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学習と人の思いに肌感を研ぎ澄ませ

日本平和大会—県内12か所で試聴会、交流会も

 昨年に引き続きオンライン開催となった日本平和大会。県内の視聴会場は12(長崎7,大村1,佐世保4)、参加者は延べ44名でした。今年の県内参加者の交流会は全体集会と特別集会の間のランチタイムを利用して行いました。

【全体集会】
 衆院選の結果を受け、岸田首相は憲法改定国民投票の実施や「敵基地攻撃能力」保有の検討、軍事費をGDP比2%へなど安倍・菅の「戦争する国づくり」をさらに推し進める姿勢を明確にしている。これを踏まえ、千坂純日本平和委員会事務局長より、今後の取り組みとして、①日米安保条約廃棄への理解と共感を広げる、②憲法9条を生かした安全保障、平和外交の対案を示す、③辺野古や馬毛島など基地闘争を発展させる、との報告があった。

 つづいて、立憲野党や自治体などからの連帯のあいさつがあり、各地の草の根の運動交流が行われた。日本のいたる所で米軍の施設建設や訓練を阻止する運動が繰り広げられており、日本政府の卑劣さとそれに物言わぬ自治体の弱腰に憤り、各地で運動が必要な事象が起こっているという数の多さに「手に余る」という感覚も抱いた。
 そういう中で、衝撃的だったのが、辺野古新基地ストップの闘いで紹介された言葉である。「どういう経緯で辺野古新基地建設反対の行動に参加するようになったのか」と聞かれた地元の人が「肌感」と答えた。小さい頃に親や親戚から沖縄戦や戦後の話を聞いていて、辺野古新基地は阻止しなければと肌で感じたというのである。力強い動機だ。

 連帯あいさつで、「市民連合」運営委員の山口二郎法政大学教授が「自民党の高市早苗らはこれまでの自民党の枠を超えた好戦的な政策を打ち出した。過半数を超えたからと言って改憲や安全保障政策を国民が支持したわけではない」と述べたが、強固な自民党支持者以外にも投票した人がいるわけで、その人たちは好戦的な政策をどう受け止めたのか。知らなかった人も少なくないと思うが、「危なそう」という肌感が働かなかったのではないかと思うし、政治家の発言に「おかしい」と疑う肌感が鈍くなっているのではと思う。肌感を養うには教育や正確な情報が必要だと思うが、今の学校やマスメディアでは望めない。だから平和大会などで学習し、たくさんの人の思いに触れて肌感を研ぎ澄ますことが必要なんだなと一人納得した。

【ランチタイム交流会】
 Zoomで7会場を結んで交流しました。
 話題の中心となったのは、いまだに米軍が日本に駐留している根拠となっている日米安保条約についての意見交換です。一定の国民の中に、「有事の際に米軍や自衛隊が国民を守ってくれるのだから米軍の駐留は必要、自衛隊も敵に対抗できる武力を維持しなければならない」という考えがあることに対し、どうしたら効果的な理解や共感が得られるか、などについて話し合いました。「軍隊は国家を守ることが任務であって国民を守る組織ではない」「有事の際は国民の命より作戦が優先されることは沖縄戦などで既に示されている」「学校教育がとても重要であるが国はやらない。市民運動の役割は大きい」などが出され、理解を深め合いました。

【特別集会①】
 テーマは「軍事同盟も米軍基地もないアジアは可能か」でした。日本や海外からのパネラーの発言には共通していることがありました。それは、「軍事でなく対話と連帯を通じた外交で問題を解決していこう」という姿勢です。
 アメリカから参加した元米陸軍大佐のアン・ライトさんは「NATO諸国が中国への圧力をかけているなかで、問題解決のためには協力、対話、尊重、外交が唯一受けいれられる方法だとアメリカ政府に認識させなければならない」と発言。韓国のイ・ジュンキュさんは朝鮮半島の非核化と平和体制を進展させることが、東アジア国際秩序の変革になると指摘。川田忠明さんは、「憲法9条を生かした安全保障、外交努力を本気で追及してこそ、日本の安全とアジアの平和がある。そのことを国民的な世論としていくことが求められている」と発言。そのためにも、安保条約に問題があることを暴いて廃棄をめざす活動を強化、発展させようと呼びかけました。

【特別集会②】
 テーマは「大軍拡・基地強化・日米軍事一体化の現状とたたかい」。安保破棄中央実行委員会の小泉親司さんが米国いいなりの軍拡と世界に類のない基地増強が進められ、憲法をないがしろにし、日本を戦争に巻き込む危険な事態になっていると指摘。憲法9条守れの運動と軌を一にした運動を広げようと呼びかけました。
 各地から基地強化を許さないたたかいが報告されました。木更津は米軍と自衛隊で法体系が異なるオスプレイが配備され、全国展開の拠点と同時に日米協力の象徴となっている。海兵隊・海軍の戦闘機が配備されている岩国では陸軍・空軍機が飛来するようになった。強襲揚陸艦アメリカも初寄港した。「軍事同盟の実態を知らせ、基地問題が参院選の争点となるように運動を展開していきたい」と決意を語りました。

(2021年11月21日)