『平和新聞ながさき版』コラム

 2003年 2004年 2005年
(2004年12月25日)
当たり前のことが通らなくなった世の中。年の瀬に画期的な司法判断が下された。東京・立川の「イラク反戦ビラ訴訟」に無罪判決▼自衛隊官舎にビラを入れて住居侵入罪で逮捕され、拘留は75日にも及んだ。ビラ配りは極めて日常的な光景だ。防衛庁も自衛官募集のチラシを集合住宅に配っているではないか▼この事件は自衛隊のイラク派兵反対世論に対する弾圧・見せしめだ。自衛隊官舎の被害届は警察の求めに応じて作られ「でっち上げ捜査」も行われていた▼判決は「ビラの投函は、憲法21条の保障する政治的表現活動であり、民主主義社会の根幹をなすもの。いきなり検挙し刑事責任を問うことは、憲法の趣旨に照らし疑問」と明快に述べた▼陸自幹部が軍隊の設置や、集団的自衛権の行使を可能とする内容の憲法改正案をまとめ、自民党の改憲草案大綱に反映されていた▼一連の動きは自衛隊の本質が明らかに憲法の趣旨と相いれなくなったもの。敗訴した地検は高裁に控訴。憲法を守るたたかいは正念場を迎える。(T)
(2004年12月15日)
こんな国に住みたいと未来を描いた時代もあったはずなのに、今やこの国の未来には少しも希望が見えない▼政治反動化の流れはとどまるところを知らず、あらゆる分野を包囲しながら加速的に転がり続けている。自衛隊もアジアから中東までを支配する米軍に完全に組み込まれて、「軍隊」となった▼三菱長崎造船所では佐世保を母港とする自衛艦の多くが常時修理に入り、建造も続いている。被爆県長崎がすでに大きく米軍の戦時体制に組み込まれていることを、どれだけの県民が意識しているだろうか▼でも「派兵延長反対62%。80%余りの国民が首相が説明責任は足さずと判断」とのNHK世論調査を知りややホッとした▼同じNHKで『ただ戦争を始めた国としての責任を忘れてはならず、若者へも伝えていきたい。すべての世代がそれぞれに歴史と向き合うことで、はじめて自分がどこへ向かうべきかわかる』との独シュレーダー首相のインタビュー。日本の総理大臣にこそ噛みしめさせたいと心から思った!(す)
(2004年12月5日)
04日本平和大会には県目標(千名)の80%を超す参加があった。「人間の鎖」をはじめ、検討課題も残ったが、みなさん大変ご苦労様でした▼少し気になる新聞記事を見た。それは「地球温暖化」に関わるもの--今、家畜の飼料の大半は輸入物。穀類や醤油の大豆も輸入が多い。この現実を「フード・マイレージ」(食料の輸入重量に輸送距離を掛け合わせ、燃料消費に伴う二酸化炭素の環境負荷を計る)で見てみようというもの▼01年の日本の「マイレージ」値は韓国・アメリカの3倍、フランスの9倍、平均輸送距離は、東京|南アメリカ間に匹敵し、二酸化炭素の推定排出量は1700万トンになる▼この指標を考えた田中哲也さんは、改善策の一つは「地産智消」と話す。「京都議定書の生みの親でもある日本が二酸化炭素をせっせとためている」▼「いのち」をテーマに平和大会成功に努力した私たちは、「戦争と平和」だけでなく、「いのち」を育む環境にももっと関心を持つべきだろう。(ふ)
(2004年11月15日)
平和大会・基地行動のガイド養成講座でのできごと▼米軍立神ゲート近くで、基地の境界を示す黄色いラインの話を聞いていた。するとゲートから米軍の警備の車が出てきてわれわれの前で止まった(写真)▼いざ帰ろうとすると日本人に呼び止められ、次のような問答になった。「写真を撮っただろう。ちょっと待て」「写真を撮るなとは書いてないではないか。法律にも違反していない」「上部の判断を仰ぐから待て」▼しかし誰も出てくる気配はない。「いつまで待たせるのか、次の予定があるのでもう行く」と言うと、その日本人は隣にいた米兵と二言三言話を交わし、そして「行っていい」と▼何なんだ一体!前回は警備の海兵隊員の目の前でパチパチ写真を撮ったが何にも言われなかった。この日本人従業員の給与も国民の税金かと思うと余計に腹が立つ。(T)
