【チベット・カイラス山トレッキング−その5】8月18日(木) ディラプール・ゴンパ〜ズルフク・ゴンパ手前キャンプサイト、徒歩14km、曇り今日がトレッキングのハイライト。 早朝出発と聞き、6:40パッキング終了。 一向に食事の声がかからず、一人、テントの中で寒さに震える。 天気はあまり良くない。 北壁は昨日より雲が低い。 昨日あそこまで見えたことで満足しなければならないか。【ゴミの散乱】 かつては、捨てるものは何もないほどリサイクルされ、残るのはヒツジやヤギの足先のみ、と言われていた。 そのせいか、彼らにごみ処理(分別処理、焼却、埋め立て)の感覚はまったくない様子。 それにしてもひどいゴミの散乱。 彼らは穴を掘って放り込むか、川に投げ込むだけ。 風が吹けばあちこちに散らばりひどいもの。 気温が低いので腐敗も進まず、仮設トイレのウンチも何時までも残るはず。 何とかしなければ後から来る人達はゴミの山の上にテントを張ることになりかねない、との危機感はあったものの、結局皆と同じ事をしてきてしまった。 後悔。 分別処理の習慣さえつければ作業員は何人でも居るのに。 ![]() 8:45 朝食を終えて我々三人+トマ出発。他の人々はまだまだ準備段階。 ヤクも準備できず出発は程遠い。 尾根の中腹をトラバースしながら徐々に高度を上げていく。 目指すは高度差700m、標高5630mのドルマ・ラ(峠)。 11:00 カラフルな衣服が大量に脱ぎ捨ててある個所を通過。 現世の垢、しがらみを衣服に託して脱ぎ捨て、新しい衣服で旅立つという意味らしい。 それにしても汚らしいこと! 価値観の違いか。 いよいよ“慧海”言うところの“三途の逃れ坂”にさしかかる。 そんなにキツイ登りではないのだが、なにせ、5000m以上の高度。 平地の半分の酸素しかない空気では吸っても吸っても効果なし。 足も思うように動かず、ゼイゼイ言いながら歩く。 ざんげどころか後悔したくなるような登り。 雲が低く、カイラスのピークは望むべくもない。 脇にどっかりと懸垂氷河?をつけたピークが迫る。 12:50 ドルマ・ラ着。 多くのタルチョがはためき,石積みが見られる。 ケルンとは異なり賽の河原の石積みと同じ形? 例の衣服の散乱で休む場所もないほど。(写真) ![]() そそくさと昼食を済ます。 雀に似た鳥が我々のビスケットを求めてそばを飛び回る。 13:25 峠を出発。急坂の下り。 これでは馬やヤクにも恐くて乗れない。 やがて右手にカリガンド池、翡翠色の水を湛えた池が二,三。 雪解け水?ここも聖地、この水で沐浴をするとか。(写真) ![]() 1時間ほどで急坂も終わり、残雪もある、 緩やかなカール状の地形に大休止。 H氏、峠で般若心経を読む予定を忘れ、ここで読経。 まずまずの出来。 周辺の山々は槍やナイフのように切り立っている。 特異な地形。地殻変動で層理が90度回転、垂直になっているよう。(写真) ![]() 暫く緩やかな岩場を歩いた後、再び急坂。大きな川との合流点、シャグエダックトック着。 15:15 ここにもテントの茶店あり。 後発組を待つも一向に現われず。 寒さにテント内に入って暖を取る。 やはり疲れているのか、うつらうつらする。 空腹を感じ目を覚ます。インスタントラーメン10元。 日本発明のこの製品も中国に完全に取り込まれている。 これが本当の中華そばか。 強烈に辛いスープつき。 辛さで美味さも分からず。 亭主は赤い発泡スチロールの容器を回収して外の穴にポイ! 軽い容器は風に舞ってどこかに飛んでいってしまった。 又ゴミの散乱に加担してしまった。 馬子達一家が到着。 お客さんは居らず。 下り坂での乗馬は恐くて歩いて下っているとか。 早速、絨毯を敷いて、バター茶作り。 筒状の容器お湯とバターを入れて中の棒で攪拌、出来上がり。 一家団欒。 ![]() 17:00 ようやく、三々五々、本隊到着。 ヤクは出発直後の渡河地点で転倒、テント2張りを紛失とか。 今回はヤクについていない。これが本当の疫(やく)病神! 見ていると、ヤクはどんな坂でもガンガン下る。 とてもあんなものの上には乗っていられまい。 おばさん連中は両腕をエコのスタッフに抱えられながら、ふらふらと、さながら夢遊病者のごとく。 よくぞ頑張った!これも信仰心か。 この様子では今日のキャンプ予定地、ズルフク・ゴンパまでは無理。 途中でいいキャンプサイトを見つけることで先発隊出発。 我々も17:45 茶屋発。 川に沿って開けた谷を下る。 ほとんど平坦。 方々でマーモットが顔を出す、キイキイと賑やか。 ヤギの放牧をするチベット人テントの脇を通る。 牧草などほとんど見当たらないだが。(写真) カイラス東壁から流れ出る沢の出会い、東壁は雲の中。 19:00キャンプサイト着。 なんと川と湿地帯の間のスペース。 急な大雨で増水すればテントごと流されること請け合い、といった場所。 我々はこんな場所には絶対に張ってはならないと教えられたのに。 夕食、トマトスープにオジヤ、さみしい事。 H君が日本からはるばる持参した“マッカラン”のウイスキーでドルマ・ラを無事越えられたことを祝って乾杯。 緊急時に備えてナイフで何時でもテントを破れる支度をして寝ることとする。 テントは完全な袋状のた めジッパーを開けての脱出は難しい。 (写真はクリックで拡大出来ます)
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