ただし、上段には窓が無く、明かりが夜も消えず、エアコンの吹き出し口があって寒いという最悪環境だ。できるだけ下段を取ろう。
     
  • 2等NonAC座席(タイ)
    僕が乗車したのは、この2等ノンエアコン座席車だ。その名の通りもちろんエアコンはないので、窓を開けることになるが、タイはほこりっぽく、また都市部は排気ガスだらけなので、列車を降りる頃にはからだじゅうがほこりだらけになる。また、日中に日の当たる席になってしまうと、灼熱地獄を覚悟しなければならない。車両はかなり古く、壁にさわると手にほこりがついたり、掃除がほとんど行われておらず、床はごみだらけ。窓も壊れていて閉まらないこともある。トイレなどの設備もとても古いので、隣のエアコン車のものを拝借したほうがいいだろう。しかし夜行列車だけあって座席はかなり深くまで倒れるので、疲れていれば問題なく睡眠できる。
    こう書いていると悪いことばかりに思われるかもしれないが、他の車両は窓が開かないので、この車両だと景色を楽しんだり、写真を撮ったり、風や匂いを感じたりすることができる。また、この車両で地元のオバチャン達ととおしゃべりするのもいいかもしれない。
    マレーシアの2等AC座席車
     
  • 1等AC座席(マレーシア)
    最近登場した日本の特急列車のグリーン車のように、横3列シートになっている。もちろんエアコンつきだ。RailChannelというテレビが放送されていて、景色が見えない夜でも退屈せずに過ごせる。おしぼり&ドリンクサービスがあるといううわさ(未確認)だ。マレーシアの車両は、どのクラスでも掃除は申し分なく、かなり清潔だ。
  • 2等AC座席(マレーシア)
    日本の特急電車と変わりない設備(リクライニング、エアコン、カーテン、テーブル)を備えている(右側写真参照)。また、1等と同様に各車両に2台づつ、テレビ(RailChannel)が置いてある。デッキには荷物置き場、水洗トイレ(ムスリム用or洋式)がある。トイレは男女別になっていて、いかにもムスリムの国という感じを出している。
     
  • 3等AC座席(マレーシア)
    2等AC座席車からテレビがなくなり、シートのつくりが少々安っぽくなったという程度。あまり2等と変わらない。

食堂車のメニュー

途中の停車駅では、物売り達がホームでいろんなモノ(弁当、水、ジュース、ビールなど)を売っている。これらは弁当で20〜30バーツ、ジュースで15〜20バーツと安めだし、結構おいしかった。しかし、せっかくの列車の長旅、食堂車から食事を注文して運んでもらい、席で食べるという贅沢はどうだろうか?

タイ国鉄の場合、食堂車の営業をホテルに委託していて、そこのウエイトレスさんが席まで注文を伺いに来てくれ、食事も席まで運んでくれる。(KTMは食堂車まで出向かなければならない)

メニューは豊富で、ウエイトレスさんに見せてもらえば見せてもらえるし、列車のドア横にもメニューが貼ってある。単品のタイ料理で1品60〜80バーツ、ディナーセットだと3種類から選べて、150バーツまたは120バーツだ。また朝食も頼めば持ってきてもらえる。こちらはセットで75バーツ。なおドリンク類はは全品20バーツだった。

出入国手続き

  • タイからマレーシアへ
    タイからマレーシアへの入国手続きは、国境駅であるパダン・ブサール駅で行う。この駅はマレーシア領にあるKTM管轄の駅だ。ホームには、タイのイミグレーション&税関、免税店、マレーシアのイミグレーション&税関、両替所、レストラン(2F)がある。タイからマレーシアに入国する場合は、まず荷物をすべて持って列車からおりて、タイのイミグレーションで出国手続きを行い、通路に置いてあるマレーシアの入国カードに必要事項を記入して、マレーシアのイミグレーションで入国審査を受ける。その後はマレーシアの税関検査となるが、空港のようにX線装置などは無いので、検査台で荷物を開けて検査を受けることになる。無事検査が終われば、再び列車に戻ることができる。右の写真はパダンブサール駅のホーム。
     
