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「侵略戦争を許さない」が運動の原点

ウクライナ危機1年半で川田忠明さん

 日本平和委員会は8月30日、 ウクライナ侵略戦争が1年半も続いている中、私たちの課題について考え合うオンライン学習会を開きました。講師は常任理事の川田忠明さん。

○本質は「帝国主義的な侵略戦争」
 プーチン大統領は21年7月に出した論文をロシア連邦軍の必読文献とした。ロシア人、ウクライナ人、ベラルーシ人は歴史的に三位一体であり、ウクライナの独立を否定している。さらに「ロシアに対して攻撃的なウクライナ国家をつくることはロシアへの大量破壊兵器の使用と同じ」と厳しく指弾している。

プーチン政権の最大の動機がここにあるということを見る必要がある。この「侵略戦争を絶対に許さない」ことが平和運動の原点である。

○「即停停戦」をめぐって
 戦闘を一刻も早く終わらせることは人道的に急務であることは言うまでもない。同時に、侵略と占領を固定化することも絶対あってはならない。平和運動の要求としては、「侵略をやめさせ、戦争を終わらせる」ことに尽きる。この目標を最後まで握って訴え続けることが一番大事。

○世界ではさまざまな外交努力が
 サウジアラビアで第2回ウクライナ和平国際会議が開かれ、国連総会でのロシア非難決議に棄権をした中国とインド、南アフリカも参加し「ウクライナの領土の一体性と主権」が「和平の根幹」であるということで大筋の一致ができたとみられる。またアフリカ7か国が和平提案を持ってプーチンとゼレンスキーに直接会っている。この意義はロシア非難の国連決議に棄権した4か国と賛成した3か国が一緒になって働きかけを行なったことである。

 ロシア国内ではプーチン政権の支持率は高いが、今の状況で戦闘を続けるべきだというのは多数派ではない。交渉をやって早く終わらせてほしいという声がロシア国民の中にある。それだけに「戦闘をやめるべき」という外交を旺盛に展開することは非常に重要な意味がある。

○「国連憲章守れ」での国際的な結束を
 国際的な団結に大きな障害となっているのはバイデン政権。民主主義か専制主義かという新しい分岐を持ち込んで民主主義の側のリーダーになって世界的な覇権を強化したいと考えている。国連憲章を守るのか守らないのかで線引きをしてこそ初めて国際的な団結が可能になる。

○日本の平和運動は何をすべきか
 米国のための大軍拡・大増税を阻止する。軍事同盟路線の加担はウクライナ情勢の悪化にむしろ手を貸すもの。平和運動として大事なのは憲法を生かした外交・安全保障ができることを示していくこと。

(2023年8月31日)