8月21日から9月26日まで、米海兵隊の第3海兵機動展開部隊(沖縄駐留)と陸上自衛隊西部方面隊普通科連隊(佐世保駐屯)の共同訓練が始まりました。
沖縄から北マリアナ諸島のテニアン島までの海域と、米領グアム・アンダーセン空軍基地および米自治領テニアン島を訓練場所としています。相浦に駐屯している陸自普通科連隊の40人が参加します。米軍横瀬基地のLCACも参加します。輸送・移動は佐世保基地に配備されている米海軍のドック型輸送艦トートュガが担当しています。
陸上自衛隊(陸幕広報室)は、
「島嶼部の防衛に関する能力の向上を図るため、米国に部隊を派遣して、島嶼部での作戦に必要な戦術・戦闘、米軍との相互連携要領等を実行動により演練し、その能力の維持・向上を図る。
なお、本訓練は、上記の戦術技量等の向上のみならず、本年4月の「2+2」共同発表で示されている日米の「動的防衛協力」の促進も考慮して実施するものである。」と、 訓練の目的を発表しています。
これは、「島嶼防衛の能力向上を図る」という名目ですが、在日米軍再編見直しの共同文書の「動的防衛協力の促進」の具体策であり、米海兵隊との共同 した強襲上陸訓練ということで、これまでにない実動訓練となります。
しかも、日本の自衛隊が、アメリカの領土を守るという訓練です。「憲法違反」の「集団的自衛権」の行使につながりかねない、米軍支援の訓練です。佐世保基地の自衛隊、米軍艦船が関与していることは、佐世保市民にとって、特に重大なことです。
この動きに対して、佐世保原水協と佐世保市平和員会は、8月23日午後、陸上自衛隊の相浦駐屯地司令と西部方面普通科連隊長へ、「共同訓練参加の中止を求める」申入れを行いました。加盟団体などから5人が参加しました。
陸自側は、第3教育団の渡邊健一総務科長(二佐)が対応しました。
佐世保原水協の山下千秋理事長が申入れ書(別項)を読み上げてから、渡邊科長へ手渡しました。そして、山下氏は「自衛隊が、アメリカ軍と一緒になって公然と海外での戦争に参加する第一歩を踏み出すものだ」、佐世保平和委の篠崎会長は「自衛隊員が、アメリカの海兵隊員の身代わりに使われることになる」とその危険性を強調しました。
渡邊科長は「自分のレベルで回答できる問題でないが、申入れは必ず上級司令部へ伝える」と答えました。
この申入れについての折衝では、陸自側は、申入れ書を隊門前で受け取るという返事でした。門前で対応した渡邊科長に、山下氏は、「市民が申入れに来ているのに、門前というのは礼を失するのではないか。従来は、室内で対応していた」と抗議の意思を示しました。渡邊氏は「今日は暑いですから・・・」と言って、隊門警備員詰所にある一室に招じ入れました。
相浦駐屯地は、以前に比べて警備を強化しています。隊門前の2車線に夫々、防護柵を置いて、車両はその横を迂回するように仕向けています。出入りする一般の車両に直進での進入、進出をさせないためだと思われます。
(2012年8月24日)
陸自第3教育団長・相浦駐屯地司令 藤田穣 様
陸自西部方面普通科連隊連隊長 國井 松司 様
2012年8月23日 原水爆禁止佐世保協議会理事長 山下千秋
佐世保市平和委員会会長 篠崎義彦
米軍支援の戦争準備やめよ
=佐世保を再び戦争出撃基地にさせるな=
(初の日米共同の上陸作戦共同演習)
8月21日、西部方面普通科連隊40人が、沖縄県うるま市ホワイトビーチで、強襲揚陸艦ボノム・リシャール、揚陸艦トーチュガに乗り込む、上陸用舟艇LCACが搭載させるという報道に接しました。
これは、沖縄駐留の米第三海兵遠征軍とともに、9月26日までの約5週間、アメリカの戦略拠点グアムやテニアンで初の「島嶼防衛」訓練を行うためです。
今回の「島嶼防衛」は、日本の島嶼ではなく、アメリカの重要な戦略拠点であるテニアン、グアムなどの島嶼防衛を想定したものです。
守るところは、アメリカ領土、アメリカの軍艦に乗り込み、アメリカ海兵隊とともに上陸作戦訓練を行うという今回の計画は重大です。
(日米軍事同盟を侵略的変質させた2プラス2会議と日米共同宣言)
4月の日米安全保障協議委員会(2プラス2=外務軍事閣僚協議)では、「2国間の動的防衛協力が抑止力を強化する」として、日米共同訓練、共同の警戒監視・偵察活動、基地の共同使用などをすすめると合意しました。ひきつづく5月の日米共同宣言では「地域の多様な緊急事態に日米同盟が対応」すると合意しました。
まさに、これからは米軍と自衛隊が肩を並べて海外に出かけ、日米共同で戦闘するという、日米軍事同盟を侵略的変質させるものです。
今回の共同訓練は、こうした危険な方針の具体化です。米軍支援の戦争準備そのものです。
いつでもどこにでも出動するという「動的防衛力」という概念は、2010年民主党政権のもとで「新防衛大綱」で打ち出されていたものです。これ自体、アメリカが求めた際限のない軍拡を可能にするもので、日米の動的防衛協力は、新防衛大綱を使ってアメリカを支援する、新しい危険な企てにほかなりません。
「動的防衛協力」は、平時の戦略ですが、政府の方針は、平素から緊急事態にいたるまで「迅速かつシームレス(切れ目なし)」に、自衛隊が米軍を支援するというものです。「緊急事態」と称する、軍事的対決に発展しかねない危険な事態が生じたら、日本が攻撃されなくても、戦争に参加した米軍自衛隊が支援する集団的自衛権の行使に発展しかねません。
戦争放棄した日本国憲法と平和を希求する国民の願いを踏みにじることになります。
(戦争する国づくりのその第一歩が佐世保から始まることを許さない)
憲法を台無しにするその第一歩が、佐世保の陸自(西部方面普通科連隊)によって踏み出されることに、佐世保市民として座視するわけにはまいりません。
また、日本を戦争に巻き込む米軍佐世保基地が増強されることも重大です。この間、オスプレー搭載可能な強襲揚陸艦ボノム・リシャールが交代配備されました。海から殴りこみかける水陸両用上陸舟艇LCAC基地もほぼ倍増する形で整備されました。さらに佐世保市民の安全などそっちのけで新しい弾薬を建設する計画も進行中です。
米世界戦略の出撃基地、さらにその不可欠の兵站支援基地として佐世保基地がになわされ、加えて米軍兵士の補完部隊として佐世保の自衛隊隊員が動員されることに反対です。戦前はアジア・太平洋侵略の基地として佐世保が重要な役割を果たしました。戦後はせっかく戦争しない道をすすんできたのに、今度は米軍の戦争支援の基地にさせられることに私たちは強く抗議し、反対いたします。多くの市民もまたこのような自衛隊のあり方に明確なノーの態度を示すことでしょう。
国民の安全よりも、米世界戦略のための日米安保ではないのか、安保体制の根幹を揺るがす新たな世論と運動が高まることはまちがいありません。以下申し入れいたします。
申し入れ事項
一、米軍の戦争支援のための共同訓練参加をただちに中止されること。