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安保の実態を広め、日本の真の独立を

 現行安保条約の発効から52年目となる6月23日、ながさき平和委員会は12年度総会と記念講演会を開催し、全体で65名の参加がありました。記念講演では国際問題研究者の新原昭治さんが、「密約文書が暴く!真犯人(ホンボシ)・アンポの正体」と題して、米解禁文書を引用しながら日米安保体制の本質に鋭く迫りました。

●米解禁文書に取り憑かれて
 新原さんが米解禁文書に「病みつき」になったのは、米軍廃棄物の中から入手した嘉手納基地の核爆弾貯蔵記録の内部文書や米議会議事録にあった岩国基地の核組立部隊の存在を確認したことがきっかけでした。しかし新原さんを突き動かす一番の原動力は長崎のNBC記者時代にふれた第2回原水爆禁止世界大会での渡辺千恵子さんの訴えでした。

●「核密約」調査が尻切れトンボになった理由
 民主党政権は「核密約」問題を明るみにした一方、その破棄を米国に迫ることはしませんでした。民主党は政権交替前から自民党との違いは見せるが対米的には同じ姿勢を貫くことを決めていたようです。だから核搭載寄港は持込ではないと主張する北岡氏を「有識者委員会」座長に据えたのです。米国も民主党幹部の安保体制に対する忠実度を調査、また外務省に対して「米艦船の核搭載の有無を曖昧」にしておくよう圧力をかけていたのです。

●「原子力平和利用」戦略の狙いは同盟管理
 革命の起きた中国に代わって日本を反共の砦としたい米国は日本の「中立志向」を恐れていました。広島・長崎への原爆投下、さらにはビキニ事件・反核運動で安保体制が揺らぐことを危惧した米国は「原子力平和利用演説」をきっかけに日本への「洗脳工作」を強化していきます。核兵器の野蛮さを覆い隠すという点では、同時期に米国が取った核兵器を通常兵器のように使用する「ニュールック戦略」と軌を一にし、“コインの裏表”に過ぎませんでした。

●“集団的自衛権”は軍事同盟の急所
 過去の2つの世界大戦は軍事同盟の対立がもたらしたという反省から国連憲章の当初案には「集団的自衛権」はありませんでした。中南米支配を目論む米国が押し込んだのです。
 対日講和条約には米軍駐留が可能となる仕組みが入れられ、秘密裏に安保条約が用意されていました。日米地位協定の前身である行政協定でも「裁判権密約」が取り交わされるなど、日本の独立過程で軍事同盟による従属が押し付けられたのです。
 新原さんは対米従属の源に安保があることを多くの国民に知らせ、真の独立を勝ち取ろうと呼びかけました。

(2012年6月24日)