(2004年10月25日)
今年はかつてない台風の当たり年だった。だがこの台風でアメリカの新潟港にかける執念が浮き彫りとなった▼佐世保に原子力空母ステニスが入港する頃、米軍は横須賀配備のイージス巡洋艦カウペンスを新潟港に入港させようとしていた。しかし台風15号の接近で取りやめとなった▼その後、米軍は10月2日から5日、10月7日から11日までイージス艦レイクエリーの新潟港入港を相次いで新潟県に打診した。県はいずれも「接岸できる埠頭は他の貨物船が使う予定」と断った▼それでも米軍は10月10日から12日の入港を申請、新潟県は許可をした。目的は毎回「休養と物資の補給」だった。ところが台風22号の襲来。また取りやめと思いきや、11日から12日に変更してまで入港した▼すでに米軍は10月から日本海にイージス艦を常駐させている。レイクエリーはミサイル迎撃実験を行なった唯一のイージス艦。北朝鮮をにらんだ「ミサイル防衛」を進める米軍にとって新潟は戦略的に重要な位置にある。なんとしても入港の実績をつくりたかったのだ(T)
(2004年10月5日)
9月末から04日本平和大会の動く分科会(基地行動)のガイド養成のための学習会が始まった。第1回のテーマは「米戦略と安保条約」▼02年9月に発表された「米国家安全保障戦略」の狙いと内容、その具体化としての米軍・自衛隊の再編・強化を学習した。佐世保基地の「位置づけ」をより理解することのできた二時間だった▼大事なことは机上の学習だけで終わらせないこと--。現に10月1日からアメリカは日本海に北朝鮮の弾道ミサイルを探知・追尾できるイージス艦1隻を配備した。これは「米戦略」で言っているミサイル防衛の一環だ。その艦は横須賀に配備されているカーティス・ウィルバーらしい。2年前に長崎港入港を強行したことは忘れることはできない▼米海軍は06年度までに探知・追尾用イージスミサイル駆逐艦15隻、迎撃能力を持つイージス巡洋艦3隻を配備する計画だ▼日本が戦場になる--アメリカのために-私たちの答を04平和大会の成功で示したい!(ふ)
(2004年9月25日)
前回に続いて映画の話題から。薬師丸ひろ子主演で話題となった『戦国自衛隊』が25年ぶりに復活、来年6月に公開予定。製作費は破格の15億円▼こちらは陸上自衛隊が全面協力し、静岡県御殿場演習場に城や城壁などのオープンセットを建設中。90式戦車、攻撃ヘリなどが登場し、エキストラを務める陸自隊員もいる▼9月17日、「国民保護法」が施行された。軌を一にして「共謀罪法案」が臨時国会で本格審議に入る。組織犯罪処罰法改正案の一環と称されるが、「共謀」を処罰の対象とするのは戦前の「治安維持法」の再来だ▼「共謀」は密告や潜入、盗聴でしか発見できない。共謀罪新設で「盗聴法」の運用要件は緩和され、行き着く先は相互監視社会▼スピルバーグ監督の『マイノリティ・リポート』。近未来の「超監視社会」では「殺人予知システム」によって事件が起こる前に犯人を逮捕する。システムは複数意見のうち、マイノリティ(少数)を信頼感を損ねるものとして抹殺していた。だが未来の真実は少数にあった。こんな監視社会は映画の中だけでいい。(T)
(2004年9月15日)
