ボノム・リシャール(左上)とエセックス(右)
4月23日、米海軍佐世保基地で強襲揚陸艦ボノム・リシャールがエセックスとの交代式を経て正式に配備となりました。1992年のベローウッド配備で殴り込み部隊の出撃基地と化した佐世保。その3代目となるボノム・リシャールは、エセックスの6年後に就役した同型艦です。
この交代は、「最も能力のある資産で海外の展開部隊を強化する」という米海軍の長期計画にしたがって行われたものです。昨年、1億4700万ドル(約120億円)を投じて改修工事が施され、通信や燃料関連のシステムの近代化、飛行甲板の改良や格納庫などの整備が図られるなど、垂直離着陸機オスプレイの運用に対応させました。
飛行甲板には9カ所の発着スポットがあり、最大で12機のオスプレイを搭載できるといいます。今年の沖縄県議選後の7月から普天間基地に配備が始まるという機体数と同じです(最終的には倍の24機)。まさにオスプレイの普天間配備と連動したボノム・リシャールの佐世保配備で、運用訓練は昨秋に実施済といいます。
また西海市の横瀬貯油所内に建設中だったLCAC駐機場が完成。最大で12隻のLCACを駐機できるようになります。この数も佐世保配備の4隻の揚陸艦のLCACの搭載可能数と同じ。強襲揚陸艦の海外唯一の母港となって20年、海兵隊の殴り込み能力はいっそう強化されました。
一方、エセックスは米サンディエゴに戻り、大規模改修を実施する予定です。初代のベローウッドはSSK第3ドックでの大規模改修工事を要求しましたが、SSKの抵抗と世論を前に、日本側が用意した浮きドックでの工事を余儀なくされたという経緯があります。その苦い経験からか、米国の財政難からか、12年間滞在したエセックスには一度も大規模工事は施されませんでした。その結果、機械的な問題とメンテナンスの問題でエセックスはこの7カ月の間に米韓合同演習など2つの任務が十分遂行できなかったと「星条旗」では報道されています。
(2012年4月24日)