1月30日付の星条旗新聞によれば、昨年12月19日、佐世保海軍施設のジュリエットベイスンに4,160ボルトの電力供給システムが完成したという。12月6日に交代配備となった強襲揚陸艦アメリカへの電力供給を容易にするものである(従来の海軍の発電装置は480ボルトで10本以上のケーブルを必要としたが、新システムでは半分で済むという)。
艦艇には推進用の動力源に加えて武器やコンピュータ、通信機器、照明や空調などに必要な電力を生む発電機が必要である。岸壁に接岸している際は、後者の稼働を減らす(燃料費や保守の節約)ために陸上から電力を供給することがある。
設置費用は米海軍の17会計年度予算(1,642万ドル)で、Nippo Corp. が1,450万ドルで請け負った。期間は17年5月から18年10月まで、その後はテストが続けられていた。プラントの場所は不明だが、この間に建設された建物は図の「?」であり、おそらく上側と思われる。
この電力システムは最新鋭のズムウォルト級ミサイル駆逐艦への電力供給にも使用すると予算書には記されており、いずれ佐世保が同級駆逐艦の拠点になることは避けられない状況となってきた。
ズムウォルト級駆逐艦は従来のようなマストが廃止され、艦全体がステルス構造であり、最先端の電力推進システムが装備されている。米海軍の水上艦として初めて電気推進とその他の用途に用いる発電機を一本化して、必要に応じて振り分ける統合電気推進を使用している。78億ドルというコスト高のために3隻で建造は打ち切られた。
この電力供給システムは原子力空母への電力供給にも使用され、サンディエゴ、ノーフォークと横須賀にも設置されている。
(2020年2月1日)