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憲法キャラバン隊 自治体の平和行政で懇談


西海市との懇談

■憲法の精神を活かした平和行政のあり方は

 憲法キャラバンも5回目を数え、要望書の第1項に平和行政の推進を上げ、各自治体と懇談を重ねてきたが、ようやく長崎市の平和行政を参考にしながら各自治体で広がりができつつあるような状況を感じた。

 8月9日の登校や平和教育の実践として「被爆の語り部」「戦争体験の語り部」などの継承事業や原爆写真パネル展開催などは共通した内容。ただ、独自の平和行政という観点では目立った動き、政策などはない。また、非核自治体宣言及び協議会への参加、平和市長会議への参加はいくつかの自治体を除いて広がっている。

 特徴的には、時津町の平瀬前町長のように、「平和行政は自治体=公務員だからこそできる職務であり、民間ではできない」という確固たる主張を持つ首長の存在は大きいが、首長が交代すると変化することもありうる。

 長与町では町民の被爆者はもとより、長崎市内から逃げ延びた原爆被災者を受け入れた経緯などもあって、昨年は被爆体験DVDの製作・上映・普及を行うなどの事業も推進してきた。さらに、教育委員会と長崎映画センターが組んで上映してきた夏期の平和映画の町内学校上映会なども定着しているようである。

 県内でも佐世保市やいくつかの自治体では、「戦争体験」や「空襲」、「戦没者慰霊祭」などの例を挙げ、核兵器廃絶を中心にした平和行政だけでなく、今回訪問した西海市のように、戦争体験者や遺族が高齢化し、体験の継承も困難な状況もあり、反戦平和の取り組みとして行政も考えなければという副市長の発言もあった。

■脱原発に対する自治体の反応は・・

 今年の憲法キャラバンで大きなテーマとして取り上げた「脱原発」「防災計画」問題であったが、「地域主権改革」や「TPP問題」がメインになる中、残った時間で懇談を行うような形にならざるを得なかった。しかし、その中でも「脱原発」では、4月28日に発足した「脱原発をめざす首長会議」に県内で唯一参加した田中西海市長について、西海市と懇談をした。副市長がコピーした毎日新聞記事を要請団に配布し、「ごく当たり前の対応をしているだけです」と語り(謙遜?)、あまり持ち上げて欲しくないような素振りを示した。こちらとしては、応援している旨伝え、県下に広げましょうと激励してきた。

 この問題では、玄海原発から30キロ圏内に入る松浦市、平戸市、壱岐市においても、再稼動問題を含めて、代替エネルギーの進捗など、慎重な対応が目立った。他の自治体でも「新エネルギー」や「再生可能エネルギー」導入に向けた取り組みが少しずつ動きだしている印象であった。今、各地で問題視されている瓦礫処理についてはほとんど話題にする時間がなかった。

(2012年5月25日)