日本では北朝鮮が弾道ミサイルらしきものの発射をすぐさま報道するが、他国のミサイルの報道はほとんどしない。それが核弾頭を搭載できるものであっても。この1月から2月にかけて発射された核弾頭搭載可能なミサイルについて紹介する。
【米国】
2月5日、カリフォルニア州バンデンバーグ空軍基地から太平洋クワジェリン環礁の試験場の標的に向けてICBMミニットマンIIIの発射テストを行った。次世代のICBMに搭載する、再設計のW87-1核弾頭の開発の一環。
2月12日、カリフォルニア州サンディエゴ沖の試験海域から運用延長の図られたSLBMトライデントⅡ D5LEを発射した。テストは、オーバーホールを行って核燃料を交換した戦略原潜メインが配備される前に、そのシステムの健全性と乗組員の対応手順などを確認するもの。
2月16日、カリフォルニア州サンディエゴ沖の試験海域で戦略原潜メインからSLBMトライデントII D5LEを発射した。12日の同艦によるテストに次ぐもので、運用延長の図られたミサイルシステムが期待通りの性能を示しているかを確認し、システムの信頼性や精度のデータを取るのが目的という。
米国は新型のコロンビア級戦略原潜及びさらに運用年数を延ばしたトライデントII D5LE2を開発中。これには冷戦後初の新設計となるW93核弾頭を搭載予定で、21会計年度から予算計上が始まった。
【インド】
インドは1月19日と24日に核弾頭搭載可能なSLBMの発射テストを行った。開発中のK-4(2段式。固体燃料)で、水中の発射台から打ち上げられ、1,500kmほど飛行したとされる。アリハント級原潜(今年中に2隻目が就役)に搭載され、射程は約3,500kmと報告されている。インドは核ミサイル搭載の原子力潜水艦隊の創設を目指している。
【パキスタン】
パキスタンは1月23日、短距離地上発射弾道ミサイルのガズナビを陸軍の戦略部隊の演習の一環として発射した。射程は約290km。
また2月18日、空中発射巡航ミサイル「ラ・アド Ⅱ」をミラージュⅢ戦闘機から発射した。射程は600kmで、遠方から敵基地を精確に攻撃できるスタンドオフ能力を持つという。
(2020年2月19日)