小泉首相の私的諮問機関「安全保障と防衛力に関する懇談会」が、必要最小限の防衛力の保持などをうたった「国防の基本方針」を見直す提言を行うという▼作家・福井晴敏の小説『亡国のイージス』が映画化され来秋公開される。「海上自衛隊の護衛艦を舞台にテロリストと海自隊員らの戦いを描く海洋アクション大作」がうたい文句。海自・空自が撮影に全面協力という▼三沢基地では日米共同で開発でされ実戦配備されたばかりのF2支援戦闘機を飛行させた。テロリストに乗っ取られる設定のイージス艦は横須賀基地の「きりしま」の訓練の様子が撮影された▼テロリストは当然のごとく北朝鮮特殊部隊の設定で、生物化学兵器で東京都民を人質に。自衛隊にとってはうってつけのPR映画となる▼今年12月、映画『ULTRAMAN』が公開される。主人公はこれまでの「科学特捜隊」の類いではなく、なんと航空自衛隊のパイロット。巧妙に人々に自衛隊の認知を迫ってくる。これに負けずに「自衛隊の本当の姿」を知らせていかなければ!(T)
(2004年8月25日)
今年の8月は本当に暑かった。世界的な気象異変だという。かけがえのない自然を狂わせたのは何ダ!みんなで考えてみたい▼8月は広島・長崎だけでなく日本全体で深く「いのち」について考えるときなのに、伝えられるニュースはちがっていた▼9日、美浜原発事故で11人が死傷、原因は「点検」をしない人為的なもの▼13日、沖縄国際大学に米軍ヘリ墜落。周囲には小中学校や保育園も点在している。事故は米軍の管轄外で起きたにもかかわらず県警が現場検証を拒否された。何故?▼「日米地位協定」があるからだ。事故後、県警にできたことは、10分間だけの写真撮影だった。事故機は基地外にあっても米軍の財産と見なされ、日本側は手をつけられないのだ。日本政府の態度もいつものことながら生ぬるい▼21日、世界最大の米原子力空母ステニスが佐世保に国内初寄港。22日、沖縄では事故原因を公表しないまま同型ヘリ6機が飛行再開。暑いのは気候だけでなく、人間も「怒り」の自家発電で暑くなりっぱなしナノダ!(ふ)
(2004年7月25日)
『さらば外務省』の天木直人氏の講演を聞いた▼日本の外務省に「従属」はあっても「外交」という思考回路があるのかとさえ思う私は、ドキドキしながらあの本を手にした時を思い、期待して出かけた。氏は首になったいきさつを語る▼日頃から「アメリカに賛成だけはやめるべき」と主張してきたが、いくら情報を流そうとも首相は受け入れない。長い外交官経験からもこの戦争だけは間違いだと、歴史的に振り返るときが来るだろう。その時に日本の外交官が何も言わなかったということがあってはならないと打電した▼司会者の言う、杉原千畝のような行動に心から拍手!「しかも戦争を仕掛けた米英の外交官は夫々50人、60人とブッシュへの批判を注進していたのに、日本の外交官の、中東大使経験者の誰一人もメディアで発言をしていない」には納得。この差は一体何なのだ!▼国中のあらゆる歯車がすでに音を立てて逆回転している。この国の行く末には決して明るい未来などはない。今何とかしなければ!(す)
(2004年7月5日)
創立50年をむかえた防衛庁・自衛隊。しかし彼らには50年など眼中になく、「戦前」へイケイケドンドン。とどまるところを知らない▼政府は国連平和維持活動(PKO)などの業務を、自衛隊の「付随的任務」から「本来任務」に格上げする方針を固めた。消防庁は国民保護体制強化で陸上自衛隊の現職一佐を国民保護運用室長に迎え入れる▼自衛隊に対するシビリアンコントロールはこれまで防衛庁の背広組(文官)が制服組(「軍人」)を「統制」するという仕組みだった。ここぞとばかり制服組の最高幹部の一人が、背広組が持つ監督権限を大幅に縮小するよう、防衛庁長官に正式提案した▼宇宙開発を平和利用目的に限定した国会決議が危機にある。自衛隊に宇宙航空研究開発機構の衛星による最先端の観測データを使用できるように決議を見直すことを与党が合意、等々▼7月4日、「ワールド・ピース・ナウ」が集会を開き、「戦争をしない政治家を選ぼう」と訴えながら渋谷をパレードした。これしかない!!(T)
(2004年6月25日)
