『平和新聞ながさき版』コラム

 2007年 2008年 2009年
(2008年12月25日)
クラスター爆弾禁止条約に日本を含めて94カ国が署名した。この条約が発効されれば、保有国は持っている爆弾を廃棄しなければならない。日本も保有国であり廃棄義務を負う。廃棄費用は二〇〇億円から三〇〇億円かかるそうで、無駄遣いの最たるものは軍事費だと改めて思う▼ところでクラスター爆弾禁止の理由は「無差別攻撃」「使用時も紛争後も危険」であることが極めて「非人道的」ということらしいが、「人道的兵器があるのか」と突っ込みたくなる気持ちは置いといて、ちょっと考えた事がある▼「無差別大量殺戮」「後々まで残る被害」が「禁止」の理由になるのなら、「核兵器も全面禁止」とならないのか。使用されてから63年も経過し核兵器の本当の恐ろしさを実は世界がまだ知らないから、世界は本腰を入れないのではないか。被爆の実相を世界に伝えることがまだまだ足りないのではないか▼クラスター爆弾禁止条約は核兵器廃絶に向けてもひとすじの光明だと思う。あきらめない!(J)
(2008年12月5日)
色づいた桜モミジにイチョウ、ナナカマドの賑わいがすばらしい。石垣のツタまでが鮮やかなタペストリーを紡ぎ、深まるこの秋をひときわ味わった感がある。台風が来なかったことや、寒暖の急激な変化もあろうが、気候変動の気まぐれと片付けたくはない。二つとないそれぞれの自己主張を感じるから▼ナンキンハゼの落葉は師走の風物詩だが、庶民の暮らしは例年にも増して寒々としている。景気後退を逆手に、「非正規社員雇い止め」の大企業。戦時返りの暗雲を漂わせる田母神発言。失言だけが先走り国民への思いやりは皆無、米軍への戦争支援だけに熱心な麻生首相。色に例えれば「コンクリート色」か▼光の見えない越年はゴメンだ。「主権者の声を聞け」「9条守れ」と、深く大きく広がる「九条の会」の地響き。「暮らしを守れ」「憲法生かせ」と、折り重なって高まる国民の声。一つになった万人の「自己主張」こそ、師走の強い輝きをつくりだす。深まりゆくそれぞれの秋の彩りにも似て。(☆)
(2008年11月25日)
若者の間で大ブームとなった小林多喜二著の『蟹工船』は、発表後79年が経つ今年で約60万部の大ベストセラー作品だ。私もこの流行に乗り、読む機会を得た▼内容は誰もが知っている、季節労働者がオホーツク海で過酷な労働を強いられるというもの。大量の失業者、フリーター、ニート、サービス残業、過労死(自殺)などを生み出す現代に瓜二つの世界が半世紀以上前の作品のなかにあった▼「働かない若者達」とおじさん・おばさんはバッシングする。派遣法の規制緩和で正社員が減っている現状や劣悪な労働環境などの実態を責める大人は少ない。能力がないと自己を責める若者は気づいていない。原因は自分ではなく、大企業と米軍の利益ばかり追いかけるこの国の政治だということを▼著書の中で漁夫たちが発した台詞にこうある「(日本)帝国軍艦だなんて、大きな事を云ったって大金持の出先でねえか、国民の味方?おかしいや、糞喰らえだ!」。この国は80年経っても何も変わっていない。(み)
(2008年11月5日)
日本の詐欺形態も「オレオレ詐欺」から最近は「振り込め詐欺」に進化した。年金支給日の10月15日、この詐欺を未然に防ごうと全国のATMに警察が立っていた▼しかし、もっと大規模な詐欺が日本中で横行している。それは「年金天引き詐欺」。介護保険や後期高齢者医療制度の保険料は、年金で生活している方のその生活資金である年金から、本来嬉しいはずの年金支給日に、公然と、さっぴかれる。ひとりひとり丁寧に説明を受けたわけでもなく、納得したわけでもない。もともと医療費抑制が目的だから、国民が納得しようがしまいが厚労省はお構いなし。不平等な医療制度で医療を受けにくくして、保険料さえ回収すれば彼らの目的はそれで達成▼保険料の為に生活費を削るとなればこれは「生存権の侵害」。これだけでも憲法違反の疑いが濃厚なのに、年金から勝手に天引きはこれはもう詐欺罪です▼「振り込め詐欺」ももちろん取り締まってほしいけど、「年金天引き詐欺」も取り締まろう。取り締まるのは私たち国民です!(J)
