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(12)観光と買い物とオペラ
翌朝、乗り放題の切符が買える時刻(0930より早いと、自動販売機でも切符を売ってくれないことを発見)には地下鉄の駅に現れ、一日中動き回るための乗り放題切符を確保しました。そこから一路繁華街へ。まず予定していた買い物を予定していた店ですませ、同行者からは「これまで(出張だと言っては)こんなところで衝動買いしていたのか」と誤解されてしまいましたが、今回はそれも予定に含めていたので動じません。
最後の散財ということでもありませんが、当夜のオペラの切符を窓口で受け取り、所望の席が取れていることを確認(日本からFAXで予約していたもの)。 |
この日も快晴で、すでに桜があちこちで開花しています。休憩を兼ねて市内一周の観光バスに乗り込んだのですが、何かの手違いで日本語の解説がついていない車両だったため、居眠りでもしているつもりの通訳が大忙しになってしまいました。
あまりに天気がいいので、ハイドパークでバスを降り、そこの芝生で昼食ということに(表題の写真はここでの撮影)。この時期のロンドンで陽光に恵まれるとは予想していなかったので、かなり驚きました。以前、花の満開の時期に滞在し、日本の薬では効かない花粉症を持ち帰ったのを思い出します。
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こんな風にあちこち回りました。下の写真は、Londonにしては珍しくいい天気だったと言いたい一枚。 |
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残る買い物は娘の鋏(彼女は左利き)ですが、guide bookで確認していた住所にはからっぽの建物しかありません。ホームズさんももう引退してしまっているし、誰に相談すればいいのだろうと、お上りさんは戸惑うばかりです。ここで同行者の疲れが目立って来たので、夜ふかし(オペラ)に備えてホテルに戻って休むことに。
部屋で一息ついたところで急にひらめき、電話帳を引っぱり出して調べたら、電話番号は変更なくリストされています。元の住所から少し離れた通りに移転しただけらしいことが判明(57 Brewer St.)。今から行ったのでは閉店時刻にかかってしまうからと、翌日回しにして、さらに休息。夕方おもむろにオペラに向かいます(この日のために古い革靴を持ち歩いていて、これが終わったら捨ててしまう予定。荷物の削減が何よりの喜びです。この靴は予定外だったウィーンのコンサートでも役立ったので、持ってきた甲斐がありました)。
オペラは、今回の"Mozartにこだわる旅"の最後を飾るにふさわしく「フィガロの結婚」(日本からInternetで調べ、予約を入れていたもの。あいにくコヴェントガーデンの方には魅力的な出し物がなく、ENOに切換えました)。幕間の休憩を挟んで3時間半ほどの長丁場ですが、昼間の休息が奏功してか眠くなることもなく、アレンジも多少くだけたものでもあったので、大いに笑えました。ここでのオペラは作品によらず英語で上演されていますが、かえって台詞がわかりやすくて助かりました。歌になってしまうと何語であってもほとんど聞き取れませんから、今度はメロディに頭が切換り、これまた問題になりませんでした。それでも"You
are my father."くらいは聴き取れて、少々違和感がありましたが。
かなりラフな服装の観客もいましたが、ここはやはりそれなりの格好で出かける方が気分も違うと思います。
閉口したのは幕間の飲み物の調達で、人の群れをかいくぐっての難行になります。この辺りがやはり超一流の場所とは違うのかも知れません。サントリーホールと同程度の混雑と表現したらわかりますか?
