『平和新聞ながさき版』コラム
2004年 |
(2003年12月25日) 何年か前に「ファジー」という言葉がはやったことがあった。語源は羽毛、羽毛で透かした景色のようにぼんやりしたあいまいの意に転じたもの▼12月20日、繁華街で署名行動とデモ行進があった。これを「パレード」と称する私たち、そしてマスコミ。本来、パレードとデモはちがうデショウ。これで国民の怒りの声を伝えられるのだろうか▼いま、54%(過半数)の国民が自衛隊のイラク派兵に反対している。国民の反対に政府はあれこれと言葉を変えて派兵を決定した▼先日の国会答弁で小泉首相は、「憲法前文で国際協力とあるでしょう、それなんですヨ」と言う。憲法をソンナ読み方しかできないのか。「ファジー」という流行語が定着しなかったように、いつまでも「言葉」のトリックを許すほど国民は馬鹿ではない!▼私たちは「憲法」を殺すことを許さないし、「憲法」という宝をもちぐされにすることはできない▼新しい年こそ、国民主権の憲法を活かしきる人の輪を大きく根づかせよう!(ふ) |
(2003年11月25日) イラク、アフガニスタン、トルコ等々・・・毎日米兵と巻き添えにされた犠牲者の報道を聞かない日はない。実は戦争は終わってはいなかったのだ▼地球市民集会で、アメリカの意向に従い、「戦前回帰」を思わせる日本の流れが、いかに世界に逆行しているかを改めて自覚させられ、恥ずかしさと怒りをどうしようもなかった▼ジャーナリスト集会では、報道とは何かを考えさせられた。戦争の「断片」は「それぞれの部署がそれぞれの立場で報道」しても、戦争の持つ意味・背景・是非など最も大事な「社として論議し統一的な見識を示す」ことがなされないとの話に驚きまた妙に納得してしまった▼無責任なマスコミ報道に左右され、真実を見抜けなくなっている国民こそいい迷惑だし、「平和ボケした猫」と言われても返す言葉もない▼「国連」の名を語ってアメリカの世界支配の旗振り役をする従属国日本を許したままで、私たちは「地球市民の一員であると胸をはってはとても言えない。2005年へ向けての私たちの行動がためされている!(す) |
(2003年10月25日) 佐世保の自衛隊武装パレードで演奏された軍歌は『抜刀隊』だった。陸上自衛隊の代表的行進曲として中央観閲式など正式な場で演奏されている。海上自衛隊の『軍艦マーチ』に相当するもの▼驚くべきは時代錯誤の歌詞、サビの部分は 敵の亡ぶるそれまでは/進めや進め諸共に/玉散る剣抜き連れて/死する覚悟で進むべし▼「抜刀隊」は明治10年の西南の役で西郷隆盛らと戦った官軍の精鋭部隊。これを讚える歌詞に外国人作曲家シャルル・ルルーが曲をつけた。その後、帝国陸軍が行進曲として採用▼今からちょうど六〇年前の10月21日、小雨降る明治神宮外苑で「出陣学徒壮行式」が行われ、十数万人の学生が兵営に送り込まれた。この行進で流されたのが『抜刀隊』だった▼佐世保からも特殊部隊のイラク派兵がうわさされている。平和憲法の下、彼らに「死する覚悟で進むべし」と指示する「イラク特措法」。いつまでもブッシュに尻尾を振る政府はもうゴメンです。(あ) |
(2003年10月5日) 自衛隊法施行令が「改正」された。有事法制の一つである「武力攻撃事態法」が発動された際に、国民に自衛隊への協力を義務づけるもの。こんな重要なことが国会ではなく閣議で決定される法律の仕組が巧妙で恐ろしい▼業務従事命令の対象は医師、歯科医師、薬剤師、看護師、准看護師、臨床検査技師、診療放射線技師、建設業者、鉄道・自動車・船舶・港湾・航空の各運送事業者▼自衛隊が管理できる施設は自動車整備工場、造船所、港湾施設、航空機・航空機用機器の整備施設、自動車・船舶・航空機への給油施設▼総務省は来年度に「国民保護課」を新設する。各自治体には戦争体制づくりのための専任職員を任命するよう求める方針だ▼汚職事件で頓挫していた長崎市防衛議員連盟が発足した。国防思想の普及・啓発、自衛隊の充実・発展に寄与することを目的としている。参加市議二三名は全体の半数に当たる▼自治体労働者が、戦争体制から住民を守る最後の砦であって欲しい。(あ) |
(2003年9月25日) 前畑弾薬庫の移転集約に一千億円以上、立神新岸壁二百億円以上、LCAC新駐機場百億円。倉島地区の全面改修二百億円▼これは佐世保で米軍・海上自衛隊が基地整備のためにこれから使おうとしているもの。それだけでなく、佐世保の米強襲揚陸部隊に、トマホーク搭載のイージス艦などを加えた「遠征攻撃群」を新設するという▼今年度予算で海自崎辺地区に調査費一千万円がついていることが判明。七五〇mの桟橋をつくるというが、そんなに艦船は配備されていない▼来年度の軍事費概算要求では、「ミサイル防衛」の導入費として一四二三億円がだされている。「ミサイル防衛」で在日米軍を守ることで、アメリカの先制攻撃戦略を支える役割を日本が担おうとしている▼この要求額が厚生省がねらっている来年度の年金減額一六〇〇億円に近いのは偶然ナンデショウカ?▼老人福祉法第二条 老人は生きがいを持てる健全で安らかな生活を保障される。(ふ) |