(2008年10月25日)
40数年前になる。中学の理科の先生は「疑問を持て」が口癖だった。別の先生は「歴史的、具体的に追求しなければ本当の姿は見えてこない」と言っていた。ことばの意味はそこそこ分かっても、それを生き方として貫くのはなかなかむずかしい▼ノーベル化学賞を受賞した下村脩さんは、雲仙市出身の化学者。50年間「オワンクラゲはなぜ光るのか」を追求し、それが「蛍光たんぱく質」であることを突きとめた。孤高の研究者として探求し続けたというからすごい▼物理学賞の益川敏英さんは「常識を疑おう」といい、自分の頭で考える学生こそ求められていると語った。「唯物弁証法というものの見方・考え方が研究の大きな力だった」とも書いている▼「していい戦争はない」(益川氏)はずなのに、今なぜ9条改憲なのか。「暮らしがたいへん」「将来が見えない」とだれもが言うが、それは自然災害なのだろうか。だれがそんな政治をすすめてきたのか。総選挙間近、ごまかしようのない「科学の目」でしっかり見極めたい。「蟹工船」ブームにも学んで(☆)
(2008年10月5日)
先日、東京を訪れる機会があり、念願のディズニーランドに行った▼雨天にも関わらず、大勢の客であふれていた。なるべく列の短いアトラクションばかり選んでいると、「イッツ・ア・スモールワールド」にたどり着いた。大きなボートに乗せられ、水路を巡る。世界各国の民族衣装をまとった可愛らしい人形が踊りながら『It's a smallworld』を自国の言葉で歌うというアトラクションだ▼色とりどりの美しい人形たちに見とれながら何気なく『小さな世界』を口ずさむ。ふと、とても理想的な世界を歌いあげていることに気付いて歌詞を追った。「世界はせまい/世界はまるい/世界はおなじ/ただひとつ」▼このアトラクションはユニセフからの依頼を受け造られたという。肌の色や言葉、宗教が異なっても子どもはすぐに仲良くなる。「平和な世界」とは「子どもたちの世界」のようなものではないか、という考えが基にあるそうだ▼子どもの頃よく歌った懐かしいこの歌、今の時代こそ多くの人に歌ってほしいと思う。(み)
(2008年9月25日)
毎日どのチャンネルも汚染米のニュース。流通させた民間業者の罪はまったく許されないが、ここで明らかになってきたのが、日本政府の「食」に対する認識だ▼日本政府は生産者にお金まで払って減反させ、アメリカに対しては何一つ文句を言えず米の輸入を解禁してきた。売れない輸入米は倉庫に眠り、莫大な保管費用をかけた挙句、食料としてはみなされないものとなった。輸入米は糊にするために輸入したのではないと思うが、「輸入」という行為が、食料だったはずのコメを食料ではないものにした▼この罪はほんとうに大きい。それまでにかかった労働力、水、肥料などこれらが全部無駄になったということだ。日本全国にある「かつて田んぼだった場所」、しなくてもいい埋め立てで新しく作った農地、カビていく輸入米▼私たち大人はこの矛盾をどうこどもたちに説明するのか?「いただきます」という言葉の意味を日本政府の皆さんは考えたことがあるのだろうか?(J)
(2008年9月5日)
狭い特定の地域を突然襲う「ゲリラ豪雨」。多大な災害をもたらす異常気象の特徴の1つだ。一方、四国のダムは空っぽだという。これまでの「常識」が通用しない地球の現状ということか▼「わが亡き後に洪水はきたれ」(あとは野となれ山となれの意)という寸言そのままの自民党政治も同じらしい。「大企業優遇」「アメリカ言いなり」のドグマから一歩も出ることができず、福田首相もまた政権を投げ出した▼医療も年金も改悪、物価は高騰、異常雇用、自衛隊派兵・・際限なく国民犠牲の政治をすすめながら、「(打つ手がないから)他の人がやったがいい」とは身勝手にも程がある。しかし、その「自己チュー」辞任のもつ意味は大きい。自民党自ら「政権担当能力がなくなりました」と表明したに等しいからだ▼国民に受け入れられない政権は野に下り出直すのが筋なのに、その気概も自覚もないこの党の末期症状。過去の気骨ある保守政治家の嘆きが聞こえる。表紙だけ替えても政治の中味は変わらないことを国民は知りつつある。(☆)
