被爆から75年の節目である今年の原水爆禁止世界大会は、コロナ禍のもとでも、「核兵器はいらない」「核兵器廃絶と平和で公正な社会をめざそう」と日本や世界各国のみんなで一致団結できたオンライン集会となりました。
世界大会実行委員会は 、8月6日~9 日までの4日間、「ヒバクシャ国際署名」を共通の行動とする草の根の国際共同行動「平和の波」を行うことをよびかけました。
「平和の波」の運動は、1987 年の原水爆禁止世界大会でソ連とアメリカの平和運動の代表により、核兵器廃絶を共通の目標とする国際共同行動として提案されました。その年の10月24日、第10回国連軍縮週間の初日、地球の自転に合わせて世界をまわる草の根行動の連鎖とするという形態のユニークさと相まって、世界から支持され、当日は日付変更線の西側から世界 50 カ国と太平洋諸島の人々が参加する壮大な行動となりました。その後、1991年まで合計5回にわたって実施されています。
今回の「平和の波」行動では、「被爆75年 8月6日、9日を忘れない 日本は『核兵器禁止条約』に参加を」という統一横断幕が作成されました。行動期間中、長崎県内でも十数か所で「平和の波」行動が展開されました。
8月6日朝、広島に原爆が投下された時刻に合わせて、県内各地でスタンディングが行われました。このうち、長崎市の爆心地公園前でのスタンディングには約15人が参加。統一横断幕を掲げて、沿道を通る人や車に向かってアピールしました。
8月8日は、佐世保市で新婦人佐世保支部や佐世保原水協などが中心となって開催している原爆写真展「Love&Peace」とヒバクシャ国際署名活動でも統一横断幕を掲げ、「平和の波」を広げていました。
最終日の9日は、爆心地公園で「平和の波」終結集会が開かれ、長崎県労連議長の乾哲夫さんが挨拶し、その後献花や折り鶴奉納が行われました。長崎に原爆が投下された11時2分に合わせ、参加者一同黙とうを捧げました。
「二度と被爆者をつくらない 長崎の誓い」と書かれたタペストリーや「安倍総理は早急に核兵器禁止条約の批准を」「未来の社会に核兵器はいらない」などのメッセージカードを掲げて平和をつくろうとアピールしました(写真上)。
8月3日から9日にかけ、長崎市爆心地公園にてアートプロジェクト「声紋源場」が長崎被災協主催で行われました。このプロジェクトは長崎市被爆75周年記念事業の一環です。
制作者はドイツやメキシコを拠点に創作活動を行う芸術家の竹田信平さん。内容は、世界中に離散した被爆者の「声」を訪ね歩いて収集し、その声紋を白い線として書き写すというものです。数字が書かれた地点が13カ所あり、そこに専用アプリ「ground0(グラウンド・ゼロ)」を起動してスマートフォンをかざすと、旗と写真が浮かび上がり、被爆者による証言などの「声」が聞こえてくるという仕組みです。証言では被爆当時の凄惨な様子や戦後の様子などが語られています。
現在は描かれた声紋は撤去されましたが、専用アプリ「ground0」では引き続き被爆者の証言を聞くことができます。この機会に証言を聞いてみてはいかがでしょうか。
(2020年8月10日)