(2003年7月25日) 夕暮れの中を浴衣姿の中学生たちが、楽しそうに笑いながら松が枝岸壁に向かっている。バスの車窓から見ている私もツイ笑顔になる▼最近はテレビニュースも新聞も、思わず顔がほころぶニュースが少ない。怒りの方が多い▼「喜怒哀楽」のバランスが崩れすぎているのではナンテ考えながら読みかけの本に目をもどすと、「考える人」になってしまった▼時代はさかのぼり、反核運動が国際的にも高まりだした一九八〇年代。世界中の人が四トントラック一台相当の爆薬をかかえさせられ、核軍備競争のための軍事費支出は、一秒あたり約七百万円にもなった。一方では三秒に一人の割合で餓死者が出ており、人間としての生存の最低条件すら確保されないという惑星−−地球に−−住んでいた▼二〇余年経ってもあまり変わっていないのではないか?だとすれば「喜怒哀楽」のバランスは、怒りの方が大きくなくてはならない。皆が楽しく笑える日のためにガンバロウ!(ふ) |
(2003年7月15日) 続々!!大村航空基地▼国土交通省がA滑走路(大村航空基地)周辺の騒音調査の結果を公表した。多くの場所で環境基準を超える騒音が発生していることを公式に認めた▼主な騒音原因は自衛隊のヘリ。離陸・着陸・訓練で年間2万回を超える▼さて対策費は誰が出すのか。福岡防衛施設局の予算要求は管理者でないとして却下。とはいえ騒音原因が自衛隊機なのに国の空港整備特別会計(民間機からの利用料を財源)から出すのも無理がある。背景に管理は国、滑走路は別々という長崎だけの特殊性がある▼沖縄の普天間基地の代替として名護市沖に巨大基地がつくられようとしている。名護市では本土類似施設視察として、三沢基地、岩国基地、埋め立て空港の長崎空港と対岸の大村基地を訪問▼生活環境と騒音状況について大村市民と意見交換を行ったという。自衛隊のヘリでさえうるさいのに、米軍の戦闘機なんてとんでもないという声が聞こえてきそうだ。(あ) |
(2003年7月5日) 前号に引き続いて海自大村航空基地▼基地の拡張計画が情報開示された。埋立によって敷地面積は一・三三倍になる。すでに漁協側と折衝して予定海域を1年前に変更したことが明記されている。朝日新聞掲載の図は変更部分のみ▼水面下で着々と進む基地強化。行政と議会はどうかかわったのか、かかわれなかったのか。自治体も問われている▼大村航空基地は米軍の共同使用基地でもある。92年、強襲揚陸艦ベローウッドの佐世保配備の際に、搭載ヘリ支援のために自衛隊との協定が結ばれた▼米軍の使用状況に関する情報開示請求を防衛庁は不開示とした。該当する文書がないというのだ(少なくとも過去5年)。またエセックスへの艦交代に際して協定書は更新されていないことも判明▼協定は事実上死文化していると見るべきだ。ニーズのない共同基地は真っ先に「返還」を求めよう。この協定は「60日間の事前通告文書をもって」廃止できる。(あ) |
(2003年6月15日) 米軍の民間空港使用回数は長崎空港が全国一だということをどれだけの県民が知っているだろうか。少なくとも20年連続、全体の34%を占めている▼「長崎空港」には二つの滑走路がある。B滑走路が国土交通省長崎空港で、A滑走路が向かいの海上自衛隊大村航空基地。航空管制はともに長崎空港が行っている▼大村航空基地の拡張計画が進行していることが報道され、住民説明会が非公開で行われた。朝日新聞だけが埋め立て地域を示した▼福岡防衛施設局に計画概要の情報開示を請求。「図面はありません。朝日の記事は推測でしょう」と建築部担当官。翌日「計画にかかわる文書はこちらにはいっさいありません。この件は防衛庁に移送します」と総務課。▼後日、施設局から電話。「文書がこちらにあることがわかりました。図面もあります」「住民説明会で示した資料もあります」▼○×◇□!?▼二転三転の施設局。二重三重に有事法制の発動は危険だ。(あ) |
(2003年6月5日) ▼有事法制が通ってしまった。『単純に思うのだけどこれだけ多くの国民が反対してるのに何で国会で通るのだ』 と、友人は怒り嘆いた。私も同感!!▼二度と戦争をしないと誓い 平和憲法を守って60年余、先輩たちは安保改定の大闘争をし、日本に民主主義を根付かせ、軍国主義の芽をつぶそうと、必死に闘い私たちもその姿を見て後に続けと頑張ってきたはずだったのに!▼結果だけ見たらこの国の現実はどうだろう。国民の声を無視し続けた結果、日米軍事同盟が強化され、軍事費は増え続け、戦争法が整い、有事立法、教育基本法改正そして目前(?)の憲法改正まで、必死に「戦争する国」へ向かう道をひた走って来てしまったのか?私たちは 世界の人々とは違う道を進んでしまったのでは?▼立ち止まって、今すぐに違う道を選ばなければ 、引き返せない道にはまり込んでしまうのです。▼この国が好きだから!子どもたちを愛しているから!(す) |