6月15日に日本平和大会の佐世保・現地実行委員会が結成され、大会成功へ向けた県内の運動がスタートしました▼今年の平和大会のテーマも、基地・情勢だけでなく、暮らしの中の「平和」についても大勢の人と話しあう場にしようという声が出て、活発に討議されました。「平和」の課題が「対軍事」ということだけでなく、もっと深く身近なテーマなった感じです▼佐世保の「小学生殺害」事件を含め、若年層の殺傷事件についていろいろと論議されますが、一番大切なことは「命」というものを今の社会がどう視ているかということが問われるべきではないでしょうか▼「命」を大事にしない時代は戦争の時代でした。みんなバラバラにされ、話しあう友達もいない、競い合うだけの社会なんて人間の社会ではないでしょう▼今ある身の回りのことを皆で話しあう、そこから「平和」を造りあげていく、そんな平和大会にしたいものです。(ふ)
(2004年6月5日)
いま米韓間で在韓米軍削減交渉が本格化している。なんともうらやましい限りだ▼在韓米軍は約3万7千人。その約1割がこの夏、イラクへ派遣された後、韓国へは戻らないというのだ。さらにアメリカが在韓米軍の1万2千人の削減を韓国に提案していたというから驚きだ▼アメリカの無法なイラク戦争を批判したドイツには嬉しい「制裁」が始まるようだ。在独米陸軍2部隊が米本国へ帰還。またトルコの受け入れを条件に空軍の移転案が検討されている▼イラク戦争を真っ先に支持し、自衛隊を派兵した日本には悲しい「褒美」が贈られる。米軍は在外基地を4ランクに分類し、在日米軍を戦略展開拠点である第1ランクに指定した▼ワシントン州の米陸軍第一司令部が神奈川県座間に。横須賀にいよいよ原子力空母配備。ハワイの太平洋軍司令部から北東アジア軍司令部が独立して日本に。在日米軍削減などは噂にもなっていない。日本を米国に売り渡す政府などもうゴメンこうむりたい。(T)
(2004年5月25日)
有事関連法案が年金未納議員問題のどさくさに紛れて衆議院で採決強行された。すでに有事法制を先取りしたような事態も起きている▼東京・立川市で自衛隊官舎の郵便受けに「イラク派兵反対をよびかけるビラ」を入れた3人が「住居侵入罪」で逮捕・起訴された。ようやく保釈が認められたが、拘留期間は75日にも及んだ。保釈金は計450万円である▼性格は全く異なるが、イラク邦人人質の拘留期間は1週間、外務省の請求金額は198万円。過剰攻撃は自分たちがよからぬことをやっている意識の現れだ▼小泉再訪朝の報道に対して、首相官邸が日本テレビの同行取材を拒否する事態が起きた。首相の政務秘書官が電話で日テレ側に報道の取り消しや「情報源を明かせば許可する」とまで圧力をかけた▼マスコミは一斉に反発し、最終的に官房長官が同行拒否を白紙撤回した。「『報道の自由』とは戦って勝ち取るものだということを肝に銘じたい」(西日本新聞)そうだ。声を上げ続けなければ!!(T)
(2004年5月15日)
「米軍によるイラク人虐待」の突然の報道に驚きとショックが消えない▼毎日テレビ画面で見せつけられると、怒りを越えて条件反射的に反吐が出る思いだ。そして、世界中の非難をよそに無法なイラク攻撃を続けたアメリカと、これを従属的に支持し自衛隊派遣を強行した小泉政権を絶対に許せないと改めて思う▼ヒトラーの虐殺から戦後世界各地の戦(紛)争時の様々な虐待行為を取り上げた中でなぜか日本軍の行為を放送しなかった某番組に情けない思いをしたが、これが不当なイラク戦争を始めたアメリカ非難と自衛隊撤退への大合唱とならない日本のマスコミの人権意識に、自己責任発言を糾弾しなかった先の「事件」を重ね、割り切れない怒りと恐怖を抑えきれない▼今まさに国会では戦争する国づくりのための国民保護法案・米軍支援法案・捕虜取り扱い法案・特定公共施設等利用法案等々が提案され、憲法改悪が取りざたされているのだから。(す)
(2004年4月25日)
