+あまい誘惑+


【中 編】


幽助と螢子の婚約を祝いに、
突如人間界へと行くことになってしまった、飛影と躯。

「さて!そうと決まったら準備準備!!」

躯は、やたら楽しそうである。
連日の退屈なパトロール。
トーナメントへ向けての特訓(といっても主に飛影の相手だが)。
さすがに新しい刺激に飛びつきたくもなる。
その目的は、実はケーキにあったりするのだが・・・。

躯は自室へと入り、ある一角へと歩き出した。


「準備?何を準備するというんだ?」

「決まってんだろ。服だよ。服。」

「?」

「一応・・・パーティーなんだろ?だったら普段着じゃなぁ・・・。」

珍しく、躯にしては歯切れの悪い言い方だ。
飛影は、おおよそ理解できないといった表情を浮かべている。
外見を着飾るなんて、中身のないヤツがやることだ。
きっとアイツはそう思っているんだろうな。
オレだって少し前まではそう思ってたさ。


部屋の隅に、可動式のクローゼットがあった。
ボタンを押すと、吊るされた数々の服が出てきた。
その中には、躯が好んでつけるバンダナも数種あった。

飛影はその表情を崩してはいなかったが、多少興味はあるらしく、
まだその場を去ろうとはしなかった。

そして躯は2、3着をつかみ出すや否や、
服を・・・脱ぎ始めた!!

「お!おい!!?」

「ぼーっとしてないで、ここ留めてくれよ。」

ふふ。かわいいな。赤面しちまって。

「なんだよ、別に、今更だろ?
お前にはすべてを見せてやったんだから。」

確かにあの時は全裸・・・だったんだが、それとこれとは話が違うだろうが。



『躯様!!』


そんなところに、奇淋・時雨の二人組が息を切らして駆け込んできた。

ノックを忘れて躯の自室に飛び込んでくるとは、命知らずな行動なのだが、
それも念頭になかったくらい、急いでいたらしい。


だが、目の前に広がっていたのは・・・。
服を着替えている躯とその後ろに接近している飛影だった!!