伝蔵荘日誌

【伝蔵荘日誌】2020年1月26日: 魔境中国の終わりの始まり T.G.

 中国が大変なことになっている。武漢市を中心に猛威を振るう新型肺炎の事である。今日現在の中国政府の公式発表では国内患者数1975人志望者数56人となっているが、秘密主義の中国政府の公式情報は当てにならない。すでにその数倍、数十倍に膨れあがっているに違いない。ネットの噂では死者がすでに1万人を超えたという話もある。話半分としても、中国政府が慌てて千人収容の病院を突貫工事で作ろうとしたり、人口1千万人の大都市武漢を封鎖したり、中国国民の海外旅行を禁止したりしていることからも、それに近い惨状であることがうかがわれる。

 台湾出身の評論家、黄文雄氏が「歴史も証明。中国という国を滅ぼしかねぬ新型肺炎という疫病」と言う記事を書いている。それによると古来ほとんどの悪性伝染病は中国が発生源だという。中世ヨーロッパで猛威を振るい、人口の3分1を死に至らしめたペストは、支那との戦いで感染したモンゴル軍がヨーロッパ遠征で持ち込んだものだという。戦前ヨーロッパで大流行し、2千万人が死んだスペイン風邪も、今回と同じ中国発祥の悪性インフルエンザだという。このスペイン風邪は日本でも猛威を振るい、2千万人が感染し、40万人が死んだ。そのほかにも、天然痘、コレラなども中国発祥だという。最近では2003年のSARSもその一つである。明王朝が倒れたのは清にに滅ぼされたのではなく、1000万人の死者を出したペストと天然痘だったという説がある。今回の新型肺炎がその一つにならなければいいが。

 中国でたびたび悪性の伝染病が出来するのは、古来中国人の衛生観念が乏しいこと、医学が尊ばれないことが根本原因だと黄文雄氏はいう。医師の社会的地位が低いので優秀な学生が医学部に行かない。給料が安いので誰も医者になりたがらない。世界第二の経済大国になっても、日本のような医療保険制度が普及していない。多くが病気になっても医者にかからない。そのため疫病が拡大してしまうのだという。今回の新型肺炎もその例に漏れない。東京やシカゴ並みの大都市武漢を封鎖せざるを得なくなったのはそのためだろう。衛生観念と医療制度の発達した日本や欧米では考えられないことだ。

 中国人が来日して驚くのは、中国の五つ星ホテルより日本のショッピングモールの方がはるかにきれいで清潔なことだという。日本の植民地時代の台湾は日本の衛生管理が行き届き、疫病の大流行は起きなかったが、戦後、蒋介石の国民党軍が進駐した途端、すでに絶滅していたマラリア、天然痘などの疫病の大流行が台湾全島を急襲した。戦前の日中戦争で日本軍が進出した地域は衛生状態が良くなり、伝染病が消えた。それで地元の農民達に日本軍が歓迎されたという嘘のような話がある。今回も武漢からの旅行者は観光より安全な日本に来ることが主目的だったと言っている。はた迷惑な話だ。

 そういう意味で中国は国全体が一種の魔境である。内部に魑魅魍魎が跋扈する不気味な国だ。次々に魔物が現れる。新型肺炎ウイルスの発生源は武漢市の不衛生な生鮮市場だと言う。そこではネズミやコウモリ、蛇などの野生動物が生きたまま食材として売られている。SARSもそうだったが、今回の新型肺炎ウイルスは市民が好んで食べるキクガシラコウモリが感染源と言われている。中国奥地から次から次へと化け物が現れるようで、まさに魔境である。それにも増して魔境たる所以は、中国国内で何が起きているか外側からまったく見えないことだ。新疆ウイグル地区で何十万人が収容所に送られ、強制労働させられているという噂だが、外側からは実態が見えない。広大なチベット自治区でなにが行われているか、誰にも分からない。15年前のチベット旅行でその一端に触れたが、今は情報が閉ざされていて実情がうかがい知れない。

 世界第二の金満国家なのに、普通の先進国では当たり前の憲法も法治も、代議員制度も国軍もない。あるのは共産党一党独裁で、憲法や法律は共産党の憲法であり法律に過ぎない。人民解放軍は国軍ではなく、中国共産党の私兵である。国家元首である国家主席は選挙で選ばれるわけではなく、共産党内の権力闘争の勝者に過ぎない。表向き自由主義経済体制をとっているが、実態は中国共産党の操り人形。WTOのルールなど守ったことがない。悪名高い5Gのファーウエイはその先兵である。その悪辣さと矛盾をトランプに突かれて四苦八苦している。力尽くで世界中に押し広げている一帯一路は、ヒトラーも真っ青の絵に描いたような経済侵略。軍事力の代わりに金を使っているだけの違い。最初のうちは乗っていたヨーロッパもそろそろ気味が悪くなり、腰が引け始めている。その陰険で悪辣な独裁者習近平を国賓招待しようとする安倍政権に、日本国民も首をかしげ始めている。

 もしかすると、これが中国の終わりの始まりになるのかも知れない。新型肺炎の蔓延が中国経済の足を引っ張り、中国共産党の権威を低下させる。大都市を強制封鎖された武漢の人たちは共産党政府に不満を持ち、反発し始めるだろう。その動きが他の都市にも広がるだろう。トランプとの米中貿易戦争の弱り目に、新型肺炎が祟り目になる。明王朝がペストと天然痘で倒れたように、新型肺炎をきっかけに中国が内部から徐々に崩壊する可能性がある。1997年の香港返還をあれほど喜んでいた香港の人たちが、魔境中国の危うさ、いかがわしさに気づき、中国に戻りたくないと言い始めている。親中派の国民党を育て、金の力で台湾を取り戻そうとしたが、先日の総統選挙で民進党の蔡英文が大勝した。台湾の人たちがいかがわしい中国にノーを突きつけている。香港、台湾という習近平中国にとって最重要な核心的利益がどんどん遠のいている。新型肺炎と同じく、これも終わりの始まりのシグナルだったと、後世の歴史家が言うかもしれない。

(注)今日付の勝又壽良の経済時評によれば、「中国、「新型ウイルス」医師ら悲痛訴え、政府の発表信じないで「患者数10万人以上」、とあります。日本では報道されませんが、どうやら現地は阿鼻叫喚の大混乱に陥っているようです。

 

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