チベット・カイラス山トレッキング

【チベット・カイラス山トレッキング−その8】

8月24日(水)タシゾン→ニャラム→ザングム、
        走行距離195km、行動時間10時間30分

  
 早朝の村中を散歩。 川の合流地点の広い谷。 この川はアルン川の支流。 アルン川はプラマプトラ河に注ぐのではなく、直 接マカルー(標高8462m)の東を南下、ヒマラヤ山脈を横切ってガンジス河に流れ込む。 周辺は一面にチンコー麦の畑、黄色く色付き収穫直前。 石垣に囲まれた柳の林。 真直ぐな木は建築用の支保工材として使われるのだろう。 切っては脇から新しい芽が出て又伸びるのを待つ、の繰り返しなのか。 いうなれば柳の栽培をしているようなもの。 今まで通過した4000mの標高には木は見られなかったことから見ると、この周辺はよほど温暖な気候なのか。(写真)

 朝食時どやどやとイタリー人の団体さん。 朝早くロンブク寺院から下りてきて今日はザングムまで行くとのこと。 人の前にやってきて、自分らが居る間はタバコを吸ってくれるなと注文。 灰皿の置いてある部屋でタバコを吸ってなぜ悪い。 嫌ならお前さんたちが出て行け、とタンカをきりたかったが生憎そんな英語力も無し、諦めてタバコをしまう。 我々も今日の行動を検討。 ロンボク往復には5、6時間かかり今日中にザングムまで行くことは不可能になるであろうこと、からこれより先に進むことを諦める。 雲が低く、ロンボクまで行ってもチョモランマは見えないであろうと自分自身を納得させながら。

チョモランマBCトレッキングはオプション、メインはカイラス、自分に言い聞かせて諦める。
   10:00 タシゾン発 バン・ラ(峠)に向かって高度を上げる。 改良されたいい道。ラサ〜チョモランマBC往復の観光客の為の看板道路か。 次第にヒマラヤ連峰の主峰群が雲を頭に乗せて見えてくる。
 11:00 バン・ラ(峠)は5150m。更に近くのピークまで車で上がる。 ランクルだから出来ること。 チョモランマ、チョーオユー、ガチュンカンなどがピカピカ! ロンボクに行ってたらピークが見えたかも!残念。(写真)

 峠から一気に下ってチェックポスト通過,12:00 すぐに中尼道路に出る。 右に行けばシュカールを経てラサへ。 我々は左折してティンリー、ザングム方向へ戻る。 中尼道路は道路改良工事中と言うより新設工事中。 高盛土は路床まで完成、橋梁、C−Box、排水構造物等は工事中で、その都度迂回を強いられる。 お陰で走行速度は上がらず。 時間がかかる。 しかし1,2年もすれば素晴らしいハイウエーになるだろう。

 14:15 ティンリー着、昼食、チャーハン美味し。 食後、ヒマラヤ連山の見渡せる展望台に登るも、山々のピークは雲の中、納得して下りる。
15:30出発。ドルマ・ラでは山々が見え出す。 チョモランマらしきピークも含めて素晴らしい展望。(写真)

 シシャ・パンマも見え出す。満足の一言。(写真)
 19:00 ニャラム着、休憩。 19:30 出発。 雨が降り出す。 次第に激しくなり、豪雨。道路上にも滝のように雨が降りかかり、沢は土砂が流れ始めている。 下手をすれば明日は道路不通の恐れあり。 今日ザングムまで足を伸ばす選択は正解かも。

 20:30 サングム着。 シャワーの使えるホテルと言う、ふれ込みだったが、まるでだめ。 明日はカトマンズでは使えると諦る。 夕食、近くの中華料理屋で白菜、青菜の炒め物、酢豚(日本のものとはもって非なるもの、硬い豚肉、スープ、ビールが美味い。 明日はカトマンズ、緑の国への開放感。長年の願望を遂げた充実感。

