10月26日、長崎マスコミ・文化共闘会議が特定秘密保護法案学習会を開催しました。日弁連秘密保全法制対策副本部長の井上正信弁護士が講演(写真)。米国と一緒に戦争ができる国家づくりの一環として、同時に自民党の憲法改正草案の先取りとして提出されている特定秘密保護法案の危険な内容を明らかにしました。(以下、概要の一部)
明らかに憲法違反
国民の知る権利、取材報道の自由を奪うことは国民主権と民主主義の基盤を侵害する。国家安全保障を理由に基本的人権を制限するのは自民党改憲草案の先取り。裁判も非公開となり(秘密が公になるので)、公開の法廷で裁判を受ける権利を侵害。国会議員にも重要事項は伝わらず、最高機関性を失う。「適性評価」制度はプライバシーを侵害、思想信条による差別だ。
すべては官僚による官僚のための「秘密」
情報公開法は原則開示だが、この法案はこれを逆転し、重罰まで設けて国民を「秘密」に近づけさせないようにしている。「秘密」を指定するのは官僚たちだ。大臣らは何も知識がない。官僚がつくり、国民から隠したい官僚がつくるのが「国家秘密」(エセだが)。官僚たちの武器でもある。法案作成を主導したのは内閣情報調査室で、警備公安警察・外事警察官僚(つまり情報組織)が占めている。
担保されない報道取材の自由
マスコミ等の反対を受けて雑則に修正条文が入ったが法的拘束力はない。傷害(漏洩)は原則処罰だが、正当防衛(正当な取材)は例外的に処罰しないというもの(フリージャーナリストや一般市民は「正当」の対象外)。疑いだけで捜査対象となり、報道機関は大打撃(権力者には有益な情報が差押え資料から入手可)。正当かどうか判断するのは権力者。常にその動向を気にする取材報道は萎縮してしまう。
背景にあるのは「戦争する国づくり」
国会では「国家安全保障会議」設置法案の審議が始まった。内閣官房に「国家安全保障局」(50人?)を設置し、政策づくりを行うものだ。現場で指揮官を務める一佐クラスの幹部自衛官10数名の人選がすでに始まっているという。これまでの外務省主管による憲法9条の下での非軍事の安全保障から、官邸主導による軍事的安全保障への大転換を狙っている。
特定秘密保護法は国の命運を決める政策判断から国会と国民を遠ざけ、かつ国民統制のためのものとなる。米国とは秘密情報を一体化でき、各省庁と共有化することで「戦争する国」への道を大きく踏み出すことになる。
真実を知らせ必ず廃案に
過去15年間の国家秘密の漏洩は5件(主に防衛省、警察)。初歩的ミスが原因で、情報管理を適切なシステムで行えれば防げるものだ。秘密保護法など不要である。国会議員(特に自民若手)をはじめ、法案の危険性は知られていない。多くの国民に知らせ、廃案に追い込もう。
(2013年10月27日)