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憲法をしっかり学び広めよう

ながさき平和委員会総会で内藤功さん

  6月22日、ながさき平和委員会は2013年度定期総会を開き、内藤功さん(日本平和委員会代表理事・弁護士)が「憲法改悪の動きにどう立ち向かうか」と題して記念講演。40人が参加しました。

★憲法9条の生命力
 1957年の砂川事件は米軍基地拡張への抗議行動の中、基地立ち入り罪で起訴された事件。東京地裁は(1)安保条約の下で、日本は関係の無い紛争に巻き込まれ、憲法前文の精神に反する、(2)在日米軍は日本の要請で駐留する軍隊で「戦力の保持」にあたるとして無罪判決を出しました。

 そして砂川事件の教訓である、憲法9条を「武器」に百里・恵庭・長沼裁判がたたかわれました。政府は自衛隊合憲を言うために海外派兵や集団的自衛権の行使は憲法上できないと明言せざるを得ず、自縄自縛に追い込まれました。さらにイラク派兵訴訟名古屋高裁判決は、米兵輸送は9条1項違反、平和的生存権を明記しました。

 砂川の地裁判決を米国と政府がひじょうに恐れて圧力をかけたことも明らかとなりました。地裁判決の論理は現在の日米同盟の下でますます力を発揮する生命力を持っている、だから自民党改憲草案は前文と9条2項を欠落させのだと内藤さんは指摘しました。

★自民党改憲草案「国防軍」の本質
 自民党草案では個別及び集団的自衛権を単に「自衛権」と明示していますが、内藤さんは自衛の名のもとに侵略戦争に走り、かつ日独伊軍事同盟を組んだ戦前を彷彿させると述べました。また国防軍の任務の1つに「公の秩序を維持」があり、国策に合わない国民のデモや集会を弾圧し、恵庭事件などは軍事裁判所で裁かれる危険性があると指摘しました。

★仮想敵国は軍需産業がつくる
 軍事的には仮想敵国を想定しているが政治的には言わない。防衛計画は軍需産業の要求から出発する。どのような兵器をつくれば儲かるか?それをあからさまには言えないので防衛省や政治家と組んで自分のところに注文が来るように仕向ける。「軍参謀」がもっともらしい情勢見積もりつくる。それが仮想敵国となる。米国はこの線で巨大な軍産複合体をつくりあげた。ここを見る必要があると強調しました。

★参議院選挙後は立法改憲へ
 仮に参議院選挙で改憲勢力が2/3を取ってもすぐに改憲とはならない。国民投票法の宿題である(1)最低投票率の設定、(2)18歳投票権の整備、(3)公務員労働者の活動限度が未解決です。

 内藤さんは、9条守れの声は根強く、96条改憲構想も誤算となった状況で安倍政権は当面は過半数で決められる立法改憲に走るのではと指摘します。すでに国会会期末に国家安全保障会議設置法ー戦争体制国家づくりの司令塔をつくる法案を提出。国家安全保障基本法・秘密保護法の制定も企てられています。

★憲法を学び広く定着させる
 日本社会には戦前の教育と戦後の戦争責任の不十分さから皇国史観が残っている。日本国憲法は人生の方向性、大義、手段を教えてくれる“守護神”、活動する規範でもある。時間はまだある。この憲法をしっかりと学び広げていくことがいまもっとも大事なことと結びました。

(2013年6月23日)