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強襲揚陸艦ワスプ佐世保配備

敵地への殴り込み機能がいっそう強化


佐世保港に到着したワスプ(右)と、交代となるボノム・リシャール(左)

 1月14日、米軍佐世保基地に新たに配備となった強襲揚陸艦ワスプが到着しました。これからボノム・リシャール(ワスプ型6番艦)との交替作業が行われます。この交替は岩国海兵航空基地に配備されたF-35Bを、従来機ハリアーⅡの後継艦載機として運用するためのものです。

 F-35Bは最新鋭ステルス戦闘機F-35の海兵隊バージョンで、強襲揚陸艦で運用できるように短距離離陸・垂直着陸の仕様となっています。1989年に就役したワスプは現役最古参の米強襲揚陸艦ですが、F-35B運用のために飛行甲板を耐熱性のものに貼り替えるなどの改修工事が行われました。

 それ以外にも低空の航空目標に対する探知・追尾能力を向上させた最新のレーダーを搭載し、対空ミサイルの発射装置を最新型の垂直発射機変更するなど、戦闘システムは格段に機能強化されています。

 ワスプは数週間後にはF-35Bを運用したパトロールで出航するとみられています。

 強襲揚陸艦がオスプレイに加えてF-35Bを運用することは、これまでの遠征打撃群(駆逐艦や原子力潜水艦と一体となった態勢)でなくとも、海兵隊単独の航空戦力によって「殴り込み」が十分可能になったことを意味します。最初にF-35Bが敵の防衛網に探知されることなく奥深くまで侵入し、レーダーや通信を始めとする軍事設備を破壊する。次いでオスプレイが海兵隊員と装備を満載して敵前線拠点を占領する—まさに世界のどこにでも単独で攻め込めるのです。

 さらに3月には佐世保に水陸機動団(日本版海兵隊)が創設され、海自の輸送艦と「ヘリ空母」と共に統合機動部隊(事実上の強襲揚陸艦部隊)として運用を始めます。佐賀空港に配備が計画されているオスプレイもその一翼となります。

 防衛省では離島防衛に必要として、F-35Bの導入と同機を離発着させるための「いずも型ヘリ空母」の甲板改修案が検討されているといいます。その検討には「いずも型ヘリ空母」の日米共同運用を想定していることも報道されています。「いずも型ヘリ空母」はワスプとほぼ同じサイズであり、まさに日米の強襲揚陸艦部隊の一体強化がはかられることになります。

(2018年1月20日)