(2008年8月25日)
NHK北京五輪テーマソング、Mr.CHILDRENの『GIFT』が伝えるメッセージについて知る機会があった。「白と黒のその間に無限の色が広がっている」という歌詞の一部に、「勝ち負けだけではない」という思いが込められているそうだ▼ニュースや特集番組などを見ると、メダルの数に執着して報道されることが多い。競技数が多いこともあるのだろうが、メダルに届かなかった競技にはあまり触れることがないように思える▼メダルを手にした選手も、健闘したが及ばなかった選手も、北京にたどり着くまでに様々なドラマを経験してきたのだろうと思う。競技結果を「日本のメダルとしてカウントされたか否か」ということに集約した報道を耳にすると複雑な思いになる▼競技とする以上、勝ち負けに固執してしまいがちだが、選手の背景や試合がどんな内容であったかなどに目を向けると新しい気持ちで五輪を楽しむことができる。(み)
(2008年8月5日)
原子力空母が佐世保にまた来た。原子力で動くこの巨大な乗り物を見るときに「どうなの?」と思う点がふたつある▼ひとつは攻撃されたときの事は考えているのか?原子炉を内蔵して動くのだから、見かたによってはこれは「動く核エネルギー」。「通常ミサイル一発ぶち込めば核兵器」の乗り物なのだ。攻撃されたらそのあと片付けは大変。そもそも攻撃されるのは想定外?▼もうひとつは乗組員の心情。原子力エネルギーのことをアメリカ国内ではどのように伝えられているのか。「原子力=クリーン」のイメージ先行で、放射能の恐ろしさは覆い隠されているのではないか。知ってたら誰も乗りたくないと思うが、放射能についての乗組員の知識は?事実を知らされないまま騙されて戦地に送られているようで、時々アメリカ兵を気の毒に思う▼しかし日本人も騙される人が増えていないか。騙されたその先にあるのは戦争。被爆地ナガサキは放射能の恐ろしさ伝える役目を持っている。63年目の今年も暑い夏が来た。(J)
(2008年7月25日)
小さなコップやビンでメダカを飼育することが流行っているらしい。近くの産直市場で生まれたばかりの赤ちゃんメダカを5匹買った。全長2?ほどなのに、2つの目もしっかりしていて愛らしい▼2週間もすれば成長もさまざま。個性豊かで細身のものもいれば、動きがゆっくりのものも。笑われそうだが、ビン越しにじっと眺めていると命の平等と生きる力を感じさせてくれるから不思議だ。戦争とか自然破壊とか、横暴さで際立つ人間社会とダブって恥ずかしくなることも▼幼いころ口ずさんだ「メダカの学校」は、平和な子どもたちの世界を象徴しているようだった。自然を自然のままに感じることができ、子どもたちの元気な歓声が聞こえる日常ほど、平和と幸せを感じとれるときはない▼本紙に随時掲載されている「平和のなかま」コーナーの、「あなたにとって平和とは?」という設問をふっと思い出した。答えは人それぞれだが、それぞれの思いがこもっていてうれしい。100人目の登場も近い。(☆)
(2008年7月15日)
「爽やかな朝の目覚め」どころか朝から暑い▼IPCCが昨年まとめた報告書でも1906年から2005年の百年間で世界の平均気温は0.7度上がっているという。この報告書では20世紀後半の気温上昇は、人間活動による温室効果ガスが増えたことが原因である可能性が高いという。このままいけば21世紀末の平均気温は20世紀末に比べて1.1~6.4度上昇するという警告もある▼温室効果ガスが増えると何故地球温暖化が進むのか?太陽の光があたると地表は暖かくなる。その熱は宇宙に向けて放出されるが、温室効果ガスはその熱の一部を吸収して逆に地表に向けて放射する。だから濃度が高くなると地表に向かって放射される熱が増えて気温が上がる▼「暑い」のにはそれなりの理由があることは分かった。簡単な問題ではない。でも地球上に住んでいる生物の一つとしてみんなが真剣に考えなければならない問題ではないだろうか。(ふ)
