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TPPから見えてくる日米安保

ながさき平和委員会3月例会

 3月7日、例会:アンポ@わたしVol.4 が開かれ、中西敦信さんが「TPPから見えてくる日米安保、現代社会—新自由主義、経済覇権」と題して報告、TPPの本質に迫りました。

【乗っ取られたTPP】

 元々のTPPは国内市場の乏しいシンガポール,ブルネイ,ニュージーランド,チリの4ヶ国が資源と農業のある・なしで役割分担をした自由貿易協定。その再交渉時に米国が介入、「21世紀の貿易協定にふさわしい高い水準の地域協定をめざす」として産業分野を大幅に拡大。米国の目的は関税撤廃による利益拡大だけでなく、自国企業が海外市場で直面する規制制度を撤廃させ、世界的に競争力をもつ産業をさらに有利にしようという経済覇権主義丸出し。

【米国参加の背景】

 米国のTPP参加の背景は世界貿易機関で米国の自由化要求が拒否されたこと、南米地域で米国の抜きの地域間協議が進み米国が排除されたこと。そこで目をつけたのが従属国の日本がいるアジア。これまで「年次改革要望書」で突きつけてきた対日要求実現の促進も図れる。

【TPPで日本はどうなる】

 政権交代で東アジア共同体構想を掲げる鳩山内閣が誕生し、米国の「年次改革要望書」は廃止された。菅内閣は民主党政権を維持するために米国・財界寄りに舵を取りTPP交渉への参加検討を表明する。

 米国にとっては安保条約第2条の「経済的協力の推進」の新段階。橋本、小泉に続く第3の構造改革で日本の経済主権がますます奪われる。日本の財界にとっても、多国籍企業が展開しやすい環境となる。目先の利益を追求し、日本の将来や国民の利益など眼中にない。すべてに市場原理を導入して国の形を変えてしまう。

【TPPとは別の経済連携の動きも】

 昨年末からASEAN10ヶ国を中心に米国を除いた「地域包括的経済連携」(RCEP:アールセップ)の交渉が始まっている。参加国の利益を守りながら国の違いを認めあう、TPPとは異なる手法をめざしている。中国とインドも加わっているので世界人口の半分、経済規模は世界最大。米国主導のTPPに危惧し、ASEAN中心に地域の経済秩序をつくろうという動きだ。日本も安保体制—米国とだけの関係を抜け出して東アジアの一員として共同・協力に転換すべきだ。

◎報告を受けて感想・意見を出しあいました

(2013年3月8日)