船外機 単気筒蒸気エンジン#5  その1

ネジ止め

エンジン本体

バルブ最上位置

ピストン最上位置

クランクディスク

バルブシリンダー 

船外機 単気筒蒸気エンジン#5

下死点

上死点

ピストンを押し下げる

上死点

蒸気排気口

船外機 1気筒蒸気エンジン#5 仕様
26mm
16mm
排気口
コンロッド

 一般的な偏芯カムを使った方式(#2、#3エンジン)ではパワーピストンとバルブピストンの回転軸を同軸に配置する必要があり、シリンダーを横置きするとパワーシリンダーとバルブシリンダーが2階建ての構造となり重心が高くなりますが、「ロス機構」の方式では両シリンダーを同じ平面に置くことができます。 また、この方式では、回転軸を両シリンダーの直近に配置する事で、コンパクトが可能となり、さらにバルブを制御する偏芯カムも不要となり、部品点数が少ないという特徴があげられます。

スクリュー

直径35mm

歯車カバー(円筒形)

 今回は模型ボートに搭載することを前提に蒸気エンジンを製作します。 今回のエンジンは模型としての実用性よりも、単に面白そうだという事から、ボイラーとエンジンが一体となった「船外機」としました。 船外機にするには、エンジン本体を上部に実装することになり、さらに、ボイラ、バーナー、燃料タンクを一体化することで、重心が高くなってしまうことが課題となります。 また、船外機の船体への取り付けは一本の軸で取り付けることになる為、エンジンの振動が大きくなり、その影響が気になるところです。 これらの事を考慮し、エンジンは、「ロス機構」をとりいれた方式でコンパクト化をはかり、ボイラも蒸気庄と運転時間より、小型化を優先して製作しました。 蒸気エンジンの仕様と完成した船外機の外観写真を図1に示します。

8 エンジン本体の内部構成
4.8mm
12mm
メインピストン

3mmφ

(ピストンリング無し)
4.8mm
4.8mm
4mm
21mm
バルブピストン

3mmφ

ストローク 14mm
制御ヨーク支柱

バルブ構成 側面図

10mm角棒を5mmドリル穴をあけ、

5mmφパイプを挿入

バルブシリンダ
給気
30mm

 エンジンの仕様として、ピストンのストロークを14mmと決めましたが、そのときのクランクディスクの偏芯量の求め方について、私には計算で求める知識が無い為、原始的に、ピストンの動きを方眼紙に描き、図から偏芯量を読み取るという方法で行いました。 もともと製作精度の問題やクランクの遊びもあることから、このような適当な設計でも大きな問題は発生しませんでした。 図5はクランクディスクの動き、T型クランクの動き、制御ヨークの動きを示したものですが、偏芯量はこのような図を作成し、図からその数値を読み取りました。

スチールウールの毛細管現象でアルコールを吸い上げ、燃焼の熱でアルコールが気化

スチールウール

タンク内の圧力が熱で上昇しすごないよう、気化ガスを逃がす

燃焼の熱でアルコールの気化が継続

軸受け

ボールベアリング

 フレームとしては、ボイラー本体がエンジン、回転軸の軸受け、スクリュー部を支持する構造とし、前後の重心位置に船外機を支える軸を配置しています。 ボイラーの容量は、15分程度の連続運転を想定し、これまでの経験から、水が90cc、燃料タンクが40ccの大きさとしました。 スクリュー軸は、エンジン回転軸を傘歯車で90度方向を変えています。 構造上、エンジンの回転シャフトが長くなる為、ピストンによる振動と回転軸の回転ぶれのため、エンジンの回転がスクリューにうまく伝達できないのではないか、シャフトの途中にブレを吸収するユニバーサルジョイントを入れる必要がないか等を懸念しましたが、結果としては歯車をシャフトに直結しても問題は発生しないことを確認しました。 図2に船外機の外観図を、図3に船外機の断面イメージ図を示します。

ボア
14mm

ストローク

4

排気

給気

フライホイール

53mm 
燃料 アルコール(気化式)
ボイラ
シリンダー構成
1気筒  複動式
 ロス機構では、T型クランクと制御ヨークが軸の回転に応じて、ちょっと複雑な動きをします。 「ロス機構」についてはこちらのWebをご覧ください。 図4に今回のエンジンの遷移図とロス機構の動きを示しています。 パワーピストンが上死点位置にあるとき、クランクピンは左下45度の位置にあります(遷移図1)。 パワーピストンが下降し始めるとバルブピストンはさらに上昇、パワーピストンの左側に蒸気が流入し、右側の蒸気を排気しながら、ピストンを押し下げます(遷移図2)。 パワーピストンが下死点位置では、クランクピンは右上45度の位置となります(遷移図3)。 パワーピストンが上昇し始めるとバルブピストンはさらに下降、パワーピストンの右側に蒸気が流入し、ピストンを押し上げ、左側の蒸気は排気されます(遷移図4)。 なお、パワーピストンとバルブピストン(弁)との関係は、パワーピストンがバルブピストンより90度先行しています。

制御ヨーク支点

パワーピストン

上死点位置

給気口

クランク

  ディスク

4.5mm

偏芯

T型クランクの支点

は制御ヨークにより、

近似的に直線運動

を描く

パワーピストン

下死点位置

T型クランクの動き

図4 ロス機構使用したピストンバルブ式蒸気エンジン#5 遷移図

給気

排気

ピストンを押し上げる

バルブ最下位置

下死点

ピストン最下位置

ピストンの動きとクランクの動き

傘歯車

図3 船外機 断面イメージ

船体取付け軸

ステンレス球

をバネで押

しつける

蒸気

安全弁

エンジン

排気パイプ
55mm
バーナー
ボイラー
36mm
パワーシリンダー
76mm 

構成

アルコール容量: 40cc
ボイラ水容量:  90cc
連続運転時間15分想定
ピストンバルブ方式
バルブ(弁)方式
12mm
76mm×160mm×高さ190mm
「ロス機構」を使用
4mm
外形寸法
クランク機構
ストローク
船外機 蒸気エンジン#5 その2
図7 エンジン本体外観
塞ぎ板 パッキグングを介してミゾを塞ぐ
制御ヨーク支点
排気
断面図
ネジで穴を塞ぐ 
21mm

ベアリング収容のブロックをパイプにはんだ付け、ベアリングは3点でネジで固定。軸ぶれをネジで調整

図5 ロス機構における T型クランクの動き
150mm 
スクリュ−(直径35mm
図2 船外機 蒸気エンジン#5 外観図
160mm
134mm
調整バルブ
図1 船外機 蒸気エンジン#5 外観図
70mm
36mm
60mm
45mm 
60mm
100mm
38mm
クランク軸
34mm
113mm
フライホイール
給油器
排気口
50mm
85mm
フライホイール 
クランクディスク
制御ヨーク
T型クランク
給気口
36mm
コンロッド

ストローク

   14mm 
58mm