8月25日(木) ザングム→カトマンズ、走行距離130km

 どうやら雨も止んだ様子。 山肌を霧が漂う。 昨日までの岩と土だらけの殺伐たる光景から一転、緑に覆われたしっとりした景色。やはり我々にはこの景色がぴったり。
 8:30朝飯抜きで出発、出国、通関手続きの一番乗りを目指す。 昨日も国境通過にえらく時間がかかったとのこと。 8:45ゲート前一番乗り。 すぐ後に昨日タシゾンで会ったイタリー人グループがやって来た。 思いは皆同じ。
 9:30 出国手続き開始。 我々はグループ登録?とかで順番に並んでパスポートを出すだけ。 結局、入国、出国ともスタンプも押されず仕舞い。 パスポート上では今回の旅は何の証もなし、と言うことか。 通関手続きも問題なし。 2台のランクルに分乗して国境の橋の袂まで。 つづら折の下り道の片側はトラックがびっしりと列をなして通関手続きを待っている。 狭い残りの1車線が上下する車の交互通行の道。 途中で路肩が崩れトラックが数m下に転落した個所あり 。こうなると通行もままならず、昨日のような渋滞を惹き起こすのだろう。 道路が整備されていないばかりに起きる経済的マイナス要素だが、反面、この不整備のお陰で、密輸天国ルートと言われるこの道の利用が減っていると言う抑止効果の役割を果たしているともいえる、皮肉な結果。

 ようやく下の税関につき手続き完了。 友交橋を渡ってネパール領コダリに入る。 なんとなくホッとした気分。 何故だろう?   たった数十m移動しただけなのに、顔つきも、服装も違う人が生き生きと行動している。 建物の形も、車の種類も色もまるで違う。  普通の国境ではこんな極端な違いはない筈だが。 共産圏と遅れているとはいえ資本主義圏の違いか?
 入国手続きは例によって簡単。 ようやく河のそばの食堂で遅い朝食にありつく。 オムレツにパン、紅茶、西洋風。 河は増水して激流となっている。 対岸の中国、ネパール両側のちりも芥も一緒になって流れ去る。
 ここからはエコトレのバスが出迎えの予定であったが、途中で国道が土砂崩れで不通とのこと。 とりあえずその地点まで車をチャーターしてたどり着くことにする。
 12:00 コダリ 発、 四輪駆動の車は今度は日産のパトロール。 ディーゼルで少しうるさいが車幅も広く、力強い。 決してトヨタに負けていない。 1時間ほど走った地点で出迎えのバスとすれ違う。 道路も復旧した様子。 バスには次のカイラス行 きの次のお客さんで一杯。 3,40人と聞いた。 商売繁盛でいいこと! 
 バスが戻るまでには相当時間がかかるので、我々はこのままチャーター車でカトマンズまで行くことにする。 途中雨脚が激しくなる。 車の上に積んだバッグは再びずぶ濡れに。 中をビニールで包んであるので安心だが。 話ではモンスーンの時期が遅れて今頃最盛期に入っているとか。
 昼食。往きもこの街で朝食を摂った。 同じ食堂の同じ机に付いて食事。 気がつくと脂汗が出るくらい気温が上がっている。 いつの間にか亜熱帯のエリアの入っている。

【川砂採り、人海戦術】
 増水した川の岸、対岸の流れが緩んだ川岸では砂取りの作業中。 三人一組、二人の若い女性が風呂敷き状の布を両側で持ち、男が河の中から砂をスコップですくい出す。 二人は川岸までそれを運び、弾みをつけて放り出す。 一回の量はわずかでも回数が重なれば大きな山となっていく。 いかに亜熱帯のエリアとはいえ、川の水は冷たいはず。 お嬢さん、腰を冷やさなければ良いが。(写真)


           16:40 カトマンズ ダイナスティーホテル着。 15日振りの都会。 排気ガスで汚れていても、喧騒の中でも、なんとなく落ち着く。 部屋に入って荷物を解く。 ベットの柔らかさが有り難い。 しばし昼寝。 19:30 エコトレ、ジョディー社長、奥さん、生後6ヶ月の女の子 アジェ、スタッフのラビー、パトリック 、ホテルへ訪ねて来る。 暫く情報交換。 10月の医療トレッキングの話の打合せの後、帰って行く。 夕食は話題に出ていた、イタ飯屋、“ファイヤー&アイス”へということになる。 店で最前までいた連中とばったり。 思いは同じと言うところか。 ピザ、スパゲッティ、サラダ、赤ワインで無事帰還の乾杯。 ワイン1本600ルピー。少し甘いが美味し。(1ルピー 1,6円)

    (写真はクリックで拡大出来ます)
←戻る     次へ→