ながさき平和委員会は、2022年日本平和大会の県内プレ企画として、10月23日に長崎港ウォッチャー養成講座を開きました。長崎市の水辺の森公園から松ヶ枝まで歩きながら、軍事分野に傾斜を強める三菱重工長崎造船所と長崎港の実態について学びました。
講座の冒頭、参加者から「大浦の自宅から見える長崎港の風景が灰色(自衛艦の色)一色になってしまった」との声が出されましたが、確かに三菱重工長崎造船所の岸壁やドックで建造・検査中の船は自衛隊の艦船ばかりでした。
まず水辺の森公園からよく見える飽の浦岸壁では、もがみ型護衛艦の4番艦「みくま」が建造されていました。レーダーがありミサイル発射もでき、水陸機動団と一緒に動くのではないかと言われています。もがみ型護衛艦は22隻建造する予定で、2018年度から予算がつき、1番艦「もがみ」と2番艦「くまの」(岡山で建造)は、それぞれ今年の4月と3月に引き渡しがされました。4番艦「みくま」の他に八軒家岸壁で3番艦「のしろ」が建造されていました。
水辺の森公園から松ヶ枝まで歩いても、三菱の岸壁とドックには灰色の艦船しか見えません。ウォッチャー養成講座当日は、水辺の森公園には沢山のキッチンカーが集まり、家族づれで賑わっていましたが、対岸で建造が進む多くの自衛隊艦船の姿と余りにも対照的すぎて、少し怖い気持ちにもなりました。
自衛隊の艦船には、以前は艦首に艦番号が白字で記されていましたが、2020年に塗装規則が変更されて、文字が灰色となりました。ウォッチャー講座中、双眼鏡を使用してもなかなか艦番号を識別することができませんでした。
第2ドックではイージス艦「こんごう」が、立神岸壁では護衛艦「あきづき」が定期検査をしていました。「あきづき」は四方向にレーダーが付いており、全方向に敵を探し攻撃を仕掛けることができます。
見える風景が灰色一色となっているように、三菱重工長崎造船所の経営も軍事分野に大きく傾斜していっていること、また、建造・検査している自衛隊艦船の能力が安保法制のもとで攻撃能力等が強化されていっている実態が、今回の講座を通して分かりました。平和都市長崎で進む静かな戦争の足音を市民に知らせ、真の平和都市として発展していけるような平和委員会の活動が求められています。
(2022年10月24日)