(2008年6月25日)
「花咲じいさん」のお話を知っていますか?「枯れ木に花を咲かせましょう」のあのお話▼おじいさんが灰を枯れ木に撒き散らすと花が咲き、それを見たお殿様は「あっぱれ」と褒美を取らせました。それを見ていた隣のおじいさんも褒美がほしくて真似してみたけど花は咲かず「無礼者!」ということになったあのお話です▼さてこのお話は実話に基づくという説もあるそうです。と言っても枯れ木に花は咲きません。花咲じいさんは実は今でいう認知症だったそうです。理解のあるお殿様は枯れ木に灰を撒き散らすおじいさんを温かい眼で見守り、おじいさんの真似をした隣のおじいさんはこらしめました▼お殿様というとその時代の為政者。今の後期高齢者医療制度や介護保険制度。高齢者を理解し見守ってくれるこのお殿様の政治とはまったく違います。「長生きは罪」の制度より「長生きにご褒美」の制度のほうがみんな笑顔になれますよね。誰もがいつかは「高齢者」になるのですから。(J)
(2008年6月15日)
「明日のエコでは間に合わない」-。最近、地球温暖化問題で家庭の努力を求めるTV番組やCMがやけに目立つ。わが家もゴミ分別にはことのほかうるさく、車使用にも制限を設けた。報道は当然なのだが、胸にスッと落ちない▼温暖化を主要議題とする来月の洞爺湖サミット。削減量を先導すべき議長国の日本なのだが、2020年までの自らの削減目標さえ決められず財界まかせ。国内の排出量の約八割は電力や鉄鋼などの産業部門なのに▼すでに異常気象やコメ生産高の減少など、日本での影響予測が外国から指摘されている。CO2大量排出の元凶に迫る内容を抜きにしたキャンペーンは説得力がなく、「地球と人類の生存にかかわる大問題なのに」といいたくなる。▼欧州各国では、より本質に迫る具体策が政治の力ですすんでいる。同じ先進国なのになぜこうも違うのか。とりわけNHKには「ワーキングプア」を取りあげた情熱で、本気で深部に迫る「温暖化問題」での報道を求めたい。(☆)
(2008年5月25日)
四川大地震。生存のボーダーラインである72時間を超えて日本の国際緊急援助隊が現地入り。結果的に生存者を救出することはできず、隊員たちは残念な思いで帰国したとのこと。人の命を救うことはできなかったかもしれないが、彼らは人の心を救ったと思う▼生き埋めの母子を救出しようとしたがすでに亡くなっていた。二人の遺体を収容したときに彼らは遺体に向かって整列し黙祷をささげた。無念の思いからの行動かもしれないがその行動は中国の人、そして私たちにとても大事なことを教えてくれた▼自衛隊、ましてや自衛軍には決して出来ない行動。人を殺す訓練を受けているものと、人を救う訓練を受けているものとの違いがこの行動だろうと思う▼帰国した彼らを成田で待っていたのは、中国人留学生たちの感謝の言葉だった。「人道」とは文字通り「人の道」。人の道にのっとってとった行動が「ありがとう」の輪を広げた。彼らの行動は本当に無駄ではなかった。(J)
(2008年5月15日)
不発弾が十数年たっても人の命を脅かす「クラスター爆弾」って知ってますか?▼ベトナム戦争の時、60年代から70年代にかけて米軍がラオスに投下した爆弾は200万トン以上と言われていますが、このうち最も大量の不発弾を残したのが、一つの爆弾で数個から数千個の子爆弾を飛散させるクラスター爆弾でした。ラオス政府は飛散した計2億6千万個の子爆弾のうち約7800万個が30年以上たった今も不発弾として埋もれているとみています▼特に空爆の激しかったシェンクアンでは不発弾による被害が絶えず、処理が終わった面積はまだ0・18%に過ぎないといいます。アジアの最貧国の一つに数えられるラオス。市場経済の導入で経済成長をめざしていますが、「膨大な不発弾の存在が農林業を難しくしているだけでなく、国全体の発展を大きく阻害している」と政府要人は話しています▼アメリカ君、後片づけもできないのなら使うべきではない!ソレガ大人のマナーデス!。(ふ)
(2008年4月25日)
