船外機 単気筒蒸気エンジン#5 その1
エンジン本体
バルブ最上位置
2
ピストン最上位置
1
クランクディスク
船外機 単気筒蒸気エンジン#5
下死点
上死点
ピストンを押し下げる
上死点
蒸気排気口
一般的な偏芯カムを使った方式(#2、#3エンジン)ではパワーピストンとバルブピストンの回転軸を同軸に配置する必要があり、シリンダーを横置きするとパワーシリンダーとバルブシリンダーが2階建ての構造となり重心が高くなりますが、「ロス機構」の方式では両シリンダーを同じ平面に置くことができます。 また、この方式では、回転軸を両シリンダーの直近に配置する事で、コンパクトが可能となり、さらにバルブを制御する偏芯カムも不要となり、部品点数が少ないという特徴があげられます。
スクリュー
直径35mm
歯車カバー(円筒形)
今回は模型ボートに搭載することを前提に蒸気エンジンを製作します。 今回のエンジンは模型としての実用性よりも、単に面白そうだという事から、ボイラーとエンジンが一体となった「船外機」としました。 船外機にするには、エンジン本体を上部に実装することになり、さらに、ボイラ、バーナー、燃料タンクを一体化することで、重心が高くなってしまうことが課題となります。 また、船外機の船体への取り付けは一本の軸で取り付けることになる為、エンジンの振動が大きくなり、その影響が気になるところです。 これらの事を考慮し、エンジンは、「ロス機構」をとりいれた方式でコンパクト化をはかり、ボイラも蒸気庄と運転時間より、小型化を優先して製作しました。 蒸気エンジンの仕様と完成した船外機の外観写真を図1に示します。
3mmφ
3mmφ
バルブ構成 側面図
10mm角棒を5mmドリル穴をあけ、
5mmφパイプを挿入
エンジンの仕様として、ピストンのストロークを14mmと決めましたが、そのときのクランクディスクの偏芯量の求め方について、私には計算で求める知識が無い為、原始的に、ピストンの動きを方眼紙に描き、図から偏芯量を読み取るという方法で行いました。 もともと製作精度の問題やクランクの遊びもあることから、このような適当な設計でも大きな問題は発生しませんでした。 図5はクランクディスクの動き、T型クランクの動き、制御ヨークの動きを示したものですが、偏芯量はこのような図を作成し、図からその数値を読み取りました。
スチールウールの毛細管現象でアルコールを吸い上げ、燃焼の熱でアルコールが気化
スチールウール
タンク内の圧力が熱で上昇しすごないよう、気化ガスを逃がす
燃焼の熱でアルコールの気化が継続
軸受け
ボールベアリングフレームとしては、ボイラー本体がエンジン、回転軸の軸受け、スクリュー部を支持する構造とし、前後の重心位置に船外機を支える軸を配置しています。 ボイラーの容量は、15分程度の連続運転を想定し、これまでの経験から、水が90cc、燃料タンクが40ccの大きさとしました。 スクリュー軸は、エンジン回転軸を傘歯車で90度方向を変えています。 構造上、エンジンの回転シャフトが長くなる為、ピストンによる振動と回転軸の回転ぶれのため、エンジンの回転がスクリューにうまく伝達できないのではないか、シャフトの途中にブレを吸収するユニバーサルジョイントを入れる必要がないか等を懸念しましたが、結果としては歯車をシャフトに直結しても問題は発生しないことを確認しました。 図2に船外機の外観図を、図3に船外機の断面イメージ図を示します。
ストローク
4
3
排気
給気
水
フライホイール
制御ヨーク支点
パワーピストン
上死点位置
クランク
ディスク
偏芯
T型クランクの支点
は制御ヨークにより、
近似的に直線運動
を描く
パワーピストン
下死点位置
T型クランクの動き
給気
排気
ピストンを押し上げる
バルブ最下位置
下死点
ピストン最下位置
ピストンの動きとクランクの動き
傘歯車
船体取付け軸
ステンレス球
をバネで押
しつける蒸気
安全弁
エンジン
構成
ベアリング収容のブロックをパイプにはんだ付け、ベアリングは3点でネジで固定。軸ぶれをネジで調整
ストローク
14mm