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安保・地位協定の原点は朝鮮戦争

ながさき平和委員会がオンライン講演会

 7月11日、ながさき平和委員会の定期総会が開かれ、『平和新聞』編集長の布施祐仁さんが「なぜ日本は米国いいなりか−日米地位協定の60年」をテーマに記念講演を行いました。あいにく東京都のコロナ禍が再拡大となったため急きょ、1対1のZoomによるオンライン講演となりました。

【コロナ禍と地位協定】
 在日米軍基地での感染者増の背景には米兵などに入国及び移動の自由を与える一方で、検疫を含め日本の権限が及ばない地位協定がある。

【ドイツとイタリアでは】
 ドイツでは米軍基地にドイツの法令が検疫も含めて適用される。イタリアでは米軍基地の管理権をイタリア軍が持ち、米軍の活動を止めることもできる。米軍が低空飛行訓練中に事故を起こして以降、低空飛行訓練ができなくなった。

【安保・地位協定・自衛隊の原点は朝鮮戦争】
 日本に主権を返す条件として、米軍は朝鮮戦争で行っている日本の国土の自由使用と日本からの自由出撃の権利の継続を要求した。これを受けて旧安保条約と行政協定がつくられた。自衛隊の前身の警察予備隊も、米軍には世界戦争の際に日本の戦力を活用する狙いがあった。

【日米安保の本質】
 つまり日米安保は、朝鮮戦争の最中に、米国が日本の国土や国民・自衛隊、経済などを、米国の世界的な覇権を維持する戦争のために丸ごと利用するためのものとしてつくられた。

【世界一従属的な地位協定と朝鮮戦争】
 その一方で、朝鮮戦争休戦後に、国連軍(米軍)への基地提供とあわせて「後方支援」ができるようにした国連軍地位協定が結ばれた。米国は、朝鮮戦争はあくまでも休戦であり、いずれ戦闘再開になりうると考え、その際に再び日本の基地を自由に使い、様々な形で協力させるようにした。つまり日本と韓国では米軍はいまだに準戦時ということ。だから両国だけが世界一従属的な地位協定のままだ。朝鮮戦争を終わらすことができれば、地位協定を欧州並みに平時のものに改定できる。

【地位協定の抜本改定へ】
 いずれにせよ地位協定の抜本改定で重要なのは国民世論。安保条約が必要という声が多数であれば米国は強い態度で交渉に臨んでくる。日本政府も及び腰だ。従って①地位協定が、国民の命や健康、平穏な暮らしを脅かしている実態を伝える。②日米安保の本質が、日本防衛ではなく、米国が日本を拠点に戦争をするためのものであることを知らせる。③米国の軍事力に頼らなくても大丈夫、むしろその方がいいと思えるような安全保障のビジョンを示すことが求められている。平和委員会がその先頭に立とう。

(2020年7月12日)