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佐世保に陸自水陸機動準備隊を新設配備へ


米海兵隊の水陸両用強襲輸送車(米国防総省HP)

 12月17日、国家安全保障会議は「国家安全保障戦略」「新防衛大綱」「中期防衛力整備計画」を策定、3文書は閣議決定を経て公表されました。今後約10年の基本方針である「新防衛大綱」からは、従来の「節度ある防衛力を整備する」との表現が消え、民主党政権が打ち出した「動的防衛力」をさらにエスカレートさせ、陸海空3自衛隊を一体的かつ迅速に運用する「統合機動防衛力」を掲げました。その一つとして島々への侵攻を想定し、「上陸・奪回・確保するための本格的な水陸両用作戦能力」を備えた「水陸機動団」を新設することを決定。装備として52両の水陸両用車を5年以内に導入します。

 中心部隊は海岸線のある佐世保相浦駐屯地の「西部方面普通科連隊」となります。もともと海兵隊的性格を有する部隊として02年に発足、07年からは毎年渡米して直接、米海兵隊から直接、強襲揚陸の手ほどきを受けてきました。オスプレイにも搭乗、最近では期間も延び、米軍との相互連携訓練も行われ、共同作戦を実行できる体制・能力を備えてきています。

 12月24日、次年度予算案の決定と合わせて防衛省は陸自相浦駐屯地内に「水陸機動準備隊」を新設すると発表しました。期日は15年3月。事実上の日本版海兵隊の編成準備が開始されます。予算案では「水陸両用作戦を専門とする部隊を可及的速やかに新編するため、水陸両用車等の各種検証等を通じて戦力化に資するノウハウを収集整理し、早期戦力化を推進」すると記載されています。

 水陸両用車は米軍のAAV7の指揮通信型と回収型を各1両購入(17億円)します。AAVはAssault Amphibious Vehicleの略で、米海兵隊の水陸両用強襲輸送車。日本では意図的に「強襲」を省いて呼称しています。

 またヘリコプターからの緊急脱出訓練用装置のや水路潜入訓練装置の新設など、水陸両用機能強化に向けた教育訓練基盤の整備に15億円が計上されています。これらも相浦駐屯地に設置されるかもしれません。海自輸送艦や護衛艦の対応工事も予定され、米強襲揚陸艦部隊に加えて沿海域戦闘艦が配備される米軍基地とともに自衛隊基地の大幅な強化が進められようとしています。

(2013年12月26日)