4月15日の夜、テレビの画面に「人質無事救出--」のテロップが流れたとき「よかった!」と声を上げたのは私一人ではないだろう▼だが、その後の報道を見聞きして「?」と感じているのも私一人ではないはず。「自衛隊は撤退させない」と言った政府が一番はじめにしたことが、人質の思想・信条の調査、それもアメリカの指示をうけて。異常とも思えるほどの家族への中傷、「自己責任」の大合唱は何としたことか▼無駄な公共事業に使った税金。法を破って年金積立金を投資して欠損を出してもシラン顔。この「自己責任」はどうするのか!▼被害者への経費負担は、政府の意にそわない者への「チョウバツ」と同じだ。「御上」の意にそわない者はタタク!国民は政府の意に従えという、国民への政府のみせしめだ▼「軍国日本」時代の「国民」を造ろうとしている流れがここでも顔を出している。ご用心!▼季節は春から初夏へ-害虫退治は早めにやろう-放っておくと戦争という害虫が大きくなるから。(ふ)
(2004年4月15日)
地球温暖化の影響だろうか、今年も桜の開花が早かった▼ソメイヨシノは日本の桜の代名詞ともなっている。野生種のエドヒガンザクラとオオシマザクラの間にできた雑種で、江戸時代後期に染井村(現在の豊島区駒込)の植木屋がこれを「吉野桜」と称して売り出し、明治時代に全国に広まったそうだ▼じつはソメイヨシノはたった1本の原木から接ぎ木などで増やされたクローンだ。桜は同じ木の花では受精ができない。だからソメイヨシノは種子がならない運命にある。はかない「散り際」はそれ故か▼日本軍は散り際を潔しとして桜を愛でた。今年創設50年をむかえる自衛隊の記章も桜だ。そして再び戦地へ若者を派兵した▼日本で一番早く咲くのは沖縄のカンヒザクラ(寒緋桜)。燃えるような濃い緋色の花びらはなかなか散らない。「沖縄のたたかいもそうありたい」と語ったのは平和大会の基地行動のガイドさん。日本の重大な岐路のいま、燃えて燃えて燃え続けようではないか。(T)
(2004年3月25日)
昨年の7月に長崎県議会は、政府に「日米地位協定の見直しに関する意見書」を出した(全会一致)▼意見書は「全国にある米軍基地の1割が長崎県にあって佐世保に集中しており、米軍基地に起因する事件・事故から県民の生命・財産と人権を守り、県民の福祉の向上をはかるためには施設及び区域の提供、管理、返還や米軍の法的地位について規定している現行の地位協定を見直す必要がある」とし「政府が国民生命・財産と人権を守る立場から見直しを行うよう強く要望するものとなっている▼最近の新聞記事では政府に対して「地位協定の見直し」を求める意見書を出した都道府県は全体の60%にもなっている▼しかし日米間でいま行われている地位協定の「運用見直し」の協議は、「凶悪犯罪を犯した米兵の待遇改善」が優先され、意見書に示されている意見を反映するものにはとてもなりそうにない。私たちはダマサレハシナイ!私たちはまともな「人間」なのだから!(ふ)
(2004年3月15日)
まさに危機的状況だ  陸海空自衛隊のイラク派兵。完成近づく有事法制。圧倒的多数となった改憲派国会議員▼危機、重大局面のことを英語でCRISISという。しかしCRISISには分岐という意味もある。病の峠、運命の分かれ目▼国家公務員が総選挙の際、休暇中に「しんぶん赤旗」を配ったとして起訴された。市民団体メンバーが自衛隊官舎に派遣反対のビラを入れて逮捕された▼アメリカの戦争への参戦体制をつくるためには自由と平和勢力の弾圧が不可欠なのだ▼インドのムンバイで開かれた世界社会フォーラムは「もう一つの世界の可能性」を指し示した。無法なイラク戦争を強行した米英の政権は大義を「失い」、窮地に立たされている▼イラク戦争を強硬に支持したスペインのアスナール政権は総選挙で敗北し、退陣。新政権はイラク撤兵を表明▼再び暗黒の時代へと進むのか、それともつきぬける青空のような希望あふれる次代を切り拓くのか。いま私たちはそのCRISISの真っ只中。(あ)
(2004年3月5日)
