11月20日、憲法改悪阻止長崎県共同センターは秘密保護法案の緊急学習会を開き、45人が参加しました。
講師の冨塚明さん(長崎大学准教授)は「憲法9条の下で軍事機密があっていいのか?」と疑問を投げかけ、現在ある秘密保護法制を説明。「秘密漏えいは多少あったが現在の法律で対処できている。新たに法律をつくるのは、米国と一緒になって戦争できる日本する思惑がある」と話しました。「国の情報=国民の共通の共有すべき財産」であり、それを制限することは「少数による少数のための政治をしたい」という思惑もあるのでは? と問題提起しました。
「戦争司令部設置法」「国家情報隠ぺい・人権抑圧法(秘密保護法)」「国家戦争基本法」が立法改憲の3点セットと指摘。来年提出が予想される「国家戦争基本法」を詳しく解説し、米国が起こす戦争に参加できることが明記されているなど、「平和憲法をズタズタにする法律」と表現しました。参議院で審議中の「戦争司令部設置法」は外交・安全保障政策を「文民統制から軍人統制へ」移行するものだと訴えました。
現在の秘密保護法案の問題点を▽秘密は無限▽期限が全くないに等しい▽国民が判断できなくなる▽チェック機関がない▽情報操作が恣意的にできる▽プライバシーが丸裸になる▽国会の機能が制限される▽裁判所もないがしろにされる▽都道府県警察に情報が筒抜けになる▽知る権利・報道と取材の自由の侵害▽重罰による抑止▽未遂・共謀・教唆・扇動でも処罰▽密告社会を奨励、おとり捜査の拡大―などと指摘。「雑則」である第21条は、「国民の知る権利、報道・取材の自由」に「配慮する」だけで、権力側の裁量で有罪・処罰できるため、「まるで意味の無い条項」と強調しました。
最後に、冨塚氏は、安倍政権は盤石ではないとして、その弱点を(1)自由と民主主義の欠如(2)特異な歴史認識―と指摘。東京新聞社説を紹介し、国家機密でも10年未満と設定している米国と日本の秘密保護法第1条を比較。また法案を批判したニューヨーク・タイムズの記事を紹介し、「日本がやっていることはアメリカから見てもおかしい。数の上では多数だが、小選挙区制の上に立った虚構の多数派であり、国民の期待と個別政策に対する意識の『ねじれ』が生じている。真実を広げ、私たちが歴史を動かす歯車になろう」と訴えました。
共同センター事務局長の平井秀治さんは「急いで地元選出の国会議員にFAXやハガキで秘密保護法を廃案にするよう訴えよう」と呼びかけました。
(2013年11月21日)