  • マレーシアからシンガポールへ
    ジョホールバルに到着する約1時間前に、車掌さんがシンガポールの入国カードを配るので忘れずに受け取る。カードを受け取ったら、忘れないうちに座席で記入してしまおう。列車がジョホールバルに到着し、ジョホールバルで降りる乗客が降り終わると、マレーシアの入国審査官が乗車してくる。ここではあこがれの「座席で出国手続き」ができる。出国手続きが終わると、列車はシンガポール駅に向けて出発する。シンガポールの入国審査は、列車がシンガポール駅に到着してからホームで行う。入国審査が終わると、麻薬犬約3匹の横を通らされる(シンガポールでは麻薬取引するものは死刑!悪いことをしていなくても、緊張してしまう)。麻薬犬の横を通ると、税関検査が待っているが、日本人はパスポートを見せればそのまま通してもらえるようだ。
  • マレーシアからシンガポールへ
    01/Aug/1998から、シンガポールのイミグレーションの場所が変更になった。ジョホール水道を渡ってすぐの場所?に、Woodlands Train Check Pointという場所が設けられ、ここで全旅客が一旦下車して、シンガポールへの入国手続きを行うことになった模様。麻薬犬も一緒にこちらに移動したという情報もある。
     
  • シンガポールからマレーシアへ
    従来は、シンガポール駅でシンガポールの出国手続きとマレーシアの入国手続きを同時に行っていたが、01/Aug/1998よりシンガポール駅でのシンガポール出国手続きは廃止され、マレーシアの入国手続きだけが残ることになった。要するに、シンガポール駅でマレーシアの入国手続きを行い、Woodlsndsでシンガポールの出国手続きを行うという、本来あり得ない順序の手続きを踏むことになる。この間、列車の乗客は2つの国に同時入国している扱いになる!?
     
  • ビザについて(観光目的の場合)
    1. タイの場合
      日本国籍があり、30日以内に外国へ行く予約済みの航空券を持って空路で入国する旅行者」に限り、30日間までのビザなし滞在が認められている。したがってこの規定によれば、マレー鉄道でタイからマレーシアに抜ける場合はもちろん、マレーシアからタイに鉄道で入国する場合にもビザが必要ということになる。念のため旅行前に東京のタイ大使館(目黒)に電話して「マレー鉄道で出国する場合ビザは必要ですか?」と確認したところ、「ツーリストビザを取得してください」と言われたので、僕はあらかじめツーリストビザを取得しておいた。しかし入国を認めるか/認めないかの全権は、空港や国境駅の出入国管理官にゆだねられていて、実際にはビザがなくても問題なかったと言う人がほとんどらしい。はっきりいってドン・ムアン空港の入国審査では、帰りの航空券のチェックはあまりしていないようだった。しかし運悪く厳しい入国審査官に当たってしまってタイ入国が認められないことになると、駅や空港で日本へ引き返す羽目になるので、念のためビザは取得しておいたほうが安全かもしれない。(この文章を 読んで、ビザなしでタイに行って日本へ引き返す羽目になっても、僕は責任を取りません。あくまで個人の判断でビザを取得すべきかどうか判断してください!)
      ビザ取得法を詳しく知りたい方は タイビザの申請方法
      ビザを取らずに入国したい方は ビザ無し入国の裏ワザ
       
    2. マレーシアの場合
      日本のパスポートを持っており、3ヶ月以内の滞在の場合は陸路・空路共にビザは不要だ。ただしパスポートの残存有効期間は6ヶ月+滞在日数以上必要となる。「帰国のための航空券を所持していること」という規定もあるが、実際にはノーチェックだと言っていい。
       
    3. シンガポールの場合
      日本の旅券を持っており、2週間以内の滞在ならば陸路・空路共にビザは不要だ。なおパスポートの有効残存期間は6ヶ月以上必要になっている。

ガイドブック

一度に3各国も旅する訳だから、いちいち3冊もガイドブックをそろえていたのでは出費が馬鹿にならない。僕の場合は、友人と分担して3冊もガイドブックを購入してしまったが、偶然にIE/49の車内で出会った方から大変素晴らしい本を教えていただいた。それは「マレー半島モンスーン・エクスプレス」(情報センター出版局)という本だ。沿線3カ国+インドネシアの情報や、タイ語&マレー語講座など使える情報がギッシリ詰まった上に、すばらしい写真がたくさん載っている。詳しくは、著者の福井さんのホームページへ。

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