ここでは、前後についての説明をします。
第3図は、人体を側面から見たものですが、後面からと違って水平面に対して背骨は真直ぐな状態ではなく、前後に4つの湾曲を持っていることが解ります。
これを生理的湾曲と云い、決して異常ではなく この状態で正常なのです。
なぜならば、母体の中では後ろへ丸くなって育っていた赤ん坊が歩行をし始める頃から、重力に逆らって立つためにこの湾曲は無意識のうちに必要に応じて作られたものだからです。
構造学的に観てもこの生理的湾曲の中で椎間板は椎骨と椎骨の間に平行に挟まれ、神経孔のスペースを保持し、その孔から出る神経を保護しているのです。
第4図は、第3図同様、人体を側面から見たものでありますが正常の場合、重力線が耳と足のくるぶしの位置を通ることが理想でありますが、年齢とともにくる運動不足や不良の姿勢により脊柱(背骨)を支持する筋肉が低下し、身体はだんだん後方へ丸くなり、それをバランスさせようと頭だけ前に行くような姿勢となります。
そう、街で時々見かける乳母車を自分の身体の支えと買い物かご代わりに押しているおばあちゃんの姿勢が代表的なものと言っていいでしょう。
この状態で、一番危険にさらされているのは内臓であります。胃や肝臓等の臓器が入っているスペースがこのような不良の姿勢により小さくなり常に内臓を圧迫してしまうのです。
皆さんがよく知っている胃下垂もこの姿勢からくるものであり、要は胸とお腹の距離が近くなっただけのことです。
しかし、この姿勢を長い間放置しておくと内蔵に障害をもたらす結果となることは必然的です。
なぜならば、ここに人間の構造上の弱点が存在するからなのです。人間が四足動物から二足動物に進化するときに、重力と云う自然の偉大な力を敵にまわしました。
確かにたくさんの恩恵を受けているのもでありますが、人間はその力に逆らって行動していることも事実です。すなわち重力に逆らう力が弱まっていくことは老化を表すものであります。
肉体の老化は肉体を作る細胞にとっても同じことが云えます。老化した細胞は老化した臓器を作り出します。
例えば、ガン細胞のようなものも、健康でない細胞の一種であります。
結論を言えば、この生理的湾曲を維持することは老化を防げることとなりますが、非常に難しい問題でもあります。なぜならばこれは単に骨だけの問題でなく骨を支えている筋肉、腱、靭帯等の問題でもあるからです。
ですからこの姿勢を改善しようとするなら長期の治療といやでも運動しなければならない貴方の努力が必要となります。しかし、この姿勢の正常は貴方に本当の健康をもたらすことでしょう。
太りすぎの方、運動しない方は内臓病の危険ありとおおいに云えるでしょう。
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