キャスト:
Figaro: Peter Snipp, Susanna: Rebecca Caine, Bartolo: John Connell,
Marcellina: Anne Mason, Cherubino: Nerys Jones,
Count Almaviva: Christopher Booth-Jones, Basilio: John Graham-Hall,
Countess Almaviva: Janice Watson, Antonio: Richard Van Allan,
Don Curzio: Mark Le Brocq, Barbarina: Thora Einarsdottir 以下略
指揮:Alex Ingram, English National Opera Orchestra and chorus. |
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(13)最後の買い物
翌朝、同行者をホテルに残して左利きの店の探索に向かいます。昨日の事前調査通りの場所に店を発見し、店番の女性としばしお話をして(「左利きの人は脳の両方を使うから、並外れて賢かったり、芸術の才能があったりするんですよ」と言っていましたが、何のことはない、彼女も左利きだったのが後で判明)、鋏を無事に調達。これはスーツケースに入れて預けないと、とうてい飛行機に乗せてもらえない大きさだなと思いつつ、他の陳列品を見ていると、"I love my lefty."などというスローガン(?)を書いたバッジなどが目につきます(「左利き万歳」とでもいうところでしょうか)。左利き用の鉛筆というのがどうにも理解できませんでしたが、軸に「左利き専用」と刻印があるのだそうです。さすが、イギリスであるなあと深く納得しましたが買いませんでした。
画面中央の白い正方形の看板が問題の店です。 |
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その足でApple buildingを探したのですが、該当するはずの通りは工事中の建物ばかりで、肝心のビルは見つけられませんでした(予習不足で建物が現存しているかどうかも怪しいのですが)。ここは"Let
it be"の映画で、私の英語の先生たちが屋上での演奏を披露したところです。
やみくもにこの辺ではないかと撮影してきたのが、下の二枚。ちょっとずれていたようで、2000年に事前調査を十分にしてから再訪し、無事に建物を見つけることができました。
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(14)空港へ
結局、空港への足はホテルに迎えに来てくれるリムジンを頼んでしまったので、荷物運びの心配もなく、残る仕事は昼食のみです。チェックアウト後荷物をカウンタに預け、ここでpubに行っておかないと一生後悔する(?)ということで、同行者を説得。伝統的イギリス風昼食を取ることにします。もちろん、室温のビールは欠かせません。場所のせいかも知れませんが、女性客も多く、pubでワイングラスを傾ける光景を見ていると、どこの国にいるのかわからなくなりそうです。それでも料理の皿を見たとたん、まごうかたなきイギリスであると認識できました。メインの料理を覆いつくさんばかりのつけ合わせ(これがまた、全く味つけがされた形跡もないところが、いかにもイギリス)、フニュフニュに煮崩れた野菜とチップスと来れば、過去の出張で、こんな昼食ばかりで一週間過ごしたことがあるのが信じられなくなくなったり、一方ではしみじみなつかしくなったりして、きわめて複雑な心境になります。「ロンドンに飽きたと言うのは、人生に飽きたのと同じ」という名文句がありますが(“When a man is tired of London, he is tired of life; for there is in London
all that life can afford.” Samuel Johnson)、それを唐突に思い出してしまったりもして、ますます帰りたくなくなるのは不思議なものです。
それでも時間は非情に過ぎ、リムジンの時間が迫りました。ホテルに戻って一息ついていると、猛烈に訛った発音で名前を呼ばれて飛び上がります。予定より早めに迎えが来たよということですが、この運転手が生粋の(?)ロンドン訛で喋る人で、じっくりお話ししてみたくなったりして困りました。いくつかのホテルを巡って順次お客を拾い、最後に女性の二人連れ(たぶん母娘)を乗せたとたん、これまで乗客に"Folks!"と呼びかけていたくだんの運転手が、"Ladies
and gentlemen"に変えました。これは大いに笑えたのですが、最初から乗っている同行者は認識されていなかったのかも知れず、ここは余計な解説をしてしまったので、しばし険悪な雰囲気に。
町中を抜けるまでは結構時間が掛かりましたが、予定時刻には余裕を持って到着。この交通手段も初めての経験でしたが、前日に予約が必要ではあるものの悪くはない選択肢だったかなと思っています。
帰りはANAの直行便です。ジャンボなので中央の4人並びの席を狙って交渉したところ、スクリーン直下の席をもらうことができました。ここも足を伸ばすには楽なところですし、空間の半分が遮られているので、比較的静かです(どうせ映画も見ないで寝ることにしていますから、スクリーンとの距離は関係ありません)。
かくして、「日常」が待ちかまえている日本に向けて飛び発ったのですが、いつもこの辺りから猛烈に不機嫌になってしまいます。 |