今年はビキニ被災から50年目になる。ビキニ環礁でのアメリカの水爆実験による日本のマグロ漁船の被曝は原水爆実験にたいする人々の怒りとなり、一年後の夏には三二〇万を超す署名に結実し、原水爆禁止運動へとすすんだ▼3月1日からはじまった毎日新聞の「半世紀の刻印」によるとマーシャル諸島では58年までに67回もの核実験が繰り返された。アメリカの核実験による被曝者対策は、日本における「ABCC」と同じで、検査はするが治療はせずというものだ▼クワジェリン島にはアメリカのミサイル基地があり、ミサイル防衛迎撃実験が行われている▼85年に独立したマーシャル政府は今後50年以上の基地使用を認めている。自国の国民を苦しめている者に罰も与えず寛容なのは日本とよく似ている▼「被爆者が生きていてよかったといえる世界」  渡辺千恵子さん(93・3・13没)の言葉が聞こえる。(ふ)
(2004年2月15日)
ヤスクニ共闘主催の2・11講演会に参加した。演題は「つくられる日本人の心」▼「日本国民の精神が試されている」とはイラク派兵基本計画の閣議決定の際の小泉首相の言葉。それに続く靖国神社公式参拝の重大な意味は、自国民の戦死を容認させ、国策としての戦争を支持する国民の心を求めたこと▼最も広範囲・長期的・確実に「心」をつくるのが「教育基本法改悪」。すでに愛国心を評価の対象とする恐ろしい動きも!▼戦争は常に「平和」の言葉でやってくる。国民が気づかないうちに「戦争をする国民」づくりはすでに広く深く進行しているのだ▼戦争を知らない世代が国民の過半数を超えて久しく、しかも国会議員の9割が改憲派といわれる。国民でなく、国家を守るための軍隊。私たちは疑問を持つ視線とからくり(心の総動員)を見破る力をつけねば▼危機感を持つすべての国民が力を合わせ、戦争へと突き進むこの国の大きな流れを押し返そう!(す)
(2004年1月25日)
04年度の政府予算の歳出歳入を見ていて、?と思ったことがある。歳入では国債▼「国債」は一言で言えば国の借金でしょう。戦後、建設国債の名目ではじまったものがナント歳入の44・6%を占めている。その利子払いが、17兆5686億円。歳出の21・4%にもなっている。▼借金返済には無駄な支出を減らすべきだ。なのに無駄な公共事業や大企業・銀行には大金をポンと出している。憲法違反の軍事費は4兆9030億円で歳出の6%、文教費の7・5%に近づいている。▼国民生活に直接つながる社会保障は給付減と負担増、食の基本の農業は切り捨て、「1兆円の補助金改革」とやらで地方財政は瀕死状態に。あげればきりがないくらい「人間らしい生活」ができない予算▼ミサイルやイージス艦は、老人や社会的弱者と言われている人たちの支えにも介護にも役立たない。若者たちの夢粉砕機にしかならないだろう。許せない!!(ふ)
(2004年1月15日)
佐世保でまたしても米兵による暴行事件が起こされた。日本側は起訴前に容疑者を拘禁できない。地位協定の抜本見直しは米軍基地を抱える自治体にとって切実な要求だ▼しかしアメリカはそれには応えず、逆に犯罪を犯した米兵の人権を守れと問題をすり替えようとしている。どうも米軍の考えている「民主主義」は米兵にしかあてはまらないようだ。日本は属国だからか?▼片や外務省も事あるごとに「運用の改善で」とオウム返し。イラク戦争での日本の対応に意見を具申して外務省を首になった天木直人さん(当時レバノン大使)は著書の中で、外務省には米国に盲従すべしというバイブル(外務省員洗脳の書)があると述べている▼琉球新報が外務省の機密文書「地位協定の考え方」を暴露し、連載を始めた。文書では容疑者の拘禁問題も「米国との政治的妥協で、説得力はない」と白状している▼「説得力のない」バイブルにしがみついて日本国民を守ろうとしない政府に愛国心を口にする資格などない(あ)
2003年 2004年 2005年