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崎辺海軍補助施設が返還される

自衛隊「崎辺東地区」として出撃拠点化

 今年1月25日、ようやく佐世保の「崎辺海軍補助施設」(12.9万m2)が返還された。しかし今後は水陸機動団の輸送部隊の係留施設や南西諸島をにらんだ物資補給施設の建設が始まる。

米軍とSSKが使用

 崎辺地区(26.3万m2)は1974年に返還された。85年には東半分が「崎辺海軍補助施設」として再び米軍に提供され、95年には米揚陸艦搭載のLCACの駐機場となった。米軍は西海市の横瀬貯油所海域に高機能の整備場を造らせてLCACは2013年3月に移転した。
 一方、西半分は1999年にSSK(佐世保重工業)へ造船所敷地として売却されたが艤装品の塗装場などに使用するのみであった。

崎辺分屯地と自衛隊「崎辺東地区」

 崎辺地区を水陸機動団の一大拠点とする構想が明らかとなったのは14年3月。(1)西側地区のSSK社有地を買収して水陸強襲車両部隊を配備する。部隊の庁舎・隊舎・整備場などを設置し、陸上と海上に水陸強襲車の訓練区域を設ける。(2)1990年代から海自大型桟橋計画のあった東側地区は、崎辺海軍補助施設の返還後に、埋立を伴うL字型の大規模岸壁を建設する。オスプレイ搭載可能な「ひゅうが型/いずも型護衛艦」などが接岸できる、というもの。

 実際に西側地区は15年末にSSKが防衛省と売却契約を締結し、17年4月に工事が着工された。水陸機動団の発足から1年後の19年3月に崎辺分屯地として開設された。

 崎辺東側は21年度概算要求で初めて全体像が明らかとなった。名称を「崎辺東地区」として、水陸機動団の輸送拠点だけではなく、「南西方面における後方支援基盤」と位置づけている。イメージ図では水陸機動団を輸送する、ひゅうが型/いずも型護衛艦や輸送艦の他、補給艦やイージス護衛艦までもが描かれている。

 また弾薬の整備場や一時保管庫(火薬庫)、さらに補給倉庫、物資集積場なども建設される。隣接する佐世保警備隊区域には十数万品目を収納する崎辺倉庫、さらに艦艇用の佐世保弾薬整備補給所があり、これらと一体化するものと思われる。21年度予算案には133億円が計上され、完成は29年度。

 佐世保港地方港湾審議会資料によれば、岸壁は水深11mで総延長は1,360m(648m,437m,275m)。埋立部分の面積は4.1万m2で、桟橋は2.0万m2

(2021年1月26日)