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第一巻 立志篇;門出の花/
お田鶴さま/江戸へ/千葉道場/黒船来/朱行燈/二十歳/淫蕩/寅の大変/悪弥太郎/江戸の夕映え/安政諸流試合/若者たち/旅と剣/京日記/風雲前夜
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土佐の郷士坂本竜馬は、故郷日根野道場で皆伝となり、江戸の北辰一刀流千葉道場へ剣術修行へでることになる。やがて力をつけ、千葉道場の塾頭になる。また、江戸へ出てまもなく、黒船が来航し、これを見にでかけ、長州の桂小五郎(のちの木戸孝允)と出会う。そして尊王攘夷の機運が起こる
。竜馬は帰郷の折、公家三条家家臣水原播磨介から水戸藩との密書を預かり、意図せず、勤王運動に関わることになり、土佐では武市半平太ら郷士を中心に土佐勤王党が結成され、竜馬もそれに加わる。
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第二巻 風雲篇;街宵月/頑固家老/萩へ/希望/土佐の風雲/脱藩/追跡者/寺田屋騒動/流転/生麦事件/勝海舟/伯楽/嵐の前/海へ/京の春
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江戸時代、土佐藩は他藩と異なり、上層階級である「上士」と下層の「郷士」に二分されていた。これは戦国時代豊臣方であった長宗我部氏の土佐に、徳川方の山内家が入ったためである。郷士は政治に参加できず、何かと上下の対立があり、郷士以下は勤王、上士は左幕と分かれていた。勤王に目ざめ始めた竜馬は、自由に行動できないことから脱藩することとなる。開国論者の勝海舟を斬りに行くが、世界に関する広い見識を聞いて、その場で弟子となる。
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第三巻 狂爛篇;神戸海軍塾/物情騒然/東山三十六峰/京の政変/江戸の恋/惨風/方袖/元治元年/防長二州/池田屋ノ変/流燈
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長州は朝廷を動かし、尊王攘夷の急先鋒となっていたが、その独断専行から孤立し、やがて幕府および薩摩、会津によって京都から追い落とされる。これを機に各藩で左幕派が台頭し、勤王派が追い落とされることとなる。尊王攘夷の機運は鎮圧されるかに見えた。そんな中、竜馬は海軍力を以って尊王攘夷の一勢力となろうとした。
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第四巻
怒涛篇;変転/菊の枕/摂津神戸村/薩と長/元治の暮/戦雲/薩摩行/希望/三都往来/秘密同盟/伏見寺田屋/霧島山/碧い海/海戦
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竜馬は薩摩、長州を説いて、自ら創設した会社(亀山社中)に船などの現物を含め、出資させる。一方で、京都から追い落とされた長州と幕府から独立した勢力となっている薩摩こそが、尊王攘夷、そして倒幕の中心になるべきと考え、必死でその両派の間に盟約を結ぼうとし、長州の桂小五郎と薩摩の西郷吉之助(隆盛)を会わせ
、倒幕のための薩長秘密同盟を締結させるに至る。しかし、締結直後、竜馬自らは寺田屋で幕府に襲撃され、負傷する。
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第五巻 厳島/男ども/窮迫/清風亭/お慶/海援隊/弥太郎/いろは丸/中岡慎太郎/
船中八策/夕月夜/陸援隊/横笛丸/朱欒の月/浦戸/草雲雀/近江路
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竜馬は薩摩の西郷、大久保、それに岩倉具視と連絡し、倒幕の準備を進める。しかし、土佐藩主山内容堂はその動きの中でも心情としても左幕から抜けきらない。そんな中、竜馬は二つの流れを合流させる“大政奉還”を考えつき、土佐藩の後藤象二郎などを使い、武力倒幕を進める薩摩、長州を説得し、土佐藩から将軍徳川慶喜に建白書を提出し、大政奉還を実現させる。竜馬の船中八策は後の五箇条の御誓文にもその精神が引き継がれ、また、竜馬は新政府の体制、人事案をも作成するなど、明治という国家の草案を作成した。本人は新政府に参加する意思はなく、西郷隆盛から「では、何をするのか?」と問われ、「世界の海援隊でもやる」と答えたそうである。その考えが常に常識より大きかったことを表している。しかし、その直後、慶応3年11月15日、幕府見廻組に襲撃され、中岡慎太郎とともに暗殺された。
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