2月6日、九州・沖縄ブロック原水協学校がオンラインで開かれ、川田忠明さん(日本原水協全国担当常任理事)と武本匡弘さん(プロダイバー・環境活動家)が講演を行いました。
【核兵器禁止条約の発効の意義と展望】
川田さんは核兵器禁止条約は核保有五大国の反対を多数が乗り越えて成立した初めての条約であり、大国主導だった国連に民主主義の流れが生まれた歴史的な転換点だと強調しました。
そして禁止条約発効で何よりも重要なのは「核兵器が違法になった」ことと指摘。核兵器は国際人道法の原則・規定に反している。人道法の理念は五大国も賛成しているハーグ陸戦条約やジュネーブ諸条約などに立脚するもの。
また核の正当化を崩すことになる。核兵器の使用や威嚇、実験、開発、保有は非難されるだけでなく法にも反する。核保有国は「無法者」であり同盟国は「共犯者」となる。「核兵器=悪」が世界と社会に広く深く浸透していく。だから米国は、批准国には撤回を要求し、未批准国には核抑止力が弱まると脅したのである。
一方、禁止条約は被爆者と核実験被害者への援助を義務づけている。国連やNGO、国際赤十字など国際的な援助協力が進められるだろう。日本が締約国になれば国家補償に基づく援護法への道が開ける。
さらに核兵器廃絶への新しい国際的プロセスが始まる。核軍備縮小撤廃のための措置について検討する締約国会議に多くのNGOが招待される。未参加国の運動団体と締約国が共同してその国に参加を迫ることができる。これを核保有国は恐れている。
川田さんは、日本が禁止条約に参加すれば核兵器廃絶に向けて世界を前向きに変化させられると述べました。日米安保の下であっても参加は可能で、そのためにもこれまでの共同の枠を大きく超えた運動で、禁止条約に参加する日本政府を一刻も早くつくろうと呼びかけました。
【気候変動も核兵器もない世界へ】
武本匡弘さんは水中映像などを示しながら、核兵器廃絶・平和運動と気候危機を防ぐ運動は一緒だという視座が必要だと訴えました。
共通点は①戦争だけでなく、その準備から戦後処理に至るまでの全てが環境破壊の連続である。②戦争も気候危機もヒト以外の生物を絶滅させる。とくに核兵器は一瞬にして人命と地球環境を破壊する。③いずれも若者の目の前から未来を奪うことになる。
平和を維持し、気候危機に立ち向かうためには、大きな力で社会の大転換を起こすことが必要だ。若者は戦争に対するリアリティはないが気候危機に対するリアリティは持っている。平和運動は環境問題に取り組む潮流と連帯を強め、世代を超えた運動にしていくことが必要。率直に事実を知らせること。知った人が行動を起こす。知ることが希望だと結びました。
(2021年2月7日)