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原作<「小間使いの日記」1900年・オクターヴ・ミルボー>をもとに、一人の主人公(小間使い)を設定し、ブルジョア社会に生きるさまざまな人間を嫌悪する「彼女」の視線と、現代に生きる「私」の生を交錯させながら描きます。

今回の八重樫聖ソロでは、原作(500頁余)を1/3ずつ分け3連続公演として読解、舞台化します。

DA・Mは、この数年、演劇における<身体性を軸にする即興様式の確立>を目指す独自の集団作業を継続し、その成果をもとに、近年は海外公演や国際共同公演を行ってきましたが、この度の活動では、一人舞台をベースに多様な逸話を構成しながら、改めて同時代性へと開かれていく演劇<身体と言葉>のあり方を探っていきます。
 

   
  Vol.1  2005.12/23-24    
  Vol.2 2006 2/11-12     
Vol.3 2006 3/25-26
  Vol.1 当日パンフレットより ▲Top  

「『小間使い日記』をやってみようと思う」

昨年冬,劇団のミーティングで突然八重樫聖がそう切り出した。10年少し前に、当時彼女が在団していた脚本家に促されていたのだと言う。

「酒席での戯れ言だったかもしれませんが、気になっていました。」

作者は?オクターブ・ミルボー。それは誰? 調べてみると、フランスの小説家、劇作家、ジャーナリスト。1848-1917。フランコプロシア戦争従軍後、王党派・カトリック支持から左翼に転向、新聞などでの政治的発言をし、自らも自然主義的手法で激しいブルジョア蔑視(べっし)や社会悪風刺の作品を残している。『フィガロ紙』の編集に加わり、劇評家としては、メーテルリンクの象徴主義演劇を見出した功績があるとのこと・・・この小説は1900年に書かれている。日本での翻訳本は、1932年に春陽堂文庫、世界名作翻訳全集26で出版されていた。一般的にはルイス・ブニュエル監督、ジャンヌ・モロー主演で1964年に映画化され知られたらしい。今ではDVDで簡単に見ることが出来る・・・・
500頁余あるこの原作をどのように舞台化するか? おまけに戦前の翻訳本は漢字が難解で、すんなりと読み進めず、なかなか全体像が見えてこない。八重樫は今春より辞書と格闘し始めながら読み進んだ・・・、当初、今年の6月公演を皮切りに、後2回のシリーズ公演にしてほぼ1年がかりでこの作品を読破/舞台化する計画だったが、劇団の都合でとうとうこの年末にまで伸びてしまった。

国内外で<即興公演>を展開してきた私達にとり、実に久々のテキスト(言葉)=物語上演である。100年前の人間達が黒く淀んでいる。まずは、全体の三分の一ほどの言葉を収集して稽古に入った。言葉の引力に浚われては、八重樫の小柄な体の重力で引き戻す。今回の舞台にはさまざまな境界線が引かれたが、今後2回のシリーズ公演で消えていけばいい、と思っている。 

「彼の人は、バカだなあ、真に受けて、と苦笑しているかもしれません。でも、始まりました。」 

今日は、年末のお忙しい中、お寒い中、ご来場、ありがとうございます。

八重樫聖、大橋宏

 
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Vol.1


●出演/八重樫聖
●共同構成/八重樫聖+大橋宏
●演出/大橋宏
●音楽/遠藤寿彦
●制作/DA・M

●日時 2005年12月23-24日 夜7時30分開演
●会場 プロト・シアター(03-3368-0490)
     ・JR山手線/西武新宿線/地下鉄東西線
     http://www2.odn.ne.jp/~proto/

●料金 予約・前売り\1500/当日\1800
●問合せ・予約 03-3368-0490

上演テキスト■上演写真  ■構成表
 

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Vol.2

ブルジョア社会に生息する多様な人間への「主人公」(小間使い)の視線と、今を生きる「私」の生とのスリリングな交錯・・・<言葉と身体>の乱反射□

原作を1/3ずつ読解、舞台化する八重樫聖ソロシリーズ第2弾!舞踏家原田拓巳が応援出演。ご期待下さい。


●出演 八重樫聖・原田拓巳(友情出演)
●演出/大橋宏
●音楽/遠藤寿彦

●日時 2006年2月11-12日 夜7時30分開演
●会場 プロト・シアター(03-3368-0490)
●料金 予約・前売り\1500/当日\1800
●問合せ・予約 03-3368-0490/03-3360-6463

■上演テキスト■上演写真 構成表

 

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Vol.3

ブルジョア社会を痛烈に批判するオクターブ・ミルボーの小説を八重樫聖の身体が読み解いていく3回シリーズ、最終回!
匿名者たちが告白する「記憶の断片」が浮遊し、飛散する・・・

●出演/八重樫聖  〇協力/今井あゆみ・中島彰宏
●共同構成/八重樫聖+大橋宏 
●演出/大橋宏 ●音楽/遠藤寿彦
●制作/DA・M
●日時 2006年3月 25日(土) ★夜8時開演 
             26日(日) ☆夜6時開演
●会場 プロト・シアター(03-3368-0490)
     ・JR山手線/西武新宿線/地下鉄東西線
      「高田馬場駅」より小滝橋方面、徒歩12分。
       map*http://www2.odn.ne.jp/~proto/
●料金 予約・前売り\1500 当日\1800
●問合せ・予約 03-3368-0490   

 

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Vol.3 当日パンフレットより

昨年12月、今年2月と回を重ねてきました本シリーズも、おかげさまで最終回を迎えることができました。
原作者は、ブルジョア社会に生息するさまざまな人間の醜さを丹念に描き出しながら、その社会から疎外される小間使い<セレスティーヌ>の人生(怒り、悲しみ、欲望、そして絶望と希望)全てを、彼女が“悪魔”と見る男<使用人ジョゼフ>に委ねて日記を終える――Vol.1の舞台では、数々のエピソードを、<セレスティーヌ>の視点より身体化しながら、複数の場面を構成し、Vol.2では、セレスティーヌの言葉と舞台上の<八重樫聖>の身体行為(石置き)を並置した。S(Sei Yaegashi/Subject)とC(Celestine/Culture)。毎回、それぞれの場面での身体と言葉との距離を、離し、近づけ、揺らめかせ、不可視の<生>への凝視を試みた。「物語」上演の新たな可能性が開かれている。
そして今回、舞台は、今、ここ、にある<身体>から開始される・・・恐々と、しかしいくつもの境界を越えて最後の瞬間を迎えられることを祈る。皆様どうぞごゆるりとお立会い下さい。

本日はご来場ありがとうございます。
前回に引き続きご覧頂きます皆様のご声援に対しまして改めてお礼申し上げます。終演後、ご意見ご感想をお聞かせ下さいますようお願い申し上げます。                
八重樫聖/大橋宏
本日はご来場ありがとうございます。

前回に引き続きご覧頂きます皆様のご声援に対しまして改めてお礼申し上げます。終演後、ご意見ご感想をお聞かせ下さいますようお願い申し上げます。                

八重樫聖/大橋宏

※上演テキストは公演終了後掲載いたします。