有明海の諫早湾奥が閉め切られて11年。干拓農地での営農が始まり早々とレタスの収穫が報じられた。沿岸漁民は、潮受け堤防と調整池に溜め込まれた「毒水」の排出こそ有明海異変の元凶と訴えて「排水門の常時開放」を求め続けてきた▼どんなにお金をつぎ込んでも悪化した水質値が改善しない調整池の水。営農には使えず、もはや湾を閉め切って淡水化する理由は存在しない▼国や長崎県がどんなに事業の「終了」を叫んでも、「漁民の生活の糧を奪ってきた」というもっとも重大で深刻な問題は何も解決していない。調整池をなくさない限り、今後も投入され続けるであろう税金は海底のヘドロと化し、有明海の汚染は深刻化する。事業は終わらないのだ▼自然を破壊し、沿岸漁民を苦しめ続ける公共事業とは何なのか。「漁民の声」と「科学の目」を通して書かれた労作「宝の海を取り戻せー諫早湾干拓と有明海の未来」(松橋隆司著・新日本出版社)を手に、公共事業のあり方と有明海の未来をいま一度考える。(☆)
(2008年4月15日)
先日、天気予報の画面に佐世保港のきれいな夕暮れが写っていた。でも何故かゆっくりとその夕暮れを楽しめない。「年カナ」と思ったがそうではない、「怒り」なのだ。30年前から始まった米軍への「思いやり予算」でつくられている夜景▼沖縄の負担軽減策とされる米海兵隊のグアム移転計画は普天間代替基地の強化とグアムの軍事要塞化計画ではないのか。これには「超思いやり予算」が投入される。日本政府は移転する米海兵隊司令部庁舎などに約2900億円、家族住宅建設に約3400億円を負担する。アノネ、自分の引っ越し代は自分で払いなさいヨ!▼今年の「思いやり予算」では2083億円が計上されているけれど、その中の70%は基地従業員の人件費。30年も他人様の使用人の人件費を払い続けているナンて「知らなかった」で済むことだろうか▼庶民にはムダ使い厳禁の生活を強いながら、米国には甘い政府はご退陣を願わねばなるまい。(ふ)
(2008年3月25日)
映画「シッコ」の中で、アビーロードを逆立ちで渡ろうとしてけがをしたアメリカ人男性が、イギリスの病院を受診し、かかったのはシップ代10ドル程度だったというエピソードが紹介されていた▼キューバでは、ムーア監督といっしょに入国した9・11の英雄たちが無料で医療を受けていた。ここで不思議に思った日本人は多いはず。「なんで1回も保険料も払ったことない人が無料で医療を受けられるの?」▼そして同じように不思議がるムーア監督に、あるイギリス人女性が言った。「どうして?病気は病気よ」・・・はっと思った。その一言の意味するものが今の日本に足りない感覚なんだ。「病気は治療するのが当たり前」がヨーロッパやキューバの考え方。保険料払ったことあるかないかなんて関係ない。そこに病気があるから治療する。以上!▼すっかり「日本型国民皆保険制度」に馴らされていた。「なんで無料なの?」そう思ったあなたはかなりの部分において日本人です。少しヨーロッパ的な考えに切り替えてみよう。いろんなことが見えてくるかも。(J)
(2008年3月15日)
「平和と基地は共存できない」-。元米海兵隊員のアレン・ネルソン氏のことばが頭によみがえった。数年前、長崎で講演した同氏は、人の形をした「的」に向かって銃撃を繰り返す海兵隊の日常訓練のようすを描いてみせた。軍隊の本質を鋭くついた講演は強烈だった。▼二月十一日、沖縄でまたも起きた米兵による女子中学生への残虐非道な事件。二十五日付「平和新聞」が「もう基地と『共存』はできぬ」と怒りの声を特集している。再び登場したネルソン氏はいう▼訓練では、十八、九歳の新兵が「殺したい!殺したい!」と叫び続けさせられ、実弾での人殺し訓練を繰り返す。夜になると、酒とけんか、女性を目的に街に繰り出す▼「兵士は自分たちの暴力的な部分を、基地に置いて出て行くことはできない」との一語は何人をも納得させる。基地司令官が「遺憾の意」表明とはうらはらに、「戦場に行く準備ができた証」と考えるのも上官としての必要条件なのだろう。わかりやすい話、日本政府にこそ聞かせたい。(☆)
(2008年2月25日)
34年前、石油ショックによる原油高騰への緊急対策として二倍になった「暫定税率」が35年経た今もそのままだし、10年後まで続くということをどう思います?▼「暫定」って一時的な取り決めのことではないの?これからの10年間に59兆円もかけて整備しなければならない「道路整備」という穴掘り・穴埋めより、もっと国民の暮らしをよくすることにお金を使えないのかナ▼そのうえ道路特定財源が、国土交通省の職員宿舎の建設費や野球のグラブの購入費にもなっているとか。旧運輸省や旧自治省OBの天下り先となっているトラック協会に道路特定財源から入る補助金が千二百億円もあること、それを協会関連団体が自民党に献金している▼きわめつけは米軍住宅の建設費。佐世保自動車道のインターチェンジ建設に米軍老朽住宅が引っかかるので、その代替住宅11戸の建設に道路特定財源から28億円も捻出したのだ▼税金申告の時期となった。その使われ方にも監視が必要では-(ふ)
(2008年2月15日)
また起きてはならないことが起こってしまった▼沖縄少女暴行事件。もう13年前の出来事なのに、頭の中に強烈な記憶として残っている。「基地の街オキナワ」の問題が、日本の問題に少し近づいたひとつのきっかけだった。日本とアメリカ政府を動かし、「普天間返還」が合意された。しかし▼実際は「返還」という耳障りのいい言葉を使って、新しい基地を辺野古に移転する計画がひとつできただけだった。未だに世界一危険な基地と、世界一野蛮な海兵隊は危険で野蛮なまま沖縄に居座る。そしてあれから13年、また同じような事件が起きた。今回の容疑者はキャンプ・コートニー所属。「キャンプ」の言葉の由来は文字通り「一時的に滞在する」ということらしい。「一時的」?▼13年間私たちは何をしてきたのか?今度の事件を本当に阻止できなかったのか?本当は日本全国の無関心が起こした事件なのではないか?そろそろ日本全体が本気にならないといけないんじゃないか?他人事ではない、私たちも当事者なのだから。(J)
(2007年1月25日)
男性A「新聞みた?口を開けば財政難という金子知事なのに、県政はわからん」。男性B「どういうこと?」?。小さな居酒屋で大きな声の会話が続く。新幹線長崎ルートの是非をめぐる話らしい▼肥前山口?諫早間の経営をJRからの分離し、肥前鹿島?諫早間を第三セクター化する計画に、沿線の鹿島市などが反対。着工のメドがつかないことから長崎、佐賀両県とJR九州が苦肉の策を発表したのだ▼肥前山口?諫早間はJR九州が20年間運行する、この区間の線路や駅舎を14億円で両県が購入する、というもの。「経営分離じゃない」から反対自治体の同意は不要というわけだ▼B「在来線がそのままなら新幹線はいらんでしょう」、女性C「カモメで十分です。県民には説明なしで決めるんですか」(まわりから「そうですよ」の声)。C「そこまでして新幹線なの?」、B「うらに何かありそうだね」▼「新幹線は必要ない」が県民世論。「県民軽視は許さない」の声を広げるときです。(☆)
(2008年1月5日)
07世界大会の「動く分科会」に参加された韓国の平和団体の招待で12月中旬に韓国を訪れた▼日本語と少しの中国語以外は全くわからないのに、年寄りの物好きとしか言いようがない旅だった。丸一日アチコチ巡ったがソウルのド真ん中の広大な米軍基地に「物見遊山」気分は壊れた▼一番印象に残ったのは「38度線」だった。区切りになっている谷間はあまり深くはなかったが、「朝鮮」側は山頂まで森になっていて人影を見ることはできなかった。「行き交うのは鳥と野生動物だけです」と通訳の青年がつぶやく。韓国側には狭い畑がつくられていて、許可された韓国農民が耕作しているという。38度線の柵の横の小さな祠には文字の書かれた布がたくさん下がっていた。なぜか涙が出た▼韓国には「徴兵」の義務があり、通訳の青年も来年適齢だが軽い胸部疾患があるので免除とのこと。なぜかホットする。08世界大会での再会を約束して帰崎した。近くて遠い国-韓国の旅でした。(ふ)
 2007年 2008年 2009年