1月17日、長崎市役所従業員組合は「第24回自由と民主主義を願う市民のつどい」を開き、会場を埋め尽くす約150人が参加しました。
元毎日新聞記者の西山太吉さんが「特定秘密とは…ーその建前とホンネを暴くー」と題して講演。西山さんは第一に認識すべきこととして、「市民の生活(市民の利益)を守るために秘密はある。しかしすべての情報を独占している国は自分たちの政権基盤を強化できると判断したときは、逆に出しまくって情報操作する」と指摘しました。そして具体例として沖縄施政権返還とイラク戦争での空自派遣を挙げました。
沖縄の「核抜き本土並み」「無償」返還を掲げて佐藤内閣は世論の支持を得ます。しかし任期中に返還を実現させるために「有事核持ち込み」や協定以外の費用拠出の密約を結んだのです(後者は「思いやり予算」の原型に)。「これは秘密ではなく、違法な行政行為だ」と西山さんは批判しました。
大量破壊兵器の存在を大義に米国が起こしたイラク戦争では多くの国々が不支持、離脱する中で日本は国連人道支援の名目で空自派遣を続けました。情報開示請求に政府は黒塗りで対応。しかし民主党政権に変わって開示され、憲法違反の米兵輸送だったことが判明。西山さんは「政府は真実を隠し、日米同盟を美化し、国民の信頼を得るために情報操作した」と強調しました。
今回の秘密保護法について西山さんは「現実に数十年間、日本がやってきたことを思い返してほしい」と述べ、情報公開を無にし、国民の了解を得ない法律として批判しました。メディアのリーダーが権力者側に加担する現状を嘆き、「民主主義の空洞化を意味する」と表現。「市民の間で問題意識を持って運動を継続し、その波動を相手に伝えることが大事。運動が一過性であれば秘密保護法は猛威を振るうだろう」と警鐘を鳴らしました。
最後に西山さんは貿易や国債をめぐる米国と中国との相互依存関係をあげ、もはや日米安保の基盤がなくなってきているが外務・防衛官僚はいまだ「神聖にして侵すべからず」と考えていると批判。日本は安全保障政策を軍事中心から外交中心へ転換する決断をすべきとき、集団的自衛権など必要ないと話しました。
(2014年1月18日)