憲法改悪阻止長崎県共同センターは12月23日、緊急シンポジウム「これからどうする?『秘密保護法』」を開き、マスコミ関係者も合わせて約100人が参加しました。
長崎県弁護士会の森永正之副会長、長崎大学の冨塚明准教授、長崎新聞社の高橋信雄特別論説委員をパネリストに、秘密保護法撤廃への今後のたたかい方を討論しました。
冒頭で、共同センター代表の一人である塩塚二朗氏があいさつ。「労働運動の垣根を越えた世論の広がりがある。日本のみならず、世界からも批判されている秘密保護法。まだ知られていない部分を学んで訴え、世論を広げる必要がある」とのべました。
森永氏は「国民の権利が制限されるにもかかわらず、国民に知らせないうちに通った」と自公政権のやり方を批判し、反対世論の多さや秘密保護法の持つ危険性を指摘。「秘密というものはすごく広く、あいまいな基準で何が指定行為か分からない。国家が間違いを犯さないことを前提につくっている」と話しました。さらに、森永氏は「国家の重要な情報は公開が原則。秘密保護法は憲法を法律で変えようとしている」と述べ、1年以内に廃止を求める運動を進めていく必要性を説きました。
冨塚氏は「発端は米国だが、官僚の主導で米国の思惑とかなり違う法律となった」と指摘し、日米両国の秘密保護法の違いを明らかにしました。「米国は言論や報道の自由を制限できないと1791年に憲法で定めた」「米国では市民・研究者らからの秘密解除請求ができる」などの違いを指摘した上で、「米国は自由と民主主義の点で大問題の秘密保護法を懸念している」と強調しました。
高橋氏は、主権者は国民であるという原則に立ち返り、国民主権と国民の「知る権利」はセットであることを強調。「秘密保護法は、報道の取材行為を保障している」という政府の言い訳を「取材行為は、取材する者と取材される者の両者がいて成り立つ。一方でも欠ければ成り立たない。秘密保護法案は厳罰で萎縮させ、取材を成り立たせなくする」と指摘。秘密保護法は、現行の法律で事足りる不必要な法律であることを強調し、「秘密保護法の名を借りた国民の『知る権利』を奪うもの。秘密保護法ではなく、『人権侵害法』と呼ぶべき」と批判しました。高橋氏は、新聞労連の抗議声明文を紹介。たたかう姿勢を示し、「秘密保護法とたたかわないと民主主義社会は成り立たない」と決意を述べました。「権力者の言う『国益』は国家の不利益」として、ベトナム戦争やイラク戦争などの様々な事例を解説。「真実を隠すことで国が滅ぶこともある。日本人は戦争でそれを経験している」と述べ、「真実こそが国益である」との信念を語りました。
会場から7人が発言。撤廃への効果的な運動の方法、地方自治や企業に与える影響などの疑問が出されました。意見として、秘密保護法撤廃を求める意見書を成立させた長与町議会での運動の経験が語られ、つながりを活かした署名などの活動とともに、「身近な問題として伝えていくことが大事」との訴えがありました。
討論のまとめとして冨塚氏は「国民の50%近くが棄権した参院選は政治不信に他ならない。今の政治が信任されていない証拠で、その政府に秘密を任せられない。国会議員を含めて、次の選挙の判断材料に使って、インターネットやSNSなども駆使して宣伝を行い、運動を目に見える運動にしていこう」と呼びかけました。
(2013年12月24日)