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展示会場の図
展示会場の図

「最後の晩餐」をみるまでのエピソード

ミラノでしたいことと言えば、最後の晩餐を見ることくらいだった。けれどここは完全な予約制で当日ぱっと行って見られるものではない。しかし、着いた前日は休館日だとかいって予約できず、当日行ったらガイドさんの交渉のおかげで朝の予約が3人分だけ取れた。しかし、私たちのその日の朝は展示会場に行くという任務があり、最後の晩餐は全員あきらめざるを得なかった。

でも、見られないと思うとそれまで以上に見たくなり、どうしても見なければいけないような気がしてきた。ガイドさんによると、ツアー団体客のキャンセルチケットがないか他のガイドさんに聞いてみて、運が良かったら譲ってくれるかもしれないと言うことだったので、陶芸のれいこさんと晩餐会場に向かうことにした。私たちが着いたときにはすでに陶芸のフルガキ氏が着いていて(タクシーで来ていたのだ)、日本人のツアーガイドさんからチケットを譲ってもらっていた。なおさら私たちは諦めきれず、小雨の降る中ツアー客を待った。運悪く日本人ツアー客はそれ以降来ず、知らないツアーガイドさんにつたない英語でキャンセルチケットはないかと尋ねてみたが無駄だった。

最後の頼みと思って、受付のお姉さんに「チケットはありませんか?」と悲痛な顔で尋ねてみると、意外なことに「ちょっと待ってくださーい」という答えが返ってきた。ん??バックパッカーらしき人達がその間に何人か「今日のチケットを予約できないか?」と聞きに来ていたが、「ソールドアウト」と断られていた。とんでもなく勘違いしているかもしれないと思ったけど、かすかな光を信じてお姉さんのいうとおり待ち続けた。

そうしたらなぜだかわからないけれど、チケットをくれた。本当になぜだかわからない。イタリア人には日本人の常識では考えられない常識というものがあって、きっと入れてくれたその根拠は一生理解できないんだろうなと思った。でもとにかく奇跡だ。れいこさんと大喜びし、行方を見守って待ち続けてくれたフルガキ氏も共に喜んでくれた。

見られたという喜びを含めて、最後の晩餐は最高の絵に見えた。実際にその空間は特殊で、ちょっと昔の世界につながっているような気さえした。まあ、何回見ても、ユダがどれかというのは覚えられないけれど。

それにしても、最後の晩餐は修復されたということでなかなかきれいだったし、特に違和感は感じなかったのだけれど、ウフィッツィ美術館のラファエロのヒワの聖母の修復は違和感を覚えた。あれは、模写を置いてた